楽天など総合モールの4-6月期、消費増税の影響は限定的で流通額は各社前年実績上回る
楽天、ヤフー、ディー・エヌ・エー(DeNA)が運営するECモールの14年4-6月における流通額の成長率は、楽天が前年同期比8.1%増、ヤフーは同3.5%増、DeNAは17.0%増と、各社とも前期実績を上回った。消費増税前の駆け込み購入の反動が懸念されたが、各その影響は限定的だったようだ。
大型ポイントセール多数開催し、消費増税の反動和らげる
増税後の4月は影響が大きかったようで、あるファッションECサイトの運営者は「毎日30~40件の注文があったが、4月に入ってから1日数件ということも多かった」と言う。「日用品は駆け込み購入で、4月度は売れ行きが悪くなることを予想していた。人手が空いたので、物流の再編などを行っている」と話す日用品EC社長もいた。
ただ、5月以降は前年を上回る売り上げになったという声が多く、増税の影響は4月度だけにとどまった模様。モール側は再び成長基調を呼び戻そうと、大型ポイントセールを従来よりも多く開催するなどして、活性化を図った。
その結果、楽天市場の6月度のジャンル別流通額は本やDVDが前年同月比33%増、スイーツは同16%増、花・ガーデン・DIYは同15%増と高成長を記録。ただ、車・車用品(同9%減)、腕時計(同8%減)、化粧品(5%減)など、高単価商品で買い控えが起きており、特定商品ジャンルではまだ、増税の影響が出ていることがうかがえる。
DeNA、注力した食品、日用品強化策が当たり
総合モール運営の3社の中で最も成長率が高かったのがDeNA。昨年7月に西友と共同で「SEIYU.ドットコム」を開始し、同年10月には、飲料や食品が安く購入できる「EVERY MART」を開設した。今年1月にはドラッグストアのサンドラッグと共同で日用品ECの「サンドラッグ.com」を開始するなど、日用品の取り扱いに注力してきた。
価格面でも戦略的に最安値となるような商品を多く取り扱うなどして、日用品の消費者の取り込みを図った。その結果、流通額全体の拡大につながっている。「日用品の購入者が増えれば、そこで得たポイントでファッションを購入するなど、出店者の販売にもプラスの影響が出ているようで、いい流れになってきている」(久我剛人統括部長)。今後も日用品を強化することで、流通額の拡大につなげていく。
残暑が長引かなければ2ケタ台への成長回復の期待も
EC各社の7月以降の売れ行きを聞くと、堅調に推移していると話す事業者が多い。8月は例年、気温が上がると流通額が伸びる傾向がある。今年も関東地域を中心に気温が高い状態が続いているため、商品の売れ行きは順調そう。
ただ、8月末以降、残暑が長引くとアパレルが伸び悩む傾向がある。9月以降暑さが和らいでいけばモールの流通額も例年のような2ケタ成長に回復していきそうだ。
また、4-6月期では最も成長率が低かったヤフーも8月末から「Yahoo!ショッピング」出店者向けにカスタマイズしたクリック課金型広告サービス「Yahoo!プロモーション広告」の提供を始める。出店者の利用意識も高く、こうした広告枠の利用が広がることで、流通額の拡大につながる可能性もありそうだ。