内田 愛子 2017/12/12 7:00

クリスマスにお正月、大掃除に帰省の準備、仕事納めに仕事始め……。公私ともに大忙しの年末年始は、ネットでお買い物をする頻度が高くなる時期でもあり、ネットショップの売上を伸ばす大切な商戦期でもあります。今回のトレンド研究所は「年末年始」の消費に大注目。Yahoo! JAPANの検索を経由してEC各社サイトに流入した「検索ワードのランキング」と、年末年始に見えてきた「おひとりさま」ニーズを紹介します。

年末年始の週間EC検索ランキング一挙公開

年末年始に検索数が増加する「定番キーワード」はあるのでしょうか? 2016年末から2017年始の検索データと、過去3年間の検索上位データを抽出。毎年検索される「年末年始の定番キーワード」ランキングを作成しました。

12月19日〜12月25日(クリスマスウィーク)

1位	クリスマスプレゼント2位	クリスマスケーキ3位	クリスマスカード4位	福袋5位	お歳暮6位	ティファニーネックレス7位	ブッシュドノエル8位	ケルヒャー高圧洗浄機9位	サンタコスプレ10位	筆まめ
2016年12月19日〜12月25日の季節性定番検索キーワードランキング

「クリスマス」に関する商品がベストスリーを独占。男女問わず、クリスマスは直前まで関心が高い状態です。その反面、26日以降はほとんど検索されなくなるのが「クリスマス」の特徴でもあります。「高圧洗浄機」や「筆まめ」など、徐々に新年準備の検索も増える傾向です。

12月26日〜1月1日(いよいよ年の瀬)

1位	福袋2位	正月飾り3位	おせち4位	獺祭5位	福袋 おすすめ6位	門松7位	しめ縄飾り8位	お年賀9位	数の子10位	カニ 通販
2016年12月26日〜2017月1月1日の季節性定番検索キーワードランキング

豪華な商品や、工夫をこらした企画や特典が魅力の「福袋」。女性を中心に、年末から下調べを始める方も増えているようです。日本酒の「獺祭(だっさい)」や「カニ」など、お正月のごちそうも気になるようです。

1月2日〜1月8日(お正月休暇期間)

1位	福袋2位	お年賀3位	神棚4位	お飾りを外す日5位	ps4 ソフト ランキング6位	卒業式 服 母7位	アディダス 福袋8位	パタゴニア セール9位	スキーウェア レディース10位	成人式 お祝い お返し
2017年1月2日〜2017年1月8日の季節性定番検索キーワードランキング

「セール」や「福袋」など、お正月ならではの買い物を楽しむ人が多数。また、ゲーム関係のキーワードが上位にランクインするなど、時間に余裕がある人も多いことが、検索データからうかがえます。

1月9日〜1月15日(日常が戻る頃)

1位	バレンタイン2位	雛人形3位	卒業式 服 母4位	バレンタインチョコ5位	成人式 着物6位	入学式 スーツ 母7位	ps4 ソフト ランキング8位	神棚9位	お雛様10位	スキーウェア レディース
2017年1月9日〜2017年1月15日の季節性定番検索キーワードランキング

正月気分が抜けて日常が戻ってくる頃。消費者の関心も次のイベントへと移ります。「バレンタイン」や「卒業」「入学」など、春の行事のキーワードが上位を占めます。

このように、年末年始は短いスパンでEC検索トレンドも変わります。消費者の関心やニーズの変化に対応できるよう、前もって計画をたてておきましょう。

知っておきたい最新ニーズ・年末年始は誰と過ごす?

クリスマスやお正月は、家族や友人、恋人など、親しい人と一緒に過ごすのが定番とされてきました。実は1人で過ごす方も多いのをご存知ですか?

クリぼっち」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「クリぼっち」とは、クリスマスを1人ぼっちで過ごすことを意味します。テレビでも紹介され、検索数もここ数年急増しています。

2016年にYahoo! JAPANが実施した意識調査からも、クリスマスは「1人で過ごす」という方が多いことがわかります。

「おひとりさま」ニーズでトレンドに変化が

こうした「おひとりさま」ニーズに、市場も敏感に反応しています。2016年のクリスマスには、都内の大手百貨店が「クリぼっち」コーナーを設置し、おひとりさま用の小さなクリスマスケーキなどが大人気になったというのです。

また、お正月の「おせち」の人気商品の傾向にも変化が出ています。二段、三段と重ねられた豪華なおせちに加えて、ここ数年は「1人前」や「一段重」といった、小人数向けのおせちの人気がじわじわと上昇中。Yahoo!ショッピングでも販売するお店が増えています。

ハースト婦人画報社の調査によると、一緒におせちを食べる人数が減少傾向にあるようで、「こんなおせちがあったらいいベスト5」に、「少人数用」「1人一重」のおせちがランクインしています。

1位 有名シェフ、料理人によるおせち 45.9%2位 少人数用おせち 37.3%3位 和洋中組み合わせのおせち 32.7%4位 1人一重になっているおせつ 29.8%5位 オードブル付きおせち 26.9%2018年おせちに関するトレンド調査
出典:「2018年おせちに関するトレンド調査」(ハースト婦人画報社)

もう1つ、おせち料理の最新キーワードをご紹介しましょう。2016年の年末、「ワンプレートおせち」というキーワードの検索数が急上昇しました。どうやら、画像投稿サイトを中心に一気に拡散したようです。確かに、色とりどりの料理が並ぶおせちは「インスタ映え」も抜群。重箱からワンプレートへ、おせち料理の新定番となる予感がします。

おせちの取り扱いがある場合、「ワンプレート」に美しく盛り付けた写真を、商品画像として登録すれば、新たな客層にアピールできるでしょう。

ワンプレートおせちのイメージ

「1人前」から広がる可能性

「プチケーキ」や「1人前おせち」は、いわゆる「おひとりさま」に限定されたニーズと言い切れるでしょうか? 実はそうでもないのです。例えば、

  • (お悩み1)幼稚園に通う長女は「ショートケーキ」が好き。だけどママの本音は「ビターなチョコレートケーキ」を食べたい。
  • (お悩み2)祖父母世代は「和風おせち」だけど、高校生の孫はローストビーフが入った「洋風おせち」を食べたがっている。
  • (お悩み3)来客がある場合、家族用のお重からおせち料理を出すのは、お互いに気まずい。

こんな風に、大勢で集まる席のお料理は「世代」「食の好み」「体質」など、さまざまな気配りが必要。メニュー選びには意外と苦労します。そこで「一人前」の商品がお助けアイテムとして活躍しているんです。

  • (解決1)クリスマスケーキをホールからプチケーキにすることで「ショートケーキ」「チョコレートケーキ」「洋酒入り」など、それぞれ好みのケーキを選ぶことができます。クリスマスデコレーションのプチケーキを盛り合わせれば見た目も華やか。インスタ映えも期待できます。
  • (解決2)前述の「こんなおせちがあったらいいベスト5」に、「和・洋・中組み合わせ」のおせちがありますが、それぞれ「1人前おせち」を購入して、希望をかなえる人も多いというのです。
  • (解決3)外見は定番の豪華三段重、実際はすべての段に同じお料理が詰められた「1人一段重」のスタイルは、来客時にも重宝されます。

また、外見は定番の豪華三段重、実際はすべての段に同じお料理が詰められた「1人一段重」のスタイルは、来客時にも重宝されているようです。

1人前を集めてお悩み解決

このように、「プチケーキ」や「1人前おせち料理」は、決して「おひとりさま」向けに限られた商品ではありません。さまざまな場面で選ばれる可能性が広がっています。

まとめ

年末年始のニーズが変化していることがお分かりいただけたでしょうか? 自慢ではありませんが筆者も「晩婚さん」でありまして、1人のお正月も何度か経験しています。スーパーで自分好みのおせち料理を購入し、お皿に盛り付けたりしました。今で言う「ワンプレートおせち」です。当時もそれなりに満足でしたが、今はSNSで「いいね!」がもらえる時代です。

「1人」でも「みんな」でも、楽しい年末年始の演出ができる。今後は、そんな商品の人気がますます高まってくるかもしれません。

この記事が役に立ったらシェア!
これは広告です

ネットショップ担当者フォーラムを応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]

[ゴールドスポンサー]
ecbeing.
[スポンサー]