森野 誠之 2020/9/24 8:00
ネッ担まとめ

自社ECは小さく始めたつもりでも、機能を増やしていくといつの間にかコストがかさんで管理も面倒になります。ShopifyのCEOはその大変さを知っているので、機能拡張での解決を考えたようです。

売上を伸ばしながら業務をシンプルに

ショッピファイがつくるオンラインの「行きつけ」 | WIRED.jp
https://wired.jp/2020/09/12/shopify-ws/

まとめると、

  • 焼きチーズタルト専門店の「ベイク」では、ECサイト開設直後に商品が売り切れ。メルマガ登録者の多くがリピーターになっている
  • ECサイトはShopifyを利用。メルマガ、SNS連携、顧客管理、物流などに機能拡張用のアプリを活用している
  • Shopifyを支えるのは世界中にいるアプリ開発者の「集合知」。社内でも毎四半期に3~4日の頻度でハックデーが開催され、世界中のほとんどの社員が参加している

ショッピファイがいちはやく察知・実装した最新技術や知見は、個人商店から大企業まで、同プラットフォームを使うあらゆる事業者たちの手の平等に行きわたる。ショッピファイがコマースをアップデートしているのだ。ワングは言う。

「自分でEC体験を構築できる大企業だけが享受していた技術を、ショッピファイは拡張しています。商業の民主化です」

Shopify本体の機能はあまり多くなくてシンプルになっています。そのため素早くECサイトを立ち上げられます。足りない機能は本文に書かれているようにアプリで補う流れ。このアプリは世界中に開発者がいるのが強みです。Shopifyが広がれば自分のアプリも広がるし、良いアプリがあればShopifyのユーザーも増えるので双方にメリットがあります。

このお手軽さが「疲れないEC」を実現しているので、すでに疲れてしまっている人は乗り換えを検討しても良いかもしれませんね。

モールで認知と利益を獲得→自社ECに投資

ECで力を入れるのは「モール店 or 自社EC」ではなく「両方注力」を! ECエバンジェリスト川添隆氏が解説 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7976

まとめると、

  • 自社ECかモール店か、どちらか一方という考え方にはリスクがある。バランス良くポートフォリオを組んでおく方が環境の変化に対応しやすい
  • モールは全体の売上推移、当該カテゴリの売上推移、他店の売上推移をチェックできるので、売れ筋商品を把握するなど、自社以外の状況を定量的に把握できるメリットがある
  • 自社ECでは購入のハードルを下げたり、リピートしやすくしたりする仕組みへの投資の優先順位が高い

商材によりますが、私は認知度が低いブランドにとっては、モールはあくまで「広告媒体」、一定の知名度があるブランドにとっては、「モールでしか買わないユーザーの取り込みまたは在庫消化の場所」と割り切った方がいいと思っています。

モールから直接自社ECに送客はできません。しかし、モールで得た利益を自社ECに投資をすることで顧客体験を向上させ、モールのユーザーにも自社ECを使ってもらう機会を創出することはできます。少しずつ、中長期的な利益につなげていくイメージですね。

「自社ECかモールか?」という議論はECモールができてからずっと続いていますが、川添さんの答えは明快で「どっちもやる」。ただし、どっちも均等に頑張るのではなく、引用文にあるようにモールの役割は広告と利益の確保。自社ECはモールで得た認知度と利益を使ってリピーターを育成していく場所として考えるのが良いとのこと。

これは私も納得。モールの利益が薄いと嘆く人もいますが、多少なりとも利益が出て、しかも認知度が上がるのであれば問題ないですよね。白か黒かと考えるのではなく、メリットを生かすことを考えたほうが良いようです。

ここに来るまで5年。店舗とECの連携は一朝一夕にはできません

ベイクルーズのEC売上高は29%増の510億円、自社ECは37%増の391億円で構成比は約77%【2020年8月期実績】 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8018

まとめると、

  • ベイクルーズの2020年8月期のEC売上高は、前期比29%増となる510億円。そのうち自社ECサイトの売上高は同37%増の391億円。EC売上高に占める自社ECの割合は76.7%
  • 自社ECサイトの売上高が急伸したのは、「自社EC中心の事業構造への変革」「ユニファイドコマース戦略」「組織作りと内製化」
  • 今後の成長戦略として、デジタルストアの実現、デジタル接客の強化、DXによる変革と創出を挙げている

2016年~2017年に倉庫在庫を一元化。EC用の在庫とそれ以外の在庫を1つの倉庫に集約した。在庫データに加え、店舗とECの会員情報を統合し、オムニチャネル化を推進した。すべての在庫を1つのデータベースに集めて引き当てできるようにした。

最大のポイントはこの引用文に書かれていること。実店舗とECをつなげるときに問題になるのが在庫と会員情報です。売り方とか基幹システムの話になりがちですが、この2つが整備されていないと何もできませんから。2017年にここまで完了していたこと、組織もそれに合わせて整備していたことに加えてコロナが追い風になってこの数字になったということですね。

EC全般

物流業務のアウトソーシングで清長が支持される理由とは? 配送料金の自動最適化&業務ミスを防ぐ専用アプリ&物流現場【探訪記】 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7974

売上を伸ばそうと思ったら物流はアウトソース。これは常識になりつつあります。

大ロット発注の落とし穴に注意 利益もキャッシュも失わない外的変化に強い仕組みを考えよう | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/8230

単価が安くなるからとたくさん仕入れてしまうと、後からひどい目にあいます。

難易度高!自社ECサイトの成功のポイントを理論的に解説 | ECMJ
https://www.ecmj.co.jp/no1866/

難易度が高いからこそモールや店舗で利益が確保できる体制づくりが大切です。

「巣ごもり消費生活」は続けたいが5割、ネット上での消費金額はコロナ禍以降で2897円増の1万9396円 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8010

外に出たい人が多いのかと思いきや、出たくない人と半々という結果になりました。

Instagram、「商品まとめ」テスト開始 商品名や価格を表示し、外部ECでショッピングも | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/8309

今のところ「まとめを作成できるのは一部のクリエイターやパブリッシャーのみ」です。

EC-CUBE4対応「Web API」正式版リリース、機能やデータを外部サービスから利用可能に | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/8315

ECのカートは外部連携が必須です。となるとAPIがないと何もできないですよね。

今週の名言

目標を決めたら、それに向かって進んでいきたい

菅新総裁、「デジタル庁」創設に意欲 各省庁に散らばるデータを統合、法改正も視野 | ITmedia NEWS
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2009/15/news050.html

いつの間にか目標が掲げるだけのものになっていませんか? 実現に向かって頑張るものですよ。

筆者出版情報

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