【2020年】2.2兆円のネット広告市場の内訳は? 検索連動型、ディスプレイ、動画は大きく成長。成果報酬型広告は減少
電通グループのサイバー・コミュニケーションズ(CCI)、D2C、電通、電通デジタルは、「2020年 日本の広告費」(電通が2021年2月に発表)の調査結果のうち、インターネット広告媒体費の内訳を広告種別、取引手法別などの切り口で分析し、2021年の予測を加えた「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」を発表した。
2020年の日本の総広告費は、世界的な新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)拡大の影響で前年比11.2%減の6兆1594億円。一方、「インターネット広告費」は成長を続け、「マスコミ四媒体広告費」に匹敵する2.2兆円規模、総広告費全体の36.2%を占めた。
「インターネット広告費」から「インターネット広告制作費」および「物販系ECプラットフォーム広告費」を除いた「インターネット広告媒体費」は、運用型広告の拡大や巣ごもり需要によるソーシャル広告や動画広告の増加で広告費は前年比5.6%増の1兆7567億円となった。
「物販系ECプラットフォーム広告費」は同24.2%増の1321億円、インターネット広告制作費は同1.4%増の3402億円。
インターネット広告媒体費の広告種別構成比について
構成比が高いのは検索連動型広告(38.6%)とディスプレイ広告(32.6%)で、合わせて7割を占める。ビデオ(動画)広告は前年比21.3%増の3862億円と伸長し、全体の2割を超えた。次いで、成果報酬型広告(5.6%)、その他のインターネット広告(1.1%)と続く。
インターネット広告媒体費の取引手法別構成比
現在の主流となっている運用型広告はインターネット広告媒体費全体の8割を超え、1兆4558億円。一方、予約型広告と成果報酬型広告は秋以降に復調の兆しが見られたものの、新型コロナ拡大による出稿控えの影響を受け、「予約型広告」は前年比12.5%減、「成果報酬型広告」は同6.1%減といずれも減少した。
インターネット広告媒体費の取引手法別×広告種別構成比
運用型の検索連動型広告が全体の38.6%と最も構成比が大きく、次いで運用型のディスプレイ広告が25.7%と続いた。運用型の「ビデオ(動画)広告」が前年比27.2%増と大きく伸長し、インターネット広告媒体費全体における構成比は18.3%となった。「ディスプレイ広告」の予約型は同19.9%減と減少した一方で、運用型は同12.1%増で伸長した。
ビデオ広告市場
ビデオ(動画)広告費3862億円のうち動画コンテンツの間に挿入されるインストリーム広告は1800億円(構成比46.6%)で、ウェブ上の広告枠や記事のコンテンツ面等で表示されるアウトストリーム広告は2063億円(構成比53.4%)。
また、取引手法別でみると運用型広告が3206億円となり、8割以上を占めている。
2021年にはビデオ(動画)広告は全体で前年比10.4%増の4263億円になると予測する。
ソーシャル広告市場
SNSや動画共有プラットフォーム上等で展開されるソーシャル広告は前年比16.1%増の5687億円となり、インターネット広告媒体費全体の32.4%となった。
ソーシャルメディアのサービス上で展開されるソーシャル広告は前年比16.1%増の5687億円と高い成長率で推移し、インターネット広告媒体費全体の3割を超えた。ソーシャルメディアの種類別に「SNS系」「動画共有系」「その他」に分類すると、「SNS系」が2488億円で最も規模が大きい。前年と比較すると「動画共有系」が大きく伸長している。
2021年のインターネット広告市場
2021年のインターネット広告媒体費は継続して伸長すると予測。2021年は前年比7.7%増の1兆8912億円に拡大すると見込む。2021年のビデオ(動画)広告は前年比10.4%増の4263億円まで拡大すると予測している。
調査概要
- 調査主体:サイバー・コミュニケーションズ(CCI)、D2C、電通、電通デジタル
- 調査時期:2020年12月~2021年2月
- 調査方法:次の調査に基づき、推定作業を実施。①インターネット広告媒体社等を対象としたアンケート調査(郵送調査/web調査)「2020年(令和2年)日本の広告費インターネット広告媒体売上についてのお伺い」として実施②同、追加ヒアリング調査③各種データ収集・分析