石居 岳 2019/6/24 9:00

総合マーケティングビジネスの富士経済は6月20日、ECをはじめとした通販の市場を調査し、その結果を「通販・e-コマースビジネスの実態と今後 2019」にまとめた。

通販市場(物販)は、仮想ショッピングモールにおいて取扱商品の拡充、利便性の向上、サービスの充実化などが進んだことでECが拡大をけん引。通販市場は2017年に10兆円を突破した。

2020年にはEC市場が10兆円を突破し、12兆円に迫ると予測している。

富士経済の「通販・e-コマースビジネスの実態と今後 2019」 通販(物販)市場(小売りベース)
通販(物販)市場(小売りベース)

2020年のスマホ経由は4兆1471億円を予測

通販形態別では、PCやスマートフォンなどで発注するECの構成比率が高まっており、2017年には80%を超えた。テレビ通販は微増、カタログ通販は縮小しているが、一定の需要を獲得しており、それぞれの通販形態に応じた展開と、それを併用したメディアミックス戦略の高度化が進んでいる。

EC市場においては、幅広いカテゴリーの商品をワンストップで購入できる仮想ショッピングモールがユーザーの支持を集め、市場をけん引している。販路拡大を目的として出店する企業も増加している。一方、サービス統合など市場再編が進んでおり、上位企業への集約が進んでいる。

ECの受注携帯別では、フィーチャーフォンを除いて拡大しており、中でもスマートフォンが市場をけん引。EC機能を搭載したスマートフォンアプリの登場、店頭での商品を確認した後、ECで注文するショールーミングや、外出中や移動中の発注の定着などにより、今後もスマートフォンへの集約が進むと予想される。

スマートフォンを経由したEC市場は2020年に4兆1471億円と予測し、EC市場全体では10兆円を突破するとしている。

EC市場規模が最も大きいのはアパレル

ECの市場規模が最も大きいのはアパレル。試着ニーズが高いものの、近年は試着・返送サービスの展開による需要の取り込みが進んでおり、構成比も高まっている。

食品・産直品は、ネットスーパーの普及によりEC化が急速に進んでいる。買い物、調理の時短需要が高い共働き世帯、最寄りの店舗での買い物が困難な高齢者世帯など、ネットスーパーを必要とする世帯は今後も増加していくとみられ、EC化が進んでいくとみられる。

一方、ECの構成比率が低いのは、健康食品・医薬品。健康食品は中高年からシニア層による新聞広告や折り込みチラシ経由、カタログ通販での定期購入が多いため、構成比は43.6%と低い。

富士経済の「通販・e-コマースビジネスの実態と今後 2019」 通販(物販)市場におけるECの構成比(2018年見込)
通販(物販)市場におけるECの構成比(2018年見込)
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