肌色計測ツールの「ZOZOGLASS」で何ができる? ZOZOのコスメEC参入と戦略まとめ
ZOZOが新たに始めたコスメ専門モール「ZOZOCOSME」。国内外500以上のブランドを取り扱い、最新テクノロジーの導入などによりECでのコスメ購入のハードルを下げる取り組みに注目が集まる。「ZOZOCOSME」の詳細、ZOZOが今後どのような展開を検討しているのか解説する。
3つの「ZOZOCOSME」の強み
「ZOZOCOSMEには3つの強みがある」と話すのは、オンラインでZOZOCOSMEの発表を行った、ZOZOの取締役兼COO伊藤正裕氏だ。伊藤氏が紹介した3つの強みは以下の通り。
- ZOZO会員待望のコスメ商材
- コスメに特化したモール作り
- 厳選されたブランドラインナップ
「ZOZOTOWN」をアクティブに利用する女性会員は533万人。アンケート調査の結果、ファッションに次いで、コスメに対する関心が高いことがわかった。また、以前から「コスメの取り扱いはないのか?」という問い合わせが多く寄せられていたという。
さらに、「ZOZOが成長できた要因の1つ」として、伊藤氏は「細部に神が宿る」という表現を使いながら、「ZOZOTOWN」での「洋服の買いやすさ」「検索のしやすさ」を強調した。
(ファッションと同様に)コスメを買うときも使いやすいように、考えて作り込んでいる。(伊藤氏)
加えて、伊藤氏は「ブランドラインナップが今ひとつだったら意味が無い」と説明。厳選した500ブランドが出店していると話し、ブランド数は今後も増える予定だ。
コスメを買いやすくする「ZOZOGLASS」
「ZOZOTOWN」でコスメ商材を買いやすくするために開発したのがフェイスカラー計測ツール「ZOZOGLASS」だ。
「ZOZOGLASS」は「ZOZOTOWN」アプリと併せて利用する。アプリを立ち上げ、「ZOZOGLASS」をかけた状態で指示にあわせて顔を細かく上下左右に傾け、ぐるりと1周計測。その後、「ZOZOGLASS」を外して同様の手順で計測する。
「ZOZOGLASS」をかけた状態でキャリブレーションを行い、(「ZOZOGLASS」のフレームに印刷された)カラーチップの変化を読み取る。その変化から環境色や環境光を割り出し、(2回目の「ZOZOGLASS」を外した状態での撮影結果から、それらの環境要因を取り除くことで)正しい肌の色を計測し表示している。(伊藤氏)
こうした計測方法でヘモグロビン量とメラニン量を測定、この2つの測定結果から肌色を導き出す。フェースパーツ別の色測定に加え、パーソナルカラーの診断も行う。
パーソナルカラーは、「ZOZOTOWN」で洋服を買うときにも参考になる情報だ。(伊藤氏)
計測から購入までスムーズな導線
現在、「ZOZOGLASS」はファンデーションのみの対応。測定結果から、「ZOZOTOWN」で販売しているファンデーションがユーザーの肌色に合う順番で表示する。
また1つのファンデーションのなかにも複数の色味があることから、その中で最も適した色が一目でわかるよう、一番肌色に近いカラーに「You」と書かれたアイコンがつく。この「You」を基準色とし、「もう少し暗い色がいい」「明るい色がいい」などユーザーが自由に選択できるようになっているという。
検索にこだわる。メンズコスメニーズ開拓も
「ZOZOCOSME」の全体を通した基本思想は、「ECでもコスメを買いやすいように」。そのため、「視覚的に分かる」「欲しい商品が絞り込める」といった検索性に特にこだわっている。
たとえば、商品名からだけではどんな色が含まれているのかイメージが湧きにくいアイシャドウパレットは、商品写真の下に展開カラーで作成された丸形アイコンを用意している。
さらに、各商品の在庫数を表示することで「買い時を逃さないで欲しい時に買える」(ZOZO EC事業本部 新井淳子氏)ようにした。大カテゴリのなかから好みや用途に合わせて商品を絞り込むこともできる。
コスメモール内は、「MEN」「WOMEN」「KIDS」とタブでわけている。従来、店頭でのコスメ購入に心理的抵抗があった男性のハードルを下げる狙いもあるという。実際、「クマ隠し用にコンシーラーが欲しいが店頭だと購入しにくいので、ECで買えるのはありがたい」といった声が寄せられているという。
カテゴリ拡充、ARメイク機能、フェイスタイプ診断展開を検討
今後の展開について伊藤氏は、まず「ZOZOGLASS」対応範囲の拡充をあげた。リップ、チーク、マスカラのレコメンドを展開予定だ。
続いて、ARメイク機能。「『ZOZOGLASS』を使ったARメイクを考えている。色補正をし、より現実に近い肌色でARメイクができる」(伊藤氏)構想を掲げているという。
そして、「フェイスタイプ診断」も検討する。現在提供している「パーソナルカラーの拡張にあたるサービス」(伊藤氏)で、ユーザーの顔タイプを診断し、似合う色をレコメンドする機能。「ファッション全体にまで広げたい」と伊藤氏は意気込む。ただ、「先になる可能性がある」(伊藤氏)といい、現時点ではサービスローンチの時期などの詳細は不明だ。
「一度でも(『ZOZOGLASS』で)計測すれば、追加提案が増えていく」(伊藤氏)。「ZOZOGLASS」を起点にパーソナライズ戦略を強化していく考えを示した。