昨今の大きな外的環境の変化を受け、ECビジネスへの新規参入が進みました。同時に「ECを構築したがユーザーが計画通りに増えない」「もっと顧客理解を深めてLTV(顧客生涯価値)を引き上げたい」というように、ECの事業成長に悩む企業も増加しています。そのようなお悩みに対し、「プロダクトマネジメント」を通じてEC事業を成長させていくデータ活用をお伝えします。

「プロダクトマネジメント」とは

オウンドEC(自社EC)を戦略的に成長させていくための考え方として「プロダクトマネジメント」があります。プロダクトマネジメントとは、プロダクトの作り手である企業がユーザーに合わせてプロダクトを改善させ、収益を拡大させていく運用体制のことです。

多くの企業では、開発、マーケティング、営業など、組織がわかれています。部署で細分化された企業活動は効率的な反面、「現場がお客さまの希望をヒアリングしているのに開発に反映されない」「プロダクトは良いが売り方が悪い」といったひずみが起こり、結果的に成長の足かせになることがあります。

プロダクトマネジメントはこの開発から収益化までの全体を最適化させていきます。プロダクトマネジメントには3つの視点が必要です。

  1. ビジネス:ビジネスとしていかに成立させ、収益を最大化させるか
  2. ユーザー体験:誰のどのようなペイン(不満)を解決するか
  3. テクノロジー:どのようにプロダクトがペインを解決していくか

この3つの視点をバランスよく運用することが重要です。ECも広義ではプロダクトです。特にオウンドECの事業を背負うリーダーには、プロダクトマネジメントの視点が不可欠です。

プロダクトマネジメントでオウンドECを成長軌道に乗せる

ではプロダクトマネジメントでどのようにオウンドECを成長させていくのか、具体例をお伝えします。ポイントはデータ活用によるPDCAサイクルの実行です。

①購買データの活用

問題を特定するには、購買データを活用し、売り上げを構成している要素を分解することが有効です。

上の図はある商品に関する売り上げと、それを指標として分解したKPIおよび目標達成率です。これによると「商品売上」の目標達成率は-10%でした。次に「平均注文数量」と「平均注文価格」がマイナスであり、ここがボトルネックだとわかります。

ボトルネックを特定できれば、それに対する改善アクションの仮説検討がしやすくなります。たとえば、競合の台頭が原因なのであれば、競合との差別化を訴求することは効果がありそうです。

②ユーザーデータの活用

一般的にECサイト内で購入に至るまでには、下の図のような流れがあります。多くのユーザーがサイトへ来訪しても、購入に近づくにつれてユーザーは離脱していきます。

各体験フェーズをそのままKPIとし、データによって離脱した箇所の特定や原因を考察し、改善アクションにつなげることができます。たとえば、カートイン後に離脱が目立つのであれば、メールなどでフォローしたり、入力フォームでの離脱が多いのであればフォームを簡潔にするといった改善策が考えられます。

データ抽出の工数を削減して問題解決にリソースをかける

プロダクトマネジメントの本質はデータを取ることではなく、得られたデータを基に何を改善させるかということです。データの分析工数を減らし、改善アクションの企画や実行にかける時間を多く確保するために、データはダッシュボードやBI化させておくことをおすすめします。

数年前までは今ほどデータダッシュボードのツールがそろっておらず、複数のデータ担当が数日がかりでデータを抽出するということが当たり前でした。ただ、現在はデータを自動的に簡易に抽出し、改善アクションへの視座出しまでしてくれる便利なツールがあります。

ここで、プロダクトマネジメントにあたっておすすめの2つのツールをご紹介いたします。

Commerce Data Hub

自社EC、楽天市場、AmazonなどのECモールデータ、Googleアナリティクスなどのデータ、さらに実店舗などのオフラインデータも一元管理できる統合管理ツール。

販売手法が多様化したことで「データが点在しており管理ができない」「データは取得・管理できているが、それをビジネス拡大にどのように活用していけばいいかわからない」という悩みを持つ企業が増え、その課題解決を目的としています。ビジネスの意志決定に対し豊富な視座を提供するデータテンプレートが常時20種類以上揃っており、企業毎の個別課題に合わせてカスタマイズも可能。

参考

Amplitude

「Amplitude」はデジタル先進企業が多く採用する「プロダクトアナリティクス」の分野で、ユーザー行動分析に強みを持つツール。世界で4万5000以上、日本でも1000以上のサービスに導入されています。通常はタグの埋め込みによる実装ですが、ShopifyであればAPIキー連携が可能。

従来の分析ツールはデータから過去に起きたこと(結果指標)を抽出するものですが、「Amplitude」は改善の示唆(先行指標)まで行います。優良顧客の芽や、購買可能性が高いユーザーの回遊行動の特定など、ユーザー軸でのビジネス拡大に適した分析チャートがあらかじめ用意されています。

参考
◇◇◇

企業単体ではプロダクトマネジメントを実行するための体制を作りづらい場合があります。「社内にデータを有効に利活用できるノウハウがない」「リソースが足りない」「ジョブローテーションがある」「部署間連携が難しい」など、理由はさまざまです。実行体制作りは専門的な知見を持つパートナー企業とプロジェクト体制を組み、二人三脚で実施していくケースが増えてきています。電通デジタルでは専門家でチームを組んで支援を行っています。

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川久保 剛

電通デジタル

電通デジタル コマースディレクション事業部
グループマネージャー / ビジネスアナリスト

2007年より一貫してウェブサイト構築・運用に携わり、現在はオウンドEコマース領域でマーケティング戦略立案からビジネスアナリシス及びプロジェクトマネジメントに従事。2017年より現職。

小関慶二

電通デジタル

電通デジタル コマースデザイン事業部
プランナー/グロースアナリスト

化粧品メーカーにてアナリストをおよそ10年間経験。直販データを基に分析、課題の抽出と解決プランニングまでを経験。

その後米系インストアマーケティング会社、米系ECモール、SaaS型EC構築ツール(shopify)事業を経験しデータ分析に基づいた戦略の立案・構築ディレクションを経験。

専属のアナリストやプランナーではない、双方を掛け合わせた分析・改善提案を行う。

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