競合メール便に対抗する小型通販荷物専用サービス「ゆうパケット」提供の狙い~日本郵便担当者インタビュー
日本郵便では6月1日から小型物品配送用の新サービス「ゆうパケット」を開始した。ヤマト運輸や佐川急便が提供しているメール便に対抗するサービスといえるが、どういった点が特徴なのか。今後の展開を含めて、日本郵便郵便・物流商品サービス企画部の外薗博文担当部長に聞いた。
――今回、新たに「ゆうパケット」というサービスを始めた狙いは。
従来、通販の荷物はある程度大きな商品が多かったが、最近では書籍やDVDや健康食品など小物の配送取引が増えてきた。また、従来は小物でも補償のことを考え、通常の荷物として送ることが多かった。しかし、最近では少しでも安く届けて欲しいというニーズが高まっており、ゆうメールを使って通販荷物を配送するネット通販事業者が増えている。
ただ、ゆうメールはそもそもカタログなどを送ることを想定して作っているため、追跡サービスがない。この点でやはりEC事業者からは「商品のため、お客様から問い合わせがあった際にどういう状況になっているかしっかり答えられるようにしたい」という声が多かった。また、ヤマト運輸や佐川急便のメール便でもこうした追跡機能があったため、ゆうメールでも対応して欲しいという声が多く、追跡機能を付けたサービスとして「ゆうパケット」を開発した。
――ゆうメールは通常の郵便と同じルートで配送していたと思うが、「ゆうパケット」はどうするのか。
ゆうパケットも郵便と同じルートで配送する。いろんな郵便物の中に、追跡機能付きの郵便物を入れるというのは、従来の仕組みでは難しかったが、オペレーションの見直しなどで可能になった。これまで、テストとして大口の通販事業者には、ゆうメールに追跡機能を付けて提供してきたが、ほとんど事故もクレームもなかったため、新しい商品として提供することにした。
――ゆうメールを存続させる意味は。
ゆうメールは本来の役割であるカタログやダイレクトメールの発送などに限って提供する。「ゆうパケット」は通販荷物向けのサービスとして展開していく。
――ヤマト運輸や佐川急便のメール便と比べて、強みとしている点はどこなのか。
通常の郵便と同じルートで配送するため、差出日のおおむね翌日~翌々日に配達できる(※他社のメール便では3~4日が平均的なリードタイム)。
また、荷物の大きさが3 辺が計60cm 以下、長辺 34cm 以下で、重さが1㎏以下という点では同じだが、厚さが3㎝以下と、他社よりも1㎝厚くできるようにした。通販事業者から話を聞くと、厚さでNGになるというケースが多かったので、この点は利用しやすいと思う。
速達の機能を応用することでオプションとして当日配送したり、翌日配送するエリアを広げることも可能だ。また、配送日指定も可能で、通販事業者にとってはより使いやすいサービスだと思う。
――リリースには具体的な料金が記載されていないが、実際どのくらいの価格で利用できるのか。
通販事業者向けのサービスのため、1社ごとに値段を提案していこうと考えているため、基本料金は発表していない。大口の通販事業者であれば、1個あたりの配送コストは100円を切ることもあるだろう。平均的には100円台で提供できるのではないか。
――発表以降の反響はどうか。
想定していた以上に大きな反響を得ている。問い合わせも多く、すでに成約に至った通販会社も各地で出てきている。従来、ゆうメールやメール便で通販荷物を配送するのは裏技的な側面もあり、あまりいい顔をされなかった。ゆうパケットは通販向けのサービスなので、堂々と利用でき、さらに使い勝手も良いという評価を得ている。
ゆうメールが使いにくかったため、ほかの通販荷物もまとめて他社に配送を任せていたが、今回、ゆうパケットができたため、まとめて荷物を日本郵便に任せるという通販事業者も出てきている。今後もさらに通販事業者に使いやすいサービスを開発提供していくことで、通販市場の荷物のシェアを高めていきたいと考えている。
メール便サービスの比較
ゆうパケット | クロネコメール便 | 飛脚メール便 | |
配送リードタイム | 差出日の翌日~翌々日 | 差出日の翌々日~3日後 | 差出日から3~4日後 |
荷物の大きさ | 3辺合計 60cm以内、 長辺 34cm以内 | 3辺合計 60cm以内、 長辺 34cm以内 | 3辺合計 70cm以内、 長辺 40cm以内 |
荷物の厚さ | 3cmまで | 2cmまで | 2cmまで |
料金 | 公表していない (平均100円台) | 厚さ1cmまで 82円 厚さ2cmまで 164円 | 300g以内 165円 |