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消費者から直接収集したデータ(ファーストパーティデータ)を分析すると、ライフステージ、所属する団体や組織、職業など、消費者の特性をより深く理解することができます。クッキーレス時代の新たなマーケティング手法として注目を集める、消費者が自発的に開示した個人情報を基に、企業が顧客1人ひとりに高度なサービス還元するパーソナライゼーション事例とメリットを見ていきます。

クッキーレス時代、企業はファーストパーティデータの収集が必須に

「今後は、ChromeでCookieを使ったトラッキングを許可しない」。Googleが公表した最近の声明は、消費者のプライバシーに対する懸念を大手企業が認めたことになります。この声明以降、Cookieを使わずに広告を行う方法に関する議論が盛り上がっています。

しかし、潜在的顧客の特徴を理解するためには、推測による行動追跡だけでは不十分です。よりパーソナライズされたマーケティングを望む消費者が、喜んで個人情報を提供してくれるよう、ファーストパーティデータ(自社で蓄積するデータ)のクリエイティブな収集方法を見つける必要があります。

業界ではこの顧客の同意を得たデータを、ファーストパーティデータと区別するために「ゼロパーティデータ」という新しい言葉で呼び始めていますが、ここではわかりやすくするためにファーストパーティデータという言葉で統一します。

消費者から直接収集したデータがあれば、消費者のライフステージ、所属するソーシャルグループや職業など、より深いレベルで消費者を理解することができます。また、消費者のクリックや購買行動を密かに追跡するようなストーカー行為を行わなければ、最初から透明性と信頼性に基づいた関係を築くことが可能です。

ファーストパーティデータを収集・利用する方法はいくつかありますが、これらはすべて、「自発的情報開示型パーソナライゼーション」と呼ばれる大まかなカテゴリーに分類されます。見込み客に自分に関する情報を進んで提供してもらい、その見返りとして、高度にパーソナライズされた商品やサービスを提供するというものです。

「ThirdLove」の活用事例

興味深い例として、「ThirdLove(サードラブ)」というアパレルDtoCブランドがあげられます。共同設立者のハイディ・ザック氏は、「ショッピングモールでブラジャーを購入した時に、会社設立を思い立った」とCNNに語っています。

彼女は、ショッピングモールでブラジャーを購入する際、サイズが合わないことに気付いたものの、とりあえず商品を購入してしまい、家に帰ってから後悔したそうです。女性が自分に合ったブラジャーを見つけるためには、より良いカスタマーエクスペリエンスが必要だと、ザック氏は考えました。

「Third Love」のECサイトトップページ
「Third Love」のECサイトトップページ(画像:サイトから編集部がキャプチャ)

彼女と彼女のチームは、消費者にクイズに答えてもらうことで個人情報を入手し、そのデータに基づいて最適なブラジャーをおススメするという解決法を打ち出しました。

たとえば、過去の回答に応じて「体重が増えたか減ったか」を尋ねる質問をします。そのような個人的な情報でも、「ThirdLove」にぴったりの商品を提供してもらうために、消費者は迷わず答えてくれるでしょう。

「ThirdLove」が実施しているクイズ例
「ThirdLove」が実施しているクイズ例(画像:サイトから編集部がキャプチャ)

また「ThirdLove」は、同じファーストパーティデータを、組織の重要な意思決定に役立てています。インタビューでザック氏は、「私たちは(クイズから集めた)すべてのデータポイントを使って、より賢くなり続ける内部アルゴリズムを構築しています」と説明しています。

たとえば、特定のサイズの在庫を管理するなど、サプライチェーンに関する意思決定にも役立てています。また、サイズの傾向が時系列でどのように変化するかを理解するのにも役立ちます。(ザック氏)

顧客への情報提供依頼はためらわずに行おう

商品やサービスの割引を提供するために、消費者のキャリアや所属団体に関する情報を求めるブランドもあります。

たとえば、旅行会社の「Cheap Caribbean(チープ カリビアン)」では、医療関係者を対象に旅行パッケージを特別価格で提供しています。消費者は、医師や看護師などの医療従事者であることを証明する書類を進んで提出し、特典を受けることができます

これまで多くの小売企業は、不必要な「摩擦」が生じることを恐れて、見込み客にあまり多くの、あるいはあまりにも個人的な質問をすることを躊躇してきました。しかし、これらの個人的な質問が、消費者が欲しいものを手に入れる手助けになると考えてみてください。「押しつけがましい摩擦」から、「素晴らしい購買体験」へと脚本を変えることができます。

さらに、「自発的情報開示型パーソナライゼーション」の取り組みから集められたデータは、将来のブランドロイヤルティの原動力となります。オープンで誠実なデータを得ることで、お互いの信頼関係が構築され、双方が満足し、そこから利益を得ることができるのです。これが、長期的な関係性とロイヤルティの出発点となります。

◇   ◇   ◇

消費者のプライバシー保護が強化される中、業界が変化していることは間違いありませんが、それは実は良いことなのです。新しい世界では、「自発的」をキーワードに、プライバシーとパーソナライゼーションの共存が可能になります。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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