アマゾン、西日本最大の物流拠点「Amazon名古屋みなとフルフィルメントセンター」の倉庫詳報。効率化+カーボンフリー推進の庫内を初公開

アマゾンジャパンは、2025年8月に稼働を開始した物流拠点「Amazon名古屋みなとフルフィルメントセンター」を初公開した。延床面積は約12万5000平方メートルで、西日本エリア最大規模の物流拠点。ロボット導入による効率化、サステナブルな設備、働きやすい職場環境づくりなどが特長になっている。
建物1階のエネルギー消費量は従来比30%削減
カーボンフリーエネルギーの活用を積極的に進めており、地中熱ヒートポンプを利用した空調システムを導入。200本の地中熱交換器を使い、地下100mの安定した地中の温度を利用して建物の1階部分を冷暖房することで、低エネルギーで室温を快適に保っている。
これにより、建物の1階部分のエネルギー消費量は従来比で約30%の削減を見込む。この地中熱空調システムは国内で最大規模。Amazon全体でも先進的な取り組みという。


Amazon初の壁面太陽光発電設備
カーボンフリーエネルギー活用の一環として、建屋や駐輪場・駐車場の屋根上に加え、南側の壁面にも太陽光発電設備を設置している。世界各地のAmazonの物流拠点の中で、壁面太陽光発電を設置したのは「Amazon名古屋みなとフルフィルメントセンター」が初めて。


ここでの太陽光による合計発電容量は、日本全体の物流拠点に設置されているオンサイト型の太陽光発電設備として最大規模となる5.5メガワット。米国外のAmazonの拠点において最大の発電容量だという。
2.9メガワット時の蓄電容量を持つ蓄電池も併設し、夜間など太陽光が利用できない時間帯もカーボンフリーエネルギーを活用できるようにしている。

建物の基礎やオフィス部分には低炭素型のコンクリート素材を採用。雨水も積極的に利用しており、貯留槽にためた雨水を植物への散水、トイレの排水などに活用している。
日本で開発されたロボットが商品の入荷をサポート
Amazonでは、さまざまなテクノロジーで従業員の業務をサポートしており、「Amazon名古屋みなとフルフィルメントセンター」の1階でも、ロボット「デパレタイザー」が商品の入荷業務をサポートしている。
「デパレタイザー」は、届いた商品が入った折り畳みコンテナをコンベアに下ろす作業を自動化する。北米や欧州でも類似したシステムを導入しているが、日本のフルフィルメントセンターに適した規模のシステムを日本のチームが独自に開発。安全と人間工学に基づいて設計されており、負担軽減と作業効率の向上を実現しているという。

ロボットが入出荷をサポート
「Amazon名古屋みなとフルフィルメントセンター」の2〜4階は商品保管フロアとなっている。入荷した商品を保管棚に収納する「棚入れ」、注文があった際に商品を取り出す「棚出し」が行われている。
保管されている在庫は1900万点以上。1日あたりの最大の入荷および出荷はいずれも60万個以上となっている。ロボットが商品保管棚を運んで入出荷をサポートする「Amazon Robotics」エリアでは、ロボットが従業員をサポートしている。

棚入れ、棚出しは、「ドライブ」と呼ばれるロボットがサポートし、作業の効率化を図っている。

現在、「Amazon名古屋みなとフルフィルメントセンター」では、約3万1000台のポッドと約3500台の「ドライブ」を配備し、安全性と効率化に取り組んでいる。

働きやすい環境づくり
カフェテリアでは、カレーや、定食、丼もの、サラダや小鉢などを日替わりで提供しているという。構内ではレタスやエディブルフラワー(食べられる花)が栽培され、実際に提供されるサラダにも使われている。


授乳期間中の女性のためにマザーズルーム(搾乳室)を設置。ゆったりと座れる椅子やテーブル、冷蔵庫などが備えられている。このほか、宗教を問わず従業員が利用できる礼拝室なども設置されている。


梱包の簡素化を目的に、近年多く使われるようになった梱包資材である紙袋。「Amazon名古屋みなとフルフィルメントセンター」のエレベーターでは、Amazonで初めて紙袋のデザインを採用している。
