世界を先読み!日本独占配信 米国でもっとも有名なEC専門メディア『Digital Commerce 360』からの最新記事
海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

米Amazonがカード不要の後払い決済サービス「Affirm」を導入した理由

「Amazonが人気の後払い決済企業と提携するのは初めてのことだ」(シニアアナリスト)と言う。これによってAmazonは、平均注文金額と売り上げの増加が見込まれます

Digital Commerce 360

2021年9月16日 8:00

Amazonは今後数か月の間に、50ドル以上の商品購入で後払いで決済できるサービスを提供する予定です。その結果、平均注文金額と売り上げの増加が見込まれます。

Amazonは先日、決済事業者であるAffirm(編注:PayPalの共同創業者であるMax Levchin氏が2012年に設立した決済企業で、後払いサービスを提供している)との提携で、50ドル以上の商品購入者は、分割払いができるようになったと発表しました。

AmazonとAffirmは現在、分割払い機能をテストしており、今後数か月のうちに広く消費者が利用できるようにする予定です。

Affirmを利用すると、Amazonでの購入金額を3か月から48か月の分割払いにすることができるようになります。金利は年率0〜30%です。

Affirmは分割支払いを許可する前に、消費者の信用情報を確認、融資額を決定します。Affirmによると、この確認は数秒で行われ、消費者の信用スコアには影響しないそうです。

提携クレジットカードやAmazon Monthly Paymentなどを通じて、複数の支払いオプションを提供しているAmazonにとって、「後払い決済」は決して新しいサービスではありません。しかし、「Amazonが人気の後払い決済企業と提携するのは初めてのことだ」と、金融サービス調査会社Aite Groupのシニアアナリスト、ジンジャー・シュメルツァー氏は言います。

融資オプションのほとんどはクレジットカードが基本であるのに対し、後払い決済の85〜90%はデビットカードで行われています。後払い決済は、さまざまな経済レベルの消費者に利用されていますが、信用力の低い、あるいは信用力があまり高くない消費者のための資金調達手段として、多くの企業がその魅力に注目しています。(シュメルツァー氏)

後払い決済は近年増加しており、より多くの消費者が利用し、より多くの小売事業者がこの決済方法を提供するようになりました。Web計測会社のSimilarWebによると、分割払い決済企業のKlarnaまたはAfterpayのいずれかを提供している世界のeコマースサイトは、2020年1月時点では56,127店でしたが、2020年12月には60%以上増加し、9万479店にまで増えています。

『Digital Commerce 360』発行の「北米EC事業 トップ1000社データベース」にランクインしてる企業の27.1%が、後払い機能を提供していますが、そのなかでは、Affirmが最も人気があります。

北米EC事業 トップ1000社データベース」にランクインしている企業が利用している分割払い決済企業。最も人気の高い分割払い決済企業はAffirmとAfterpay
「北米EC事業 トップ1000社データベース」にランクインしている企業が利用している分割払い決済企業。最も人気の高い分割払い決済企業はAffirmとAfterpay(画像は『Digital Commerce360』発行「北米EC事業 トップ1000社データベース 2021年版」※注:11の企業は複数の分割払い方法を提供)

シュメルツァー氏はこう言います。

コロナ禍の影響による資金繰りの悪化、クレジットカードの利用限度額越え、万一に備えたクレジットラインの確保、クレジットカード利用の回避といった理由から、消費者は別の支払いオプションを探していました。

Affirmは、消費者が分割支払いで購入した場合、加盟店に手数料を請求します。Affirmによると、手数料は店舗ごとに交渉しているそうです。『Digital Commerce 360』の調査では、後払い決済の典型的な手数料は約3%と予想されています。

一般的に、分割払いボタンを導入した後は、コンバージョン率や平均注文金額が高くなることが多いため、コストをかけて導入する価値はあると小売事業者は言います。シュメルツァー氏によれば、Amazonでも同じことが起こる見込みです。

購入した商品の代金を、時間をかけて支払うことができると、消費者は高価な商品を手頃に感じる傾向があるため、平均注文金額と売上が増加するのではないかと思います。

Affirmによると、約1万2,000の販売事業者が同社のプラットフォームを利用しており、2017年のローンチ以来、1,700万件以上の取引を処理しているそうです。

Affirmは、2021年度第3四半期(5月10日締め)のアクティブユーザーは540万人で、330万人だった前年同期から60%増加したと発表しています。なお、アクティブユーザーの定義は、過去12カ月間にAffirmを利用したことがある人です。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

この記事のキーワード

この記事をシェアしてほしいタヌ!

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る

企画広告も役立つ情報バッチリ! Sponsored

「声のする方に、進化する。」会社全体最適を目標とするワークマンの「補完型EC」 が実践する「レビューマーケティング3.0」とは? 12月17日 7:00 「所有から利用へ」の潮流をAIで勝ち抜く。事例で学ぶレンタル・リユースビジネスの成功法則とEC構築術 12月16日 7:00 「サムソナイト」「グレゴリー」のEC改善事例。CVR改善+購入完了率が最大45%増の成果をあげたアプローチとは 11月12日 7:00 スマホゲーム「モンスト」ファンがお得にアイテムを購入できる「モンストWebショップ」はなぜ「Amazon Pay」を選んだのか。導入効果+UI/UX向上に向けた取り組みを聞いた 10月30日 7:00 アンドエスティが「3Dセキュア2.0」の超効率的運用に成功したワケ。オーソリ承認率大幅改善、売上アップにつながった不正対策アプローチとは? 10月28日 7:00 EC業界で市場価値を最大化する――「全体を見渡せる人材」になるためのキャリア設計 10月27日 7:00 転売ヤーが引き起こすEC市場の混乱に立ち向かう! Shopifyパートナー・フラッグシップが提案する最新対策 9月29日 8:00 14か月で累計売上30億円超え。 韓国のネイルブランド「ohora」の急成長を支えたEC戦略とは 9月22日 8:00 生成AI検索が変える消費者の購買行動。UGC活用でサイト流入を最大化する 9月10日 8:00 ほしい商品が見つからないイライラを解消し、CVRを向上! 検索機能強化と顧客満足度アップを実現するBtoB-ECサイト改善のポイントとは? 9月9日 7:00