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今回は、EC売り上げトップ200の表示スピード調査の続編レポート。カテゴリー別にスピードデータ傾向を分析しました(複数ECサイトがある場合、本店ECサイトを計測しています。この記事はPCでの閲覧をおすすめいたします)。

Amazon、ヨドバシ.com、ビッグカメラを上回る「家電・PC・カメラ」

EC売り上げトップ200ランキングでは、家電・PCカテゴリーがランキングの上位を占めていました。その中でも、表示スピード1位の「セブンスター貿易」と家電の雄「ヨドバシ.com」や「ビックカメラ.com」の表示スピードは何が違うかを検証しました。その結果、「セブンスター貿易」の表示スピードと比較すると、約2倍も遅い状況でした

この2社の計測データが「セブンスター貿易」と何が違うか詳しく考察してみましょう。Backend②が約2.5倍以上、StartRender③が1.5倍遅い状態です。これは、バックエンド(システム、アプリケーション、ネットワークインフラ側)、フロントエンド(Webページの構造、コーディング、リクエスト数)の処理スピードが遅く、結果としてWebページの表示スピードが遅くなっているという課題が見えてきます。

家電・PC・カメラ TOP7

順位サイト名Speed
Index
(秒)①
Back
end
(秒)②
Start
Render
(秒)③
Size
(MB)④
Request
1セブンスター貿易1.690.621.650.1222
2家電のSAKURA1.900.721.790.2339
3秋葉原アウトレットプラザ2.541.162.450.2646
4激安家電販売PCあきんど3.010.922.821.1226
5GIGA3.051.373.040.3725
6ビックカメラ.com3.141.912.500.62100
7ヨドバシ.com3.271.573.060.3351
8PCボンバー3.581.903.520.5583
9ドスパラ3.980.902.872.87323
10ツクモ(TSUKUMO)4.001.273.141.35165

最も遅い「食品」は綺麗で重い商品画像が機会損失に?

次は、Web表示スピードが最も遅い「食品」カテゴリーの計測データを見てみましょう。

1位のWebサイトは「越前かに職人 甲羅組」です。TOP3のWebサイトはWebサイトスピード研究会が提唱する「SpeedIndex4秒目標」をなんとかクリアしていますが、4位以下は基準を満たしていません。(参考:SpeedIndexの基本合格基準、5秒から4秒の引き上げを決定 | スピードプラス

「食品」カテゴリー全般の傾向として、バックエンドが2秒以上と遅い傾向があります。フロントエンドの表示スピードに影響するであろうページ全体のファイルサイズが平均3.4MBと大きく、結果として表示スピードが遅くなっていると予測されます。

同研究会のメンバーである大日本印刷 hontoビジネス本部の近藤洋志氏は、以下のようにコメントしました。

「食品」カテゴリー上位の数社のWebサイトでは、大きめの商品画像が何枚も掲載されており、ブラウザ表示が完了するまでの体感スピードがもたつく印象がありました。昨今のコロナ禍における巣ごもり需要で「食品」の利用は増加していますので、この状態はもったいないですね。

また、「表示スピードを速くすることで購入までの時間を短縮させるUXを意識して、相対的に受注件数を増やす」施策を考えるべきです。「綺麗でわかりやすい商品画像でCVRを上げる」施策とのバランスをとりつつ、進める必要がありますね。(参考:新型コロナのEC影響、緊急事態宣言の全国拡大で注文数50%増も | 通販通信

食品 TOP7

順位サイト名Speed
Index
(秒)①
Back
end
(秒)②
Start
Render
(秒)③
Size
(MB)④
Request
1越前かに職人 甲羅組3.671.062.393.7569
2プレジャーワイン3.781.102.411.7547
3板前魂3.941.082.8915.87161
4匠本舗4.460.892.164.04247
5cotta6.272.483.572.27135
6セブン・ミールサービス7.642.366.593.03190
7ENOTECA8.552.713.861.50197

その他のECサイト・カテゴリー別データ

総合 TOP10

順位サイト名Speed
Index
(秒)①
Back
end
(秒)②
Start
Render
(秒)③
Size
(MB)④
Request
1サンテクダイレクト2.840.971.970.6959
2amazon.co.jp2.981.022.242.32182
3ショップチャンネル3.841.582.881.70118
4阪急オンラインショッピング4.011.183.611.89132
5PREMOA4.651.803.212.69215
6通販生活5.282.984.432.01122
7三越オンラインストア5.781.622.921.78192
8ショップジャパン5.820.965.241.88264
9ディノスオンラインショップ5.861.864.022.99259
10QVC.jp5.881.523.574.07349

ファッション TOP10

順位サイト名Speed
Index
(秒)①
Back
end
(秒)②
Start
Render
(秒)③
Size
(MB)④
Request
1腕時計のななぷれ2.91.062.000.9138
2MAGASEEK3.511.001.982.19221
3ワールドオンラインストア3.791.082.705.41259
4フードユニフォーム
(FOOD-UNIFORM)
4.000.891.921.40127
5DHOLIC4.021.172.7223.57188
6USAGI ONLINE4.091.083.023.96179
7オットー・オンラインストア4.110.932.651.98151
8フラッグショップ4.151.292.621.53111
9GLADD4.340.952.210.7463
10ミックスドットトウキョウ
(MIX.Tokyo)
4.421.002.912.51254

化粧品・健康 TOP10

順位サイト名Speed
Index
(秒)①
Back
end
(秒)②
Start
Render
(秒)③
Size
(MB)④
Request
1ポリピュアEX2.800.882.331.47486
2北の快適工房3.340.932.174.6492
3LIONウェルネスダイレクト4.101.053.052.66679
4アイドラッグストアー4.250.891.940.89158
5ベルタ(BELTA)4.700.942.254.19181
6ファンケルオンライン4.991.373.474.83343
7やずや5.001.023.066.87328
8FABIUS5.130.904.723.4179
9Dr.Ci:Labo5.461.603.065.12303
10オージオネット5.580.902.533.60199

日用品 TOP10

順位サイト名Speed
Index
(秒)①
Back
end
(秒)②
Start
Render
(秒)③
Size
(MB)④
Request
1ドライブマーケット2.580.912.071.2953
2AXELショップ2.851.032.241.04112
3ユーキャン2.880.732.112.3298
4漫画全巻ドットコム3.000.842.361.43116
5とらのあな3.030.882.421.02100
6SOUND HOUSE3.381.572.681.80197
7GDO3.571.122.972.83341
8交換できるくん
(旧:サンリフレプラザ)
3.651.452.351.44246
9駿河屋3.721.773.560.9064
10自然大好き!
ニッチ・リッチ・キャッチ
3.721.062.772.1075

家具・雑貨 TOP8

順位サイト名Speed
Index
(秒)①
Back
end
(秒)②
Start
Render
(秒)③
Size
(MB)④
Request
1daily-32.590.871.900.5650
2ゲキカグ!2.850.632.222.59213
3タンスのゲン2.920.872.473.39151
4ニトリネット3.621.092.624.34431
5ほぼ日刊イトイ新聞4.790.772.732.8355
6こだわり安眠館6.422.865.252.78136
7家具通販のロウヤ(LOWYA)7.602.924.617.56269
8生活堂11.292.927.964.98192

表示スピードのデータ分布図からの気付き

次に、SpeedCurveによる延べ10万回の計測データから分布図を見てみましょう。このデータ分布図では、ページサイズ、リクエスト数、StartRender(ブラウザで表示レンダリングが開始されるまでの時間)と、SpeedIndex(「Webページが表示された」と人間が認識するWebサイトの体感表示スピードの指標)の相関関係となりますが、ヒントになりそうなデータが見えてきました。

  1. リクエスト数は100、200、300でそれぞれグループを形成していますが、SpeedIndexが3秒以内の上位サイトは、リクエスト数として100~120前後が多くみられます
  2. 「1MB以下の超軽量ページがSpeedIndexでも上位である」ということがほぼ当てはまります。しかし、約1MB付近のサイトでもランキング上位のWebサイトは少なくありません
スピードカーブ speedcurve 表示スピード測定 webページ表示速度 調査 ドーモ EC表示速度カテゴリ別
ページ容量10MB以下のサイトでのページ容量とSpeedIndexの関係図:実測値(上段、単位:秒)および順位(下段、単位:位)
スピードカーブ speedcurve 表示スピード測定 webページ表示速度 調査 ドーモ EC表示速度カテゴリ別
StartRenderとSpeedIndexの関係図:実測値(上段、単位:秒)および順位(下段、単位:位)
スピードカーブ speedcurve 表示スピード測定 webページ表示速度 調査 ドーモ EC表示速度カテゴリ別
リクエスト数とSpeedIndexの関係図:実測値(上段、単位:秒)および順位(下段、単位:位)

ユーザーを待たせない購買体験を実現する指標とは?

分布図から、SpeedIndexが速いサイト=サイズ、リクエスト数、StartRenderの数値が小さいということがわかりました。1位の「セブンスター貿易」のWebサイトを改めてこの視点で見てみましょう。

「セブンスター貿易」のSpeedIndexは、わずか1.62秒という驚くべき数値でした。この1.62秒がどのように達成され、顧客体験(UX)としてどのような状況を生み出しているのでしょうか。

  1. BackEndが0.7秒以下
  2. StartRenderは1.6秒
  3. StartRenderとSpeedIndexの差はほとんどありません。ブラウザでページの描画(レンダリング)が始まった途端、即座にページ表示されます
  4. 圧倒的なページ軽量化(0.12MB)、リクエスト数を削減(22リクエスト)

驚いたのは、「セブンスター貿易」はトップ200の中で1つの指標だけでなく、5つの指標ですべて「1位」を獲得していること

2位の「家電のSAKURA」もSpeedIndexで1.9秒と良い数字を獲得しており、激安家電通販のサイトはどれも素晴らしい数値ということがわかります。

その理由として以下のことが考えられます。

  1. 激安・家電という競合が多数あるこのカテゴリーでは、検索エンジン(Google経由)からの流入数は重要なKPIとなっている
  2. GoogleはPSI(ページスピードインサイト)で、同カテゴリー内で相対的スピードをスコアリングしている。そのため検索エンジンのSEOアルゴリズムにおいても、表示スピードは影響を及ぼしている。各企業は、競合対策としても表示スピードを強く意識せざるを得ない

Amazonの表示スピードはなぜ遅くなっているのか?

Webサイト高速化の必要性を常に主張してきたAmazonのランクが、前回の4位から13位に大きく下がりました。この原因は何でしょうか。

Amazonの昨年対比での計測数値です。Backend、Requestはわずかながら数値が向上していますが、StartRenderは0.18秒、ページ容量は約0.35MBほど増加しています(赤字が増加数値)。その結果、SpeedIndexは0.29秒(290点)ほど数値が悪くなっています。

調査年度順位サイト名Speed
Index
(秒)①
Back
end
(秒)②
Start
Render
(秒)③
Size
(MB)④
Request
201913Amazon2.981.022.242.32182
20186 2.691.072.061.95191

次に、Amazonより上位にあるサイトの表示スピードを昨年のデータと比較してみましょう。

今回順位(前回順位/変動)サイト名Speed
Index(秒)
Back
end(秒)
Start
Render(秒)
Size
(MB)
Request
今回前回/差今回前回/差今回前回/差今回前回/差今回前回/差
1(5/セブンスター貿易1.692.72
-1.03
0.620.97
-0.35
1.652.68
-1.03
0.120.22
-0.1
2230
-8
2(6/家電のSAKURA1.902.82
-0.92
0.721.21
-0.49
1.792.64
-0.85
0.230.24
-0.01
3932
7
3(2/秋葉原アウトレットプラザ2.542.52
0.02
1.161.17
-0.01
2.452.45
0.00
0.260.27
-0.01
4646
0
4(66/ドライブマーケット2.585.45
-2.87
0.911.54
-0.63
2.072.82
-0.75
1.291.29
0.00
53143
-90
5(29/daily-32.593.83
-1.24
0.871.39
-0.52
1.902.97
-1.07
0.564.41
-3.85
50353
-303
6(97/ポリピュアEX2.806.38
-3.58
0.881.19
-0.31
2.335.43
-3.1
1.471.44
0.03
486544
-57
7(79/サンテクダイレクト2.845.79
-2.95
0.971.83
-0.86
1.974.99
-3.02
0.690.77
-0.08
5955
4

TOP10の平均値の数字を昨年と比較すると、以下のようになりました。

  • SpeedIndex:-1.67秒向上
  • Backend:-0.4秒向上
  • StartRender:-1.25秒向上
  • PageSIze:-0.55MBの削減
  • Request:-61.7の削減

TOP10企業は、SpeedIndexが平均1.67秒ほど向上しています

Amazonの各種指標がわずかに下がっている反面、上位TOP10サイトは大幅に数値が向上しています。この数値の向上トレンドは、TOP10の上位層だけでなくTOP50の範囲でも同様です。

Google社が表示スピードを重要視する傾向を踏まえると、各社はさらに表示スピード改善に取り組むことが必至になってきます。

対策・施策なしに、表示スピードが速くなることはまずありません。「少なくともTOP50位までは、表示スピードUPにつながる何らかの施策、対策を明確な意志を持って進めている」と捉えるのが自然です。Amazonが現状のままで他社サイトの高速化が進めば、さらにランキングが落ちる可能性もあります。

今回のレポートでも明らかになったように、同一カテゴリー内で上位を確保することはSEO的にも非常に重要です。ぜひ今回の結果を参考に、自社のサイトのポジションを理解してみてください。

◇◇◇

グローバルで進む「カテゴリー別Webサイト表示比較」について

Webサイト表示スピード計測に関して、Googleと連携しながらWebサイト表示スピードの計測機能の改善・改良を日々進めているSpeedCurveですが、ドーモと共同で日本においても上記課題を解決する取り組みを進めています。それがPSB(Page speed Benchmarks)です。カテゴリー別の表示スピードをビジュアルでわかりやすく比較できるようになっています。

2020年6月時点では、EUと米国で各カテゴリー別の表示スピードをFilmstripおよび各指標で比較できます。各指標も55以上、ビデオやWebpagetestなどとの連携もほぼフルサービスで提供しています(視聴は無料)。

スピードカーブ speedcurve 表示スピード測定 webページ表示速度 調査 ドーモ EC表示速度カテゴリ別 PSB
Page Speed Benchmarks(PSB)の表示画面

調査概要

調査期間:2019年12月27日(金)12:30~2020年1月10日(金)12:30までの14日間

調査対象:「月刊ネット販売 2019年10月号」(宏文出版・刊)の「第19回ネット販売白書」において、EC売上高上位200社に掲載されている企業。

三越伊勢丹ホールディングスの2サイト(三越、伊勢丹)は別サイトとしてそれぞれ計測。ログインや会員登録が必要、モール出店のみの場合などは計測対象から除外。計測後に正常な値が取得できなかった場合は除外、もしくは24時間の補正、追加、再計測を行っている。

調査範囲:1サイトにつき①トップページ、②リストページ(カテゴリページ)、③商品詳細ページの3つのURL(サイトの構成上、該当ページがなく測定できなかったサイトもあり、実際に計測したのは①184URL、②181URL、③182URLの計547URL)。当該サイトURLは、検索エンジンによる検索結果から移動できるURLを用いた。

計測時間:12:30、18:30、22:30の1日3回

測定プロファイル:iPhone 7(4G)、GalaxyS7(4G)、Chrome(cable) このうち掲載したのは「iPhone 7(4G)」

1回あたりの計測数:3 checks

計測回数:547URL × 1日3回 × 3checks × 3デバイス × 7日間 = 103,383回計測

エミュレート回線品質(4G):ダウンロード 8.8Mbps/アップロード 8.8Mbps/レイテンシー 170ms

前回の値について「EC売上トップ200企業の「表示スピード」を大調査! 1位は「腕時計のななぷれ」!」記事掲載にあたり計測した結果を前回の値とする。

サイト調査実施:株式会社ドーモ  監修/占部雅一、レポート/種村和豊、協力/Webサイトスピード研究会(IDOM村田創、DNP近藤洋志)

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