瀧川 正実 2018/8/29 12:00

アマゾンジャパンは8月28日、「Amazonショッピングアプリ」に表示されるQRコードを使い、実店舗でもAmazonアカウントを利用して決済できる仕組みの提供を始めた。アマゾンの決済サービス「Amazon Pay」を実店舗でのスマートフォン決済に対応したことで実現、飲食店や美容院、衣料品といった実店舗での利用を見込む。どうすれば実店舗を持つ事業者は「Amazon Pay」を利用できるようになるのか。その仕組みなどを解説する。

アマゾンのスマホ決済、その仕組みは? 導入メリットは?

「Amazon Pay」の実店舗でのスマートフォン決済対応
「Amazon Pay」の実店舗でのスマートフォン決済対応イメージ

「Amazon Pay」とは、Amazonのアカウントに登録された配送先住所やクレジットカード情報を使い、Amazon以外のECサイトでログインや決済ができるID決済サービス。2015年5月に日本での事業をスタートし、数千社以上が運営する自社ECサイトに導入されている。

「Amazon Pay」の導入実績
「Amazon Pay」の導入実績

実店舗のスマートフォン決済には「Amazon Pay」の仕組みを活用。「Amazon Pay」を導入した実店舗設置のタブレット端末などで、「Amazonショッピングアプリ」に表示されるQRコードを読み取ることにより、Amazonアカウントを利用して決済できるようになる。

「Amazonショッピングアプリ」に表示されるQRコードを使い、実店舗でもAmazonアカウントを利用して決済できる仕組

第三者調査だが、「Amazon.co.jp」を使う人は、Webが月間1700万ユニークビジター、スマホが月間3700万ユニークビジター。スマホで頻繁に利用する人はアプリを使う。そうした人が面倒な設定をすることなくQRコードで支払いができるようになっている。

こう説明したのは、Amazon Pay事業本部 井野川拓也事業本部長。「Amazon Pay」を活用した実店舗でのスマホ決済を利用する事業者のメリットとして、「顧客体験」「新規顧客」「キャッシュレス」の3点をあげた。

「Amazon Pay」の実店舗でのスマートフォン決済対応 事業者の導入メリット
事業者の導入メリット応

実店舗を構える事業者が利用するには?

事業者がアマゾンの実店舗決済の仕組みを利用するには、「Amazon Pay」の公式認定制度「グローバルパートナープログラム」のパートナーであるNIPPON PAYの子会社、NIPPON Tabletが提供するタブレット端末を店舗に置く必要がある。

NIPPON PAYが手がける2ブランド戦略
NIPPON PAYが手がける2ブランド戦略

NIPPON Tabletが提供するタブレット端末は、外部事業者の事業者がプラットフォームを通じてサービスを提供するオープン型を採用。クレジットカード決済やQRコード決済のほか、テレビ電話通訳サポート、免税処理といったサービスを、NIPPON Tabletのプラットフォームを通じて外部事業者が店舗運営者に提供している。

Amazonはこの仕組みに参加。NIPPON Tabletが提供するタブレット端末を導入している事業者は、「Amazon Pay」を導入することで実店舗でのアマゾン決済を利用できるようになる。

NIPPON Tabletが採用するプラットフォーム型タブレット端末
NIPPON Tabletが採用するプラットフォーム型タブレット端末

消費者が支払った金額は、Amazonに登録しているクレジットカード経由で銀行口座から引き落とされる仕組み。

NIPPON Tabletが提供するタブレット端末の設置台数は2018年6月末時点で1万4851台。ターゲット層は、カード・電子マネーが利用できない古いレジを使う「レジ未更新市場」と言われる中小・個人店市場で、120万店舗以上が古いレジのままという。

NIPPON Tabletが提供するタブレット端末の設置台数は2018年6月末時点で1万4851台
タブレット設置契約数は2018年末までに5万6000台以上を見込む

NIPPON Tabletは現在、実店舗へタブレット本体を無料レンタルしており、「120万店舗の市場に無料でタブレットを提供していく」(NIPPON PAYの高木純社長)。

日本国内店舗の市場について
日本国内店舗の市場について
古いレジのままのレジ未更新市場が存在する理由
古いレジのままのレジ未更新市場が存在する理由

実店舗向け「Amazon Pay」の決済手数料は3.5%。NIPPON Tabletは2020年までその決済手数料を自社で負担、導入企業には決済手数料無料で展開する。2021年以降、改めて加盟店に向けて決済手数料の再提案を行うとした。

なお、売上金の入金について、サービス開始当初は月末締めの翌月15日払い。2019年内に、最短翌日に事業者へ売上金を入金できるようにする。

NIPPON Tabletのキャンペーン戦略
NIPPON Tabletのキャンペーン戦略

なお、ネット通販と店舗を展開している企業では、在庫管理などの問題が浮上する。NIPPON Tabletのプラットフォームには在庫管理などのサービスは提供されていないものの、「ネット通販との連動ができるサービス提供会社からのプラットフォーム参加を受け付けている」(高木社長)とのこと。

アマゾンがリアルに進出する理由

私たちは、オンライン、オフライン、デバイスの垣根を越えて、お客さまへ包括的に利便性の高い購買体験を提供していく。事業規模の大小に関わらず、(Amazonの)サービスを使うことで事業者のビジネスをサポートしていきたい。

こう話すAmazon Pay事業本部の井野川本部長が掲げたのが、「Amazon Pay」がめざす「コネクテッド・コマース」という概念。

「Amazon Pay」がめざす「コネクテッド・コマース」
「Amazon Pay」がめざす「コネクテッド・コマース」

ネット通販だけでなく、さまざまなチャネル、デバイスを通じて消費者の購買体験を向上させていくというものである。

その1つの取り組みが、7月にリリースされた、「Amazon Echo」シリーズなど「Alexa」搭載デバイスに話しかけると、声で日本赤十字社に寄付ができる仕組み。「Amazon Pay」を採用し、消費者などが「Amazon.co.jp」の情報を使って決済できるようにするための「Alexaスキル」(クラウド内で実行されるアプリ)を日本赤十字社が独自開発した。

「Amazon Pay」対応の「Alexaスキル」を開発するための開発情報は、現在のところ日本では公開されていないものの、アマゾンでは「Amazon Pay」利用企業が、「Amazon Alexa」を通じた音声ショッピングに対応できるようにするための環境整備を進めている。

実店舗において「Amazon Pay」決済で支払いした後のイメージ
実店舗において「Amazon Pay」決済で支払いした後のイメージ
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