株式会社エフカフェ 2018/5/8 8:00

“本気”のCVR実践講座・第5弾のテーマは「メールマガジン」です。初回購入者に、2回目も購入してもらうために活用したいのが「メルマガ」。メルマガの効果を最大化させる方法を“本気”で考えます。 
キャラクターデザイン◎材井千鶴 イラスト◎宮川綾子

ただなんとなく送っているメルマガに効果なし

ほとんどのECサイトが会員にメルマガを配信しているでしょう。 しかし、その多くはユーザー全員に同じ情報を配信し、結果の検証をする時間もなくメルマガを送信し続けています。ユーザーにとっては、自分自身に関係のない情報を何度も受け取ることになるため、次第に興味がなくなり、やがて開封すらしなくなります。そうして、メルマガの効果は薄れていくのです。

一方、メルマガをうまく売上UPにつなげているECサイトは、PDCAサイクルを効率的に回しています。どのユーザーに対して、どういう目的で、どういう情報を提供するのかを決めた上で、細かなテストを行い、結果を分析して次の配信に活かしています。 つまり、メルマガをユーザーのCVアップにつなげているECサイトは、「セグメント」と「A/Bテスト」を活用しているのです。

セグメントとは、ユーザーを年齢や性別、地域、購入商品などの属性によって配信対象を分けることを意味します。 またA/Bテストとは、クリエイティブをAパターン、Bパターンの2種類用意し、配信対象のユーザーを半分ずつに振り分けて、どちらのパターンの方がより高いクリック、CVが得られるかを検証する方法です。 このセグメントおよびA/Bテストを行うことで、メルマガをCVアップにつなげることができます。

HTML形式のメルマガで、購入意欲の高いユーザーにセグメントした上で、コンテンツの掲載順序を変更したA/Bテストを行い、売上が20倍になった事例をご紹介します。

メールマガジン
メルマガは、もう売上への
効果がないのでは・・・?
そんなことはありません!「試して」から判断しましょう!

事例その①
コーヒー豆とコーヒーメーカーを販売しているショップの場合

このECサイトが取り扱うのは、コーヒー豆と専用メーカーです。コーヒーメーカーは1万円以上の高額商品です。 まずはセグメントを行います。

  1. このコーヒーメーカーが活躍するのはコーヒー豆があってこそ。 なので、まずは「コーヒー豆を購入したことがある人」にセグメントします。
  2. さらに、コーヒー豆とコーヒーメーカーも購入しているユーザーの購入実績を分析すると、「約7割のユーザーがコーヒー豆を購入してから1か月以内にコーヒーメーカーを購入している」という傾向がわかりました。 そこで「コーヒー豆を購入してから1か月以内の人」にさらにセグメントします。
  3. そして最後に、コーヒーメーカーは特別価格での販売となるため、すでにコーヒーメーカーを購入している人は除外します。

このセグメントしたユーザーをランダムに半分ずつに振り分け、メルマガに掲載するコンテンツを下記のAとBで出し分けるテストを行いました。

「メルマガ」ABテスト
Q.どちらの結果が良かったでしょうか?
A
コーヒー豆と専用のコーヒーメーカーを
販売しているショップの場合・・・
セグメント…コーヒー豆を購入したユーザー
「コーヒー豆」がより美味しく
引き立つ「コーヒーメーカー」が今なら特別割引
「コーヒー豆」はいかがですか?なくなっていたら買ってくださいね。
カート
カート
1
2
3
4
5
B
「コーヒー豆」がより美味しく
引き立つ「コーヒーメーカー」が今なら特別割引
1
「コーヒー豆」はいかがですか?なくなっていたら買ってくださいね。
2
当店のコーヒー豆を美味しく淹れられるコーヒーメーカーは
こんな商品
当店のコーヒー豆を美味しく淹れられるコーヒーメーカーは
こんな商品
カート
3
4

A案は、

  1. コーヒー豆がより美味しく引き立つコーヒーメーカーが今なら特別割引
  2. 「カート」
  3. コーヒーメーカーはこんな商品
  4. 「カート」
  5. コーヒー豆はいかがですか?なくなったら買ってくださいね。

という、コーヒーメーカーがすぐ購入できる「セール押しのシナリオ」です。

B案は、

  1. コーヒー豆がより美味しく引き立つコーヒーメーカーが今なら特別割引
  2. コーヒー豆はいかがですか? なくなったら買ってくださいね。
  3. コーヒーメーカーはこんな商品
  4. 「カート」

という、コーヒーメーカーの必要性を順序立てて紹介した「ストーリー重視のシナリオ」としました。

A案とB案はコンテンツの掲載順序を変更しただけです。 では、どちらの結果が良かったと思いますか? 結果は……

  • A案の経由売上:2万円
  • B案の経由売上:40万円

なんと約20倍もの違いがありました。商品が欲しければすぐにカートに入れることができるA案よりも、最後までメールを読まなければカートに入れられないB案の方が良い結果となったわけです。

この結果からわかるのは、「この店のユーザーは高額商品を購入する際、しっかり内容を読んで吟味し、そして価格に納得して購入する」ということです。 このA/Bテストから、他の高額商品を提案する際も、ストーリー立てて紹介し、カートを下部に設定するようになりました。

Bはユーザーがコーヒーメーカーの良さをストーリーによって理解できた
ユーザー

事例その②
美容系サプリメントを販売するショップの場合

A/Bテストの事例をもう1つご紹介します。 美容系健康食品を販売する会社のメルマガ(HTML形式)で、500円モニターキャンペーンのファーストビューのイメージを変更するA/Bテストを実施しました。

このECサイトでは、メインユーザーとして50代女性のペルソナを作っていました。 ただ、この美容系商品に関しては「年代別にお悩みが異なるのでは?」という仮説のもと年代別のセグメントを行い、メルマガを検証することにしました。

  • A案……その美容系健康食品を活用した未来像をイメージさせるキレイな40代女性のビジュアルをファーストビューにしました。
  • B案……モニターキャンペーンの「500円」押しで、女性ビジュアルは入れずに価格と商品画像のみのファーストビューにしました。

そして、この商品のターゲットとなり得る40代女性、50代女性、60代以上女性をセグメントし、3回に分けてA/Bテストを実施しました。

「メルマガ」ABテスト
Q.年代別に違いはあるでしょうか?
A
健康食品を販売しているショップの場合・・・
セグメント…「40代女性」「50代女性」「60代女性」
「40代女性」
ユーザー
カート
B
カート
サプリ
サプリ
キレイな40代女性の
ビジュアル
モニターキャンペーンの
500円押し
¥500

では、どちらがCVにつながったと思いますか? 実は、このケースでは年代別に異なる結果が出ました。CVが多かったのは、

  • 40代女性はA案
  • 50代女性、60代以上女性はB案

という結果だったのです。

一般的に健康食品や化粧品のランディングページでは、ファーストビューに未来像をイメージさせる女性のビジュアルを入れます。 そうすることで、商品を使うことへの期待値を高め、ページを読了してもらい、CVへとつなげていきます。

今回、40代女性に関してはそのシナリオ通り、A案の方が良い結果となりました。しかし、50代女性と60代以上女性では価格をアピールしたお得感押しのB案が良い結果となりました。

考察①:女性モデルの年代

この結果に至った理由として考えられるのは、まずは女性モデルの年代です。40代女性の写真を使用したことで、まさに同年代にあたる40代女性は自分ごと化され、50代以上の女性にとっては、イメージしづらかったのではと考えました。

考察②:件名とファーストビューの関係

そしてビジュアル以外に考えられる要因が、件名とファーストビューとの関連性です。今回のメルマガは開封率アップをねらい、下記のようなお得感を訴求する件名にしました。

<<○○様への特別なご案内>>500円モニターキャンペーン

その件名の答えとしてB案の方がわかりやすく、50代、60代以上の女性の購入につながったのではと分析しました。 一方で40代女性は「お得であっても不要なものは購入したくない。説得材料や納得感があってこそ購入する」というところからもA案が良かったのではないかと考えました。

ファーストビューで
自分の未来を想像した。
A
「50代女性」
ファーストビューにより
すぐにお得さが理解できた。
B
「60代女性」
B
ファーストビューにより
すぐにお得さが理解できた。

この結果を受けて、商品によっては年代別にアプローチを変えること、自分ごと化してもらえるような写真の選択、また件名とファーストビューとの関連性を重視してクリエイティブを作るようになりました。

A/Bテストを成功させるコツとは?

最近はメルマガ配信システムも高機能になり、セグメントやA/Bテストも簡単に実施できるようになっています。セグメントをした上で細かなA/Bテストを行うことは、ユーザーの傾向を知ることができ、CVアップへとつなげることができます。「メルマガでは、効果が見込めなくなってきている」。あなたがもしそう思っているなら、セグメントやA/Bテストを行い、PDCAを効率的に回してください。

ただ1点、A/Bテストを実施する際の注意点があります。それは、今回の事例のようにA/Bテストにおいて変更する箇所は1つだけにすることです。複数箇所を変更すると、どの部分が結果に影響したのかが判断しづらくなります。1箇所だけの変更を繰り返しながら、よりCVにつながるクリエイティブを見つけて下さい。

一生懸命時間をかけて作ったメルマガでも、結果を検証せず全配信を繰り返していると、次第にユーザーが離れてしまいます。日々のメルマガ作業を価値ある時間にするためにも、ぜひテスト検証をお試しください。

◇◇◇

次回の本気シリーズは「エントリーフォームの最適化」。 ECサイトにおいて、CVアップのためにはランディングページや商品ページのクリエイティブ改善に注目しがちですが、それと同じくらい大切なのが、買い物かごに入れてから購入完了するまでの流れです。

実店舗とは異なり、ECサイトでは、買い物かごに入れてからも多くのユーザーが離脱してしまっています。次回の本気シリーズは「ユーザーの情報を入力し、購入完了までスムーズに促すテクニックとは?」。お楽しみに。

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