中川 昌俊 2015/5/12 12:30

佐川急便はスマートフォン(スマホ)を利用した「電子サイン」の導入を、4月から一部エリアで開始したと発表した。宅配便業界では初。2017年度までに全国の配達員5万人に配備していく。スマホを活用することで、受領処理をスムーズにするほか、配達時にスマホを使った新たな商品などの提案につなげていく考え。

宅配便の受け取りは従来、伝票への押印かサインが必要だった。新サービスに対応しているエリアでは、スマホの画面に専用のタッチペンでサインすることで荷物を受け取ることができる。複数個の場合も1回のサインで対応可能となる。

「これまで配達日の翌日以降でなければ、配達が完了している荷物の受領印データの確認ができなかったが、「電子サイン」の導入により最短5分で確認が可能となる。

佐川急便はペーパーレス化が促進できるほか、受取伝票をスキャンする手間や紛失するリスクがなくなる。

今後は新商品の新サービスを、スマホ画面を見せながら提案するといったことにも活用していくとしている。

スマホの電子サインで荷物を受け取るイメージ
担当編集者のコメント: 

スマホを利用した電子サインサービスについては、ユーザーにとって従来と比べ負担が大きくなることはなく、一方で佐川側の受け取り処理がスムーズになることを考えればぜひ進めていくべきことであろうと考えられる。

ただ、今後、検討しているというスマホを利用した新商品や新サービスの提案については、配送インフラである宅配会社の領分を越えてしまっているのではないかと思う。例えば、Aという会社の健康食品を定期購入している人に対して、佐川が提携しているBという会社の健康食品を配送時に提案することも可能だ。結果的に、配送インフラを持っている会社と、その会社と組んだ会社だけが有利になってしまうということにもなりかねない。

また、ユーザーとしても配送時に提案などをされることは期待しておらず、対応に困るというユーザーが増える可能性が高い。結果的に通販・EC市場にとってマイナスとなることは必至だ。

もし、実際に配送時に新サービスを提案するようなサービスが具現化するようであれば、業界として反対意見を挙げていかなければならないと考える。

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