石居 岳 2020/5/11 9:00

ユナイテッドアローズが5月8日に公表した決算説明会資料によると、2019年に約2か月間にわたってECサイトが停止したリニューアルの失敗は、「組織的要因と進行要因の2つに起因していた」と説明している。

ユナイテッドアローズは2019年9月12日から約2か月間、自社ECサイトの運営を停止。ECサイトの運営を自社主導に切り替えるため、システムのリプレイスで失敗したとしていた。

こうした自社ECサイトの開発遅延について、内部監査室を中心とした調査チームを作り、要因分析とその対策を検討してきた。今回の問題は組織的な要因と進行要因の大きく2つに起因していたと説明している。

ユナイテッドアローズ 自社ECサイトの開発遅延要因
自社ECサイト開発の遅延要因など(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

組織的要因についてはプロジェクト体制の問題を指摘。自社ECサイトの開発は全社プロジェクトとしてスタートしたが、事業との連携を重視した人員構成としたため、ITスキルに長けた人員が薄くなってしまった。

全社プロジェクトにはオーナー、マネージャー、リーダーを設置していたが、それぞれの役割が曖昧だったことに加え、プロジェクトの承認手順や進捗管理手法が不明確だったことも管理の甘さにつながったという。

進行要因に関する問題としては、スケジュールとコスト設定の精度が低く、最初の段階からかなり無理のある状態だったことが判明。開発を委託するパートナーの選定にあたっても検討プロセスに問題があったことや、開発状況のモニタリングが脆弱だったことも問題につながったという。

プロジェクト体制については現在、ITスキルの高い人材をマネジメントに配置した自社EC開発室を中心に進行している。進行要因については、スケジュールや予算にある程度の余力を持たせた上で、十分な検討時間を確保。問題発生時の代替措置などのリスク対策も立案している。

委託先選定も評価プロセスを改善し 、外部の客観的視点を取り入れることで合理性を高めた。進行についてもモニタリングを強化し、リスクマネジメントを行いながら確実な開発を行っていく。

今後はこれらの定義を明確にして確実な管理を行う。こうした対策を打ちながら、2022年3月期中にはECサイトの自社運営に切り替え、OMOサービスの実施につなげる予定だ。

2019年度のEC売上高は約11%増の292億円

ユナイテッドアローズの2020年3月期EC売上高は、前期比10.9%増となる292億1700万円。EC化率は同2.6ポイント増の22.6%だった。ECについては、自社ECサイトの開発遅延に伴う一時的な運営停止はあったものの、他ショッピングサイトへの在庫配分や適時な販促プロモーションを実施したことで売り上げを伸ばしたとしている。

ユナイテッドアローズの2020年3月期EC売上高は、前期比10.9%増となる292億1700万円
2019年度単体のチャネル別実績(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

 

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