【送料問題】通販・EC売上トップ300社の8割が無料サービスを継続、取りやめは一部
宅配便各社の運賃値上げから、通販企業の顧客に求める送料を改定する動きが続いている。ヤマト運輸や佐川急便が値上げに踏み切った昨年秋から、日本郵便の今年3月の値上げ後の年度変わりとなる4月までに多くの企業が改定し100~200円程度上げたところが多い。さらに7月に値上げを予定している通販企業も少なくない。宅配便大手3社は、現状も値上げ交渉を必要とする取引先が残されていることなどもあり、今後も暫く送料改訂を迫られる通販企業が相次ぐと見られる。
表は昨年4月以降、送料改定を行った主な通販企業の一覧。各社の通販サイトの送料に関する記載や取材で明らかになった改定内容をまとめた。
大手専業のニッセンホールディングスは昨年5月に早々と改定。購入額が税込5400円未満の場合の送料を同390円だったのを100円引き上げ同490円に変更した。さらに今年3月末に購入額に関わらずインターネットの注文で同350円、電話・ハガキでは同540円の送料を徴収するように再改定し無料サービスをなくした。
ニッセンと同様、ベルーナも昨年と今年の2度にわたり実施。1度目は昨年10月に税別5000円未満の購入に対する送料を同390円から同490円と100円上げ、今年4月の2度目の際は従来無料となっていた同5000円以上の購入でも同190円の送料を設定した。同5000円未満は変更せず同490円のままとした。
千趣会は11月に税込5000円未満の個購入時の送料を同350円から490円に引き上げている(頒布会も同2160円の購入に対する送料を同250円から同350円に引き上げ)。
送料改訂が相次いだ10~11月は、大手専業2社のほか、ファッション通販をはじめとしたところが値上げに踏み切った。ファッション通販サイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイが10月に顧客が自由に送料を設定できる「送料自由」を実施し、その結果を受けて11月から購入金に関わらず一律税込200円に変更。従来の同4999円以上の購入での無料サービスを取り止めた。
また12月に改定した良品計画は商品ジャンルごとに送料を設定しているが、ほぼ全てのジャンルで引き上げた。ただ衣服雑貨や文具、家具などは税込756円から同790に改定したが、この送料を5月半ばに同490円へと300円もの大幅引き下げを実施。比較的低額な商品群であるものの主力となることもあり、ポスト投函タイプへの配送への変更などにより送料を減額したことなどかが考えられる。
今年に入っても改定の動きは続き、特に年度変わりの4月は多くが改定に踏み切った。アマゾンジャパンをはじめ、百貨店系、健康食品・化粧品通販などの送料引き上げが目立った。
料金改定は5月以降も相次いでいる。7月以降に予定するところもあり、富山常備薬グループとローソンHMVエンタテイメントが引き上げを実施する。最も遅く運賃値上げに動いた日本郵便の大口取引先では現状も値上げ交渉中のところもあるほか、他の大手2社でも交渉を必要とする取引先が残されているようで、今後も送料改訂に乗り出す通販企業は少なくないと見られる。
送料無料、10社が取り止め<売上高上位300社の実施状況>
送料無料サービスは8割の通販企業が実施。通販新聞社の「通販・通教実施企業売上高ランキング調査」の上位300社を対象に送料無料への取り組み状況を調べたところ(図参照)、78.7%に当たる236社が無条件あるいは一定の条件のもとに顧客の送料負担を免除するサービスを提供していることが分かった。昨年来の宅配便運賃値上げの動きから、無料サービスの取り止めや、無料となる購入額の引き上げを行った企業も一部にある一方、多くの通販企業は従来通りに送料無料サービスを継続しているのが実態となっている。
送料無料を行っている企業のうち、全面的に送料無料とするのは15社(5.0%)で、ファッション通販や化粧品通販の一部企業に多い。一定額以上の購入した全顧客に対し送料無料とする企業は128社(49.3%)だが、このうち12社(4.0%)はこの1年ほどの間に基準となる購入額を引き上げ(引き下げたところも1社ある)、また全面的に送料無料としていたのを一定額以上の購入を条件に新たに設けた企業が2社(0.7%)ある。
一部商品や一部地域限定に送料無料サービスを行っている企業は81社(27.0%)。このうち47社(15.7%)が購入額に関わらず送料無料とし、34社(11.3%)が一定額以上の購入の場合に限り送料無料としている。なお、一部商品としては定期購入などを対象とするところが多く、一部地域では北海道や沖縄県、離島などを除く地域に設定しているところが多く見られる。
このほか、キャンペーンとして送料無料を行うところも少なくない。期限を設けて送料無料サービスを行っているのは6社(2.0%)で、そのうち3社(1.0%)が購入額に関わらず無料とし、残り3社(同)が一定額以上の購入を条件として設けている。
一方、送料無料を行っていない企業は56社(18.6%)。このうち10社(3.3%)がこの1年の間で送料無料サービスを取り止めた企業となっている。
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