Digital Commerce 360 2016/5/19 8:00

2015年にアジアのECビジネス市場は8350億ドルにまで成長しました。拡大するアジアのEC市場は、世界中のEC事業者にとって魅力的に映ります。しかし、インターネットリテイラー社が発行する「アジア EC事業トップ500社 2016版」にも記載されている通り国をまたいでECビジネスを展開するには、国ごとに異なるマーケットを熟知する必要があります

急成長するアジアEC市場、特に中国市場は、海外のEC事業者にとって魅力度が増しています。中国国家統計局のデータによると、2015年に中国国内の消費者は、5890億6100万ドル相当の商品をオンラインで購入し、前年比33.3%増になりました。

アメリカ商務省のデータでは、2011年から2014年までの間、アメリカ国内でのオンライン購入の売り上げは毎年15.5%で上昇。2015年は第3四半期までの間に15%近く上昇しています。

中国での好調な売り上げと成長は、中国国内の大規模なEC事業者がけん引しています。インターネットリテイラー社発行の「アジア EC事業トップ500社 2016版」でも、266社の中国EC事業者がランクインしています。2015年の年間オンライン売上を見ると、266社による売り上げが前年の1040億8200万ドルから1730億6900万ドルとなり、65.7%のペースで拡大。アジアのEC事業者トップ500社の総売り上げ額2200億ドルの79%を占め、成長率の89%を担っています。

アジアのEC事業トップ500社のリストに入ったアメリカの30社を見てみると、オンラインでの売り上げは24.2%増の210億9100万ドルで、売り上げの多くは中国国内の消費者によるものです。

アジア全体でみると、「アジア EC事業トップ500社 2016年版」にランクインしている500社の2015年の売り上げは、2014年から54.5%増。売り上げ額は1420億4200万ドルから2200億ドルまで上昇しました。

楽天、アリババ社が運営する7つの巨大オンラインマーケットプレイスでの取引額約4410億ドルを加味したインターネットリテイラー社の試算によると、アジア太平洋地域でのEC市場は8340億7100万ドル2014年の6310億8100万ドルから32.1%上昇しています。

アジアと中国でのEC事業の成長は、アメリカの成長をはるかに超えています。アメリカのブランドや小売業者がアジアや中国に進出しようとしているのはそのためです。

アメリカ商務省のデータでは、2015年の最初の9か月で、オンライン売り上げ額が2510億9800万ドルとなり、アメリカの全小売業の売り上げ(食品除く)3兆5100億円ドルの7.2%を占めています。

アジアにおけるオンライン市場の大きな成長は、アジアに拠点を持たない業者にとっても大きな魅力です。特に、外国製品を求めている中国人消費者を狙う業者にとっては魅力的に映るでしょう。

中国政府は近年、消費者がオンラインで外国製品を購入しやすい措置を採用し、売る側も買う側もその恩恵を受けています。10都市に自由貿易地域を設け、中国人の個人購入の場合、中国の税関が早く通関手続きをしてくれます。中国国外の会社も、通関を経なくても、自由貿易地域に外国から品物を送ったり、在庫を置いておくことができ、オーダーが入ったら、簡素化された通関手続きに沿って商品を送付することが可能です。

アメリカの小売業者は、マーケットプレイスを利用してアジアの消費者にアプローチしています。たとえば、アメリカの女性向けアパレルブランドBCBG Max Azria社は、中国でのオンライン上の存在感を高めるため、輸入商品を取り扱うアリババ社のマーケットプレイス「Tmall Global」でビジネスを始めることを決断しました。

BCBG Max Azria社のデジタルコマース・オムニチャネル担当の上級副社長ミシェル・ミリガン氏によると、BCBG社は今まで、ECの国際フルフィルメントのスペシャリストであるBoderfree社を通じて中国に商品を発送していましたが、中国での売り上げ拡大に伴い、大きな投資をすることを決めたそうです。

2015年11月、BCBG社は「Tmall Global」での運営をアウトソーシングするため「VoyageOne社」と契約を結びました。ミリガン氏によると、マーケティングとフルフィルメントをVoyageOne社に依頼するそうです。BCBG社はシンガポールの2店舗、台湾の5店舗も含め、中国でのマルチチャネル戦略を展開し始めています。

3億7500万人もの消費者がオンラインで買い物をする中国市場をはじめ、急成長しているアジア市場に目を向けているのは、BCBG社だけではありません。

しかしながら、オンラインの売り上げを伸ばそうとアジアに進出を試みる外国企業は、一様に同じ問題にぶちあたります。アメリカをはじめとする諸外国の小売業社がアジアのEC市場で成功するためには、各国それぞれのマーケティング、物流、文化、規制を調べ、それらに伴うコストを洗い出す必要があるのです。

BCBG社は「アジア EC事業トップ500社」にはランクインしていませんが、2014年のオンライン売り上げ3790万ドルで、「北米 EC事業トップ500社」の424位に入っています。アジアで成功するには、「各国の消費者が何を求め、必要なサービスを提供できる現地のベンダーを探すことが必要だ」とミリガン氏は語っています。

「各国の経済力学と文化を理解することが大切です。支払いもカスタマーサービスも全て現地に根付いたものでないといけないのです」と、ミリガン氏は話します。

  • 「Internet RETAILER」のオリジナル記事はこちら

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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