渡部 和章 2019/5/16 9:00

帝国データバンクが5月14日に公表した「通信販売業者の倒産動向調査(2018年度)」によると、2018年4月~2019年3月における通信販売業者の倒産件数は30件だった。2017年度の約2.7倍の水準で、1年間の倒産件数としては調査対象の2009年以降で最も多い。

倒産件数が過去最多を更新した要因について帝国データバンクは、「大手の寡占に伴い業者の淘汰が進んでいる」と分析している。

通信販売を主業とする事業者を対象に、年度ごとの倒産件数をまとめた。2009年度以降の倒産件数は13件、15件、25件、17件、18件、24件、17件、22件、11件。

帝国データバンクが公表した「通信販売業者の倒産動向調査(2018年度)」
通信販売業者の倒産件数

30件の負債総額は1020億円

2018年度に倒産した事業者の負債総額は1020億5600万円。単年度の負債総額は2009年度以降で最多。2018年9月に破産したケフィア事業振興会の負債約1001億9400万円が、全体の98.2%を占めている。

帝国データバンクが公表した「通信販売業者の倒産動向調査(2018年度)」
主な倒産事例

倒産した事業者の負債規模を見ると、「1000万~5000万円未満」が20件で全体の66.7%を占めた。「5000万~1億円未満」は5件、「1億~5億円未満」は3件、「5億~10億円未満」は1件、「100億円以上」は1件。負債額100億円以上の倒産が発生したのは5年ぶり。

半数は業歴10年未満、28件は従業員10人未満

事業の継続年数が10年未満の事業者が全体の半数(15件)を占めた。また、倒産した30件のうち28件は、従業員10人未満の業者だという。

帝国データバンクが公表した「通信販売業者の倒産動向調査(2018年度)」
業歴別の倒産件数

帝国データバンクは調査結果を踏まえ、通販市場の動向について次のようにまとめている。

ECビジネスの急速な普及に伴って国内の通販市場自体は拡大しているものの、規模のメリットを享受できる大手通販業者や、店舗での小売業態を中心としていた大手業者の通販事業への参入 によって、顧客獲得や価格競争が激化していることが倒産増につながっている。小規模業者は、ECモールなどへの出店で露出を高めるなどの動きを見せているものの、品ぞろえや対応力の面で弱さが出てしまうほか、物流コスト等の価格への転嫁が難しく、利幅の出ない経営を強いられている。

また、ネット通販やテレビショッピングなどを手がける大手業者は軒並み増収を記録する一方で、千趣会(東証1部)をはじめカタログ通販業者では苦境も聞かれる。加えて、ここに来てアパレル通販大手「ZOZOTOWN」の失速などもあり、引き続き要注目の業界であると言える。

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