藤田遥 2020/6/23 10:00

緊急事態宣言解除後の日常生活として、政府は新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」の中で、働き方の新しいスタイルとして提示しているテレワーク。政府が後押ししているテレワークの税制優遇・助成金・補助金の情報をまとめました。

税制優遇

中小企業経営強化税制

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(財務省の「中小企業経営強化税制の拡充」リーフレットからキャプチャ)

中小企業の設備投資を支援する「中小企業経営強化税制」に、従来からの生産性向上設備(A類型)、収益力強化設備(B類型)にデジタル化設備(C類型)を対象に加えた。

「中小企業経営強化税制」は、一定の設備を取得、製作などを行った場合、即時償却または取得価額の10%の税額控除(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)を選択適用できる制度。

デジタル化設備とは、以下のいずれかに該当する投資計画を達成するために必要不可欠な設備を指す。

遠隔操作

  • デジタル技術を用いて、遠隔操作をすること
  • 以下のいずれかを目的とすること
  • 事業を非対面で行うことができるようにすること
  • 事業に従事する者が、通常行っている業務を、通常出勤している場所以外の場所で行うことができるようにすること

可視化

  1. データの集約・分析を、デジタル技術を用いて行うこと
  2. 1. のデータが、現在行っている事業や事業プロセスに関係するものであること
  3. 1. により事業プロセスに関する最新の状況を把握し経営資源等の最適化を行うことができるようにすること

自動制御化

  1. デジタル技術を用いて、状況に応じて自動的に指令を行うことができるようにすること
  2. 1. の指令が、現在行っている事業プロセスに関する経営資源等を最適化するためのものであること

助成金・補助金

IT導入補助金の特別枠(C類型)

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(「IT導入補助金特別枠(C類型)」リーフレットからキャプチャ)

IT導入補助金の特別枠(C類型)は、新型コロナウイルスの感染拡大対策として、非対面型ビジネスモデルへの転換、サプライチェーンの毀損(きそん)への対応、テレワーク環境の整備などに取り組む事業者によるIT導入などを優先的に支援するために創設した制度。

実店舗販売からネット通販シフトなどの「非対面型ビジネスモデルへの転換」(類型B)、従業員の在宅勤務を推進する「テレワーク環境の整備」(類型C)への投資が補助対象経費の1/6以上の場合、補助率を2/3から3/4へ引き上げる。

「テレワーク環境の整備」はWeb会議システムやPCを含むシンクライアントシステムの導入などを想定している。

特別枠の補助率・補助額など

  • 対象:中小規模、小規模事業者など
  • 補助率:2/3もしくは3/4
  • 補助額:30~450万円

申請期間など

交付申請(補助金の交付を希望する中小企業・小規模事業者等が、事業計画・事業費等を事務局へ申請すること)期間は2020年5月11日~2020年12月下旬まで。公募は2020年5月29日17:00、6月12日17:00、6月26日17:00、7月10日17:00に締め切りを設け、それまでに受け付けた申請を審査し交付決定を行う予定。

小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)

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(全国商工会連合会サイトからキャプチャ)

地域の雇用や産業を支える小規模事業者の生産性向上と持続的発展を図る取り組みを支援する「小規模事業者持続的発展支援事業(持続化補助金)」では、サプライチェーンの毀損(きそん)への対応、非対面型ビジネスモデルへの転換、テレワーク環境の整備などに取り組む小規模事業者などの地道な販路開拓といった取り組みを支援している。

特別枠の補助率・補助額など

  • 対象:小規模事業者
  • 補助率:2/3もしくは3/4
  • 補助額:上限100万円

申請期間など

  • 第3回受付締切:8月7日(金) [郵送:必着]
  • 第4回受付締切:10月2日(金)[郵送:必着]

働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)

時間外労働の制限、その他の労働時間などの設定改善、仕事と生活の調和の推進のため、在宅またはサテライトオフィスで就業するテレワークに取り組む中小企業事業主に対し、実施に要した費用の一部を助成する制度。

助成対象の取り組み

  • テレワーク用通信機器の導入・運用
  • 就業規則・労使協定等の作成・変更
  • 労務管理担当者に対する研修
  • 労働者に対する研修、周知・啓発
  • 外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング

対象経費は、謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製本費、備品費、機械装置等購入費、委託費。

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助成金支給対象となる取り組みや支給額について
(厚生労働省の「働き方改革推進支援助成金」のリーフレットからキャプチャ)

支給対象

  • 労働者災害補償保険の適用事業主であること
  • 以下に該当する企業
    テレワーク 助成金 新型コロナウイルス 税制優遇 補助金
    (厚生労働省の「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」ページからキャプチャ)

支給額

対象経費の合計額×補助率
※成果目標(1か月から6か月の間で設定する「評価期間」)の達成状況に応じての支給となる

達成した場合は、1企業あたりの上限金額は300蔓延。補助率は3/4.未達成の場合は上限200万円で、補助率1/2。

働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)

厚生労働省が展開しているのが「働き方改革推進支援助成金」(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)。

対象事業主は、新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規で導入する中小企業事業主。試行的に導入している事業主も対象となるが、労働者災害補償保険の適用中小企業事業主であることが必要。

助成対象の取り組み

  • テレワーク用通信機器の導入・運用
    ※シンクライアント端末(パソコンなど)の購入費用は対象だが、シンクライアント以外のパソコン、タブレット、スマートフォンの購入費用は対象とならない。レンタルやリースについては5月31日までに利用し支払った経費は対象。
  • 就業規則・労使協定等の作成・変更
  • 労務管理担当者に対する研修
  • 労働者に対する研修、周知・啓発
  • 外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング など

対象経費は、謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製、本費、備品費、機械装置等購入費、委託費。

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(厚生労働省の「働き方改革推進支援助成金」リフーレットからキャプチャ)

主な要件は、事業実施期間中に「助成対象の取り組みを行うこと」「テレワークを実施した労働者が1人以上いること」。

助成の対象となる事業の実施期間は2020年2月17日~5月31日。なお、5月29日までに、「働き方改革推進支援助成金交付申請書」を事業実施計画書などの必要書類を、テレワーク相談センターに提出した事業者が対象となる。

支給額は補助率1/2で1企業あたり100万円が上限。支給申請の期限は9月30日まで。

【東京都】はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助事業)

テレワークを実施するための環境構築経費、制度整備費を補助し、テレワークの導入促進を図る制度。

対象事業主は、東京都が実施するテレワーク導入に向けたコンサルティング(ワークスタイル変革コンサルティング)を受けた企業。

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補助事業の流れ
(東京しごと財団の「はじめてテレワーク (テレワーク導入促進整備補助金)募集要項」からキャプチャ)

補助事業の対象

  • 在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務など、テレワークを行うための環境構築に使用した機器購入費用など
  • 就業規則へのテレワーク制度整備

補助限度額・補助率など

テレワーク環境構築費用の補助限度額は、従業員数が100人未満は上限30万円、100~299人は上限60万円、300~999人は上限100万円。補助率は従業員数にかかわらず、一律10/10。

就業規則へのテレワーク制度整備の限度額は従業員数にかかわらず、一律上限は10万円、補助率は10/10。

いずれも支給決定日から3か月以内に完了する取り組みが補助対象となる。

申請期間など

申請の受付期間は令和3年3月31日まで。3月31日までに事業計画書兼支給申請書などの必要書類を公益財団法人東京しごと財団に提出した事業者が対象となる。申請は1回限り。なお、予算の範囲を超えた場合は、受付期間内でも終了となる。

【東京都】事業継続緊急対策(テレワーク)助成金

新型コロナウイルス感染症の拡大防止および緊急時における企業の事業継続対策として、在宅勤務などテレワークを実施するために必要な情報通信機器などの購入費用に対して、助成金を交付する。

対象は常時雇用する労働者が999人以下で、都内で事業を営んでいる中堅・中小企業。

助成金の申請から助成事業終了後の実績報告日に至るまで、定められた要件をすべて満たしている必要がある。主な要件は「都内に勤務する常時雇用する労働者を2名以上、かつ申請日時点6か月以上継続して雇用していること」「都税の未納がないこと」「都が実施する「2020TDM 推進プロジェクト」に参加していること」など。

テレワーク 助成金 新型コロナウイルス 税制優遇 補助金
助成事業の流れ
(東京しごと財団の「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金 募集要項」からキャプチャ)

補助限度額・補助率など

助成金の上限は250万円、助成率は10/10。

申請期間

申請の受付期間は令和2年7月31日まで。7月31日までに事業計画書兼支給申請書などの必要書類を公益財団法人東京しごと財団に提出した事業者が対象となる。申請は1回限り。なお、予算の範囲を超えた場合は、受付期間内でも終了となる。

テレワーク相談・各種情報

テレワークマネージャー相談事業

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(「テレワークマネージャー事業」リーフレットからキャプチャ)

総務省が手がけているのが、テレワーク導入などを検討している企業・団体などにテレワークの専門家(テレワークマネージャー)が無料で助言や情報提供を行う事業。テレワーク支援事業やセキュリティ確保についての情報を開示している。

支援内容は、Web会議・電話にて、 テレワークに適したシステム(在宅勤務などを行うためのICT機器、システム)や情報セキュリティ、勤怠労務管理、その他テレワーク全般に関する情報提供・相談。当面は支援回数・1回の支援時間の上限はなしとしている。

  • 対象:民間企業(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社など。または特定非営利活動法人)、都道府県・市町村などの地方公共団体およびそれに準ずる団体
  • 実施期間:2021年3月31日まで
  • 費用:コンサルティング費用は無料(通信費用は利用者負担)

テレワークにおけるセキュリティ確保

総務省は「テレワークセキュリティガイドライン」を作成し、テレワーク実施に伴うトラブル事例と対策一覧を公開。新型コロナウイルスの混乱に乗じたサーバー攻撃が確認されており、適切なセキュリティ対策を講じるよう呼びかけている。

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