企業を直撃する原油高、原材料価格の上昇、円安進行などのコスト上昇。「価格転嫁できていない」は約7割

東京商工リサーチがコストアップ下における価格転嫁に関するアンケートを実施。「価格転嫁できていない」企業は約7割に、全額転嫁した企業は4.2%にとどまる

瀧川 正実

2022年4月20日 9:00

原油高や原材料価格の上昇、円安進行などのコスト上昇が企業経営を直撃している。

東京商工リサーチが価格転嫁に関する企業アンケートを実施したところ、「価格転嫁できていない」企業は約7割に達した。販売やサービス提供の価格への転嫁に苦心する企業が多い実態が浮き彫りになっている。

全額転嫁した企業は4.2%(165社)にとどまる。規模別では、「転嫁できていない」は大企業が73.0%(449社中328社)に対し、中小企業は68.1%(3451社中2351社)。大企業が中小企業を4.9ポイント上回り、価格転嫁に苦慮しているようだ。

東京商工リサーチが価格転嫁に関する企業アンケートを実施
価格転嫁の状況

「価格転嫁できていない」と回答した企業を業種別で分析したところ、トップは受託開発ソフトウェアや情報提供サービスが含まれる「情報サービス業」で90.7%(108社中98社)。旅行やブライダルなどの「その他の生活関連サービス業」が90.4%(21社中19社)が続いた。

東京商工リサーチが価格転嫁に関する企業アンケートを実施
価格転嫁できていない業種

コスト吸収について、16.9%の企業が現状より10%以下のコスト上昇で、営業赤字に転落すると回答。規模別では、大企業(資本金1億円以上)が13.1%、中小企業は17.3%だった。一方、29.0%の企業が「すでに赤字」と回答した。

東京商工リサーチが価格転嫁に関する企業アンケートを実施
コスト吸収の状況について

「すでに赤字」と回答した企業を業種別で分析すると、比率がもっとも高いのは「繊維・衣服等卸売業」で46.4%(28社中13社)。「道路貨物運送業」の46.3%(69社中32社)、「輸送用機械器具製造業」の43.7%(32社中14社)、「印刷・同関連業」の38.4%(39社中15社)と続いた。

東京商工リサーチが価格転嫁に関する企業アンケートを実施
すでに赤字の業種について

調査は、2022年4月1日〜11日にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答3900社を集計・分析した。

この記事のキーワード

この記事をシェアしてほしいタヌ!

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る

企画広告も役立つ情報バッチリ! Sponsored

「サムソナイト」「グレゴリー」のEC改善事例。CVR改善+購入完了率が最大45%増の成果をあげたアプローチとは 11月12日 7:00 スマホゲーム「モンスト」ファンがお得にアイテムを購入できる「モンストWebショップ」はなぜ「Amazon Pay」を選んだのか。導入効果+UI/UX向上に向けた取り組みを聞いた 10月30日 7:00 アンドエスティが「3Dセキュア2.0」の超効率的運用に成功したワケ。オーソリ承認率大幅改善、売上アップにつながった不正対策アプローチとは? 10月28日 7:00 EC業界で市場価値を最大化する――「全体を見渡せる人材」になるためのキャリア設計 10月27日 7:00 転売ヤーが引き起こすEC市場の混乱に立ち向かう! Shopifyパートナー・フラッグシップが提案する最新対策 9月29日 8:00 14か月で累計売上30億円超え。 韓国のネイルブランド「ohora」の急成長を支えたEC戦略とは 9月22日 8:00 生成AI検索が変える消費者の購買行動。UGC活用でサイト流入を最大化する 9月10日 8:00 ほしい商品が見つからないイライラを解消し、CVRを向上! 検索機能強化と顧客満足度アップを実現するBtoB-ECサイト改善のポイントとは? 9月9日 7:00 B向けEC担当者必見。BtoBビジネスを成功に導くサイト内検索の最適化戦略 9月3日 8:00 クリック率3倍、セッション数2.3倍を実現したECサイトの取り組みとは? リアル店舗のような“ワクワク感”を再現するPLAZAの事例 9月2日 7:00