自社ECサイトも音声ショッピングに対応できる――アマゾンが日本向け「Amazon Pay」対応のスキル開発情報を準備中
Amazon(アマゾン)の音声認識サービス「Amazon Alexa」を通じ、自社ECサイトでも簡単に買い物ができるようになる――。こんな時代が間もなくやってきそうだ。アマゾンジャパンは7月30日、決済サービス「Amazon Pay」を利用する自社ECサイトが、“音声ショッピング”に対応できるようにする方針を示した。具体的な時期は未定だが、準備を進めているという。
日本赤十字は声で寄付の仕組みを構築
7月30日、アマゾンジャパン本社で開かれた日本赤十字社と災害に関するパートナーシップに関する協定締結の発表会。この席で、「Amazon Echo」シリーズなど「Alexa」搭載デバイスに話しかけると、声で日本赤十字社に寄付ができる仕組みが披露された。
たとえば、ユーザーは「Alexa(アレクサ)、赤十字で100円の寄付をして」などとAlexa搭載デバイスに話しかけるだけで、日本赤十字社に寄付することができるようになる。
この仕組みは、「Amazon.co.jp」に登録されたクレジットカード情報やユーザー情報を使い、Amazon以外のECサイトでログインや決済を行えるサービス「Amazon Pay」を採用。外部ECサイトでも、消費者などが「Amazon.co.jp」の情報を使って決済できるようにするための「Alexaスキル」(クラウド内で実行されるアプリ)を日本赤十字社が独自開発した。
「Amazon Pay」対応スキルの開発情報は「準備中」
「Amazon Pay」対応の「Alexaスキル」を開発するための開発情報は、現在のところ日本では公開されていない。今回の日本赤十字社の取り組みは日本初のケースとなる。
だが、会見に登壇したAmazon Pay事業本部 井野川拓也事業本部長は「(「Amazon Pay」を利用している自社ECサイトも利用できるように)準備は進めており、開発できるような状況になったら改めてお知らせする」と説明。数千社が導入している「Amazon Pay」利用企業が、「Amazon Alexa」を通じた音声ショッピングに対応できるようになる環境整備を進めているとした。
「Amazon Pay」対応の「Alexaスキル」の開発情報は2018年5月、米国では企業向けに一般公開が開始されており、既に花のECを手がける「1-800-Flowers」などが音声ショッピングを始めている。
日本向けの開発情報の公開は井野川部長が説明したように、公開準備が進められている。「Alexaスキル」の開発に関する情報ページには「Amazon Pay」の開発に関するページが設置されており、「こちらのページは現在英語のみのご用意となっております。順次日本語化を進めてまいりますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします」とアナウンスされている。
「Amazon」では既に音声ショッピングがスタート
米国では2014年に「Amazon Echo」の販売を開始。音楽プレイヤー兼インターネット検索ができるデバイスとして展開されていたが、その後、ショッピング機能が追加されていった。
「Amazon.com」で購入履歴のある商品を「Alexa」経由でリピート注文できる機能を追加。2016年のアップデートで、「Amazon.com」で販売しているほとんどの商品を「Alexa」経由で注文できるようにした。
米国のリサーチ会社Consumer Intelligence Research Partners LLC(CIRP)によると、米国では2016年末で820万人以上が「Amazon Echo」を利用、5月末時点で1070万人が使用していると推定。
米国の調査会社ComScore社は、音声検索は2020年までにすべてのインターネット検索の半分を占めるようになると予測。市場調査・コンサルティングサービスのTractica社は2021年までに、18億の人々がデジタル音声アシスタントを活用するようになるとしている。
アマゾンが手がける音声ショッピングに関し、日本ではAlexa対応デバイスで「Amazon プライム」対応商品を購入することが可能。「Alexa」がユーザーの声を聞き取って「ショッピングリスト」を作成する機能もある。