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eコマースの商品マスタ管理には、バックエンドとフロントエンドの両方の技術的な対応が含まれるため、短期的に考えるべきではありません。

革新が進む小売業界、変化対応のカギを握るのが「商品マスタ管理」

コロナウイルスが産業界のストレステスト(編注:ストレス事象を想定し、シナリオに基づいてあらかじめ影響や損失を評価するリスク評価手法)だとしたら、最も大きな打撃を受けたのは小売業界と言えるでしょう。

しかし、店舗の閉鎖や従業員の一時解雇の瀬戸際まで追い込まれたにもかかわらず、小売業界はなんとか持ちこたえました。オンライン販売が急増したことは、小売企業がビジネスモデルを変革し、新しいエンゲージメントチャネルを活用したことを証明しています。近い将来、また新たなトレンドを生み出すことになるでしょう。

コロナ禍で、eコマースの成長は4~6年加速しました。オンライン通販を進める小売企業は今、驚異的な成長に向かっています。

コロナ禍が収束した後、急成長を遂げたEC事業者は、取引方法や顧客とのエンゲージメント方法の再構築を迫られることになるでしょう。商品の販売、配送、返品、そして全体的なカスタマー・エクスペリエンス(特に非接触の場合)において、さらなる革新が急伸。従来通りの戦略は通用しなくなっていくでしょう

消費者の行動は、以前よりも、社会で起きる出来事やコンテクストによって変化しています。

ニューノーマルに備える

ある調査によると、全消費者の42%のショッピング方法が、コロナウイルスによって根本的に変わると答えています。消費者の変化が大きいため、過去のデータに基づく従来の市場セグメンテーション、顧客プロファイリングの手法はすでに時代遅れになっています

たとえば、コロナ禍では、消費者の買い物回数は減ったものの、よりお金を使うようになりました。また、オンラインで注文した商品を返品しなくて済むよう、商品確認を念入りにする消費者が増えました。さらに、一部の人が“ニューアブノーマル”と呼ぶ、BOPIS(オンラインで購入後、店頭でピックアップ)の利用が195%増加しています。

消費者の今のニーズを追跡し、予測、対応することで、この変化の波に乗り遅れない小売事業者が勝者となるでしょう。

このような変化のなかで、商品マスタの管理はこれまで以上に重要な役割を果たしています。商品マスタ管理は、ライフサイクルをエンドツーエンドで把握できるだけでなく、消費者の要求に即座に応えるための微調整も可能にします。

正確で最新の商品説明があれば、消費者が最初から正しい商品を購入することができ、商品の交換や返品を減らすことができます。さらに、Amazon、Walmart、Alibabaなどのマーケットプレイスで商品を販売している小売事業者は、マーケットプレイスで義務付けられている商品説明や仕様のデータ化、データの標準化にも気を配る必要があります

この作業には、タグ付けのやり直しやメタデータの再考が必要になるかもしれません。これらのプロセスを自動化できれば、市場投入までの時間を短縮し、より多くの販売機会を得ることができます。商品マスタ管理は、小売事業者のコロナ禍後のeコマース戦略において、ビジネスに不可欠な要素として考慮されるべきです。

コロナ禍後のeコマースに合わせた商品マスタ管理

コロナ禍後の世界で成功するためには、商品マスタ管理を最優先し、効率化することが鍵となる理由を解説します。

透明性を確保し、消費者との信頼を築く

コロナ禍の影響で、オンライン通販に否定的だった人も、オンラインショッピングをするようになりました。オンライン通販利用者の5人に1人が、コロナ禍以前はオンラインショッピングを検討していなかったと答えています。

この傾向は、Amazon、Walmart、Alibabaなどのeコマースプラットフォームの信頼性と透明性が影響しているとも言えます。

小売企業は、正確な商品説明を提供し、オンライン購入を検討する際に消費者が抱く可能性のある疑問に対応する必要があります。確固とした商品マスタ管理戦略で、掲載商品情報の正確性の担保以外への対応も可能になります。たとえば、商品の迅速な配送。そのためには、ラストワンマイルの配送パートナーや倉庫部門との連携が必須になります

返品・交換の削減

正確で最新の商品マスタを提供する最も明白な利点の1つは、返品と交換が減ることです。正しい商品マスタがあれば、消費者が期待に反した商品を購入し、返品や交換を要求する可能性を軽減することができます。

商品マスタ管理には、さまざま関係者と調整しながら、それぞれの商品に関する必要な情報を集める必要がありますが、正しい商品マスタができれば、ほとんどすべての消費者の問い合わせに答えることができるようになるでしょう。そうなれば、消費者は最初から正しい商品を購入することができます。

また、消費者の要望に常に耳を傾けることで、購入課程におけるすべてのステップで充実したカスタマー・エクスペリエンスを提供することができるでしょう。

シームレスなカスタマージャーニー

たとえば、「blow dryer(ドライヤー)」と「hairdryer(ヘアドライヤー)」のように、消費者が異なるキーワードで商品を検索することはよくあります。商品マスタ管理は、小売事業者がメタデータのタグ付けを合理化し、特定の商品について考えられるすべての検索キーワードの組み合わせを束ねることで、消費者が欲しいものに辿り着く手助けをします

また、商品マスタを活用して、検索キーワードの履歴に基づいたオススメ商品を案内することで、購入予定がなかったサイト訪問者を新規顧客にコンバージョンさせることもできるのです。

より良いマーチャンダイジング

商品マスタ管理は、在庫や棚にあるすべての商品マスタの維持にも役立ちます。マスタ情報は、最も信頼できる情報源として機能し、特定の商品に対する需要を追跡し、商品のライフサイクルにおけるさまざまな要素を管理して、需要に応じた在庫を確保するのに役立ちます

この情報を消費者動向に見られるインサイトと組み合わせることで、品ぞろえを決定し、在庫調整をして需要のピークに対応することもできます。商品マスタ管理で、現在の購買動向に基づいて消費者のニーズに応えることができると同時に、新たなビジネスチャンスにつながることも多いのです。

提供商品の多様化

商品マスタ管理ができれば、小売事業者は消費者が好む商品を追跡し、トレンドに合わせて在庫を調整することができます。しかし、コロナ禍後においては、過去の購買データが消費行動を測る正確なバロメーターとはならないため、不確定要素が多くなります。そんな中、商品マスタを活用して、リアルタイムで発注や在庫を把握することができれば、関連商品を含めた商品マスタを有意義に多様化することができ、トップラインの成長に直接貢献することができるでしょう。

◇◇◇

コロナ禍は、すぐには終わりません。ブランドは、長期的な目的のためにeコマース戦略を再調整しています。バックエンドとフロントエンド両方の技術的な対応を伴うeコマースの商品マスタの作成は、短期的な目的と考えるべきではありません

時間、お金、労力を投入する一方で、eコマースのプロセス全体を通して商品マスタを定義、保存、検索、整理、統合するという、より広範な戦略的視点を持って実行しなければなりません

商品マスタ管理を改善することで、業務の短縮、レスポンスの向上、顧客満足度の向上など、eコマースビジネスの価値を最大限に高めることができ、ビジネスの必要に応じて迅速にスケールアップすることができるでしょう。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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