集客は広告・SNS・SEO対策のバランスが重要。検索エンジン最適化の基礎と4か月で流入数2倍の事例を解説
みなさんは「SEO対策」についてどんなことを知っていますか? SEOは「検索エンジン最適化」とも呼ばれ、自社サイトが検索結果の上位に表示されるようにするためのさまざまな施策を指します。ご存じの通り、ECサイトにおいても、SEO対策が集客力や認知度の向上においてとても大切な要素。今回は、改めてSEO対策が必要な理由とその基本、実際に対策に成功した事例を見ながら、自社ECでベストなSEO対策を行う上でのヒントを探したいと思います!
基本をおさらい! SEO対策がなぜ必要なのか?
ECサイトへの基本的な流入経路は、自然検索、広告、SNSの3つがあります。その中でも、「自然検索」が全体の流入の50%を占めていると言われています。
つまり、自然検索からの顧客の流入をいかに確かなものにするかが、ECサイトでの集客の大きなポイントになるのです。そのためには、SEO対策をしっかりと練っておくことが必要と言えるわけですね。
また、SNSや広告でのプロモーションを用いた集客には即効性がありますが、「別途の費用がかかる」「施策をストップしたら流入が途絶える」などのデメリットもあります。
一方のSEO対策は、効果が出るまでに少し時間がかかる分、費用がかからず、検索結果の上位に表示されるようになることで長期的な集客を見込むことができます。
広告やSNSでのPRを通した即効性のある訴求と、SEO対策を施した検索での長期的な集客、これら両者のバランスが大切と言えそうです!
ベーシックな3つの対策をチェック
SEO対策には、サイト内部に対して行う内部対策、サイトの外部から行う外部対策、そしてサイト内容に対して行うコンテンツ対策があります。
ECサイトの内部対策
①クローラーがサイト内で適切に巡回できるよう促す
クローラーとは、検索エンジンが検索結果の順位を決めるための要素をサイト内を巡回して収集し、データにまとめるロボットのようなものです。
検索エンジンは、「クローラーが集めたWebサイトのデータをランク付け→そのランクが高いWebサイト順に検索結果を表示する」という流れで動いています。
つまり、まずはクローラーがサイトに来て、サイト内を適切に巡回してもらいやすくすることが、検索結果上位をとるための第一歩になるわけです。そのための主な方法が以下の3つになります。
- サイトマップを構築する
サイトマップとは、そのWebサイトに存在するページや繋がりを網羅したページのことで、言わばそのWebサイトの目次のようなものです。クローラーは、リンクをたどりながら日々世界中のサイトを巡回しています。
一方、サイトのリンクからいちいち新しいページに飛ぶよりも、サイトマップという全体像からページを探す方が、クローラーにとっては高速で効率よく巡回することができるのです。
- サイトの階層構造をシンプルにする
サイトの階層構造とは、「トップページから目的のページまでに何クリックでたどり着けるか」を表した言葉です。
注意しなければならないのは、トップページから何度もクリック操作しないとたどり着けないページは、クローラーから重要でないと見なされてしまう恐れがあることです。
そのためには、サイトの構造をシンプルでわかりやすくすることが必要です。関連性の高いページやより下位の階層にあるページを、内部リンクなどによって素早くアクセスできる工夫を施せば、クローラーからもより認識されやすくなります。
- 「パンくずリスト」を設置する
いきなり食べ物が出てきましたが、「パンくずリスト」とは、サイトを訪れたユーザーが現在サイトの階層内のどの位置にいるのかを示した部分のことです。
たとえば通販サイトであれば、ページの上部に「top>メニュー>おすすめ商品」みたいに表示されている部分ですね。
この「パンくずリスト」は、クローラーにとってもサイト構造を理解し適切に巡回する助けになるので、なるべく設置しておきましょう!
②サイトが適切にインデックス(クローラーが集めた情報を検索エンジンのデータベースに登録すること)されるように促す
- ページのインデックス漏れがないかチェックする
検索エンジンはインデックスされた情報をもとにページをランク付けするので、ページが検索結果に表示されるには、それが確実にインデックスされていることが前提です。
インデックスの確認は、各検索エンジンが提供している検索分析ツール(Googleであれば「Google Search Console」)を使って行うことができます。
- 適切なTitleタグやdiscriptionタグを設定する
Titleタグとは、検索結果の項目に一番大きく表示される、ページに移る際に実際にクリックする部分のことを指します。
検索されたキーワードとTitleタグに設定されているキーワードが合致しているページほど、検索結果で上位に表示されやすくなります。
たとえばECサイトであれば、あまり多くのキーワードを用いすぎず「〇〇を取り扱う通販サイト」のようなシンプルな形にまとめることがおすすめです!
それに加えて、discriptionタグ(Titleタグの下に表示されるサイトの説明文)もユーザーが検索エンジンに訪れるかどうかの判断材料になり、表示順位に影響します。そのページで最も伝えたい内容を簡潔に記述しましょう!
ECサイトの外部対策
①良質なコンテンツを継続的に作る
外部対策で最も重要なのが、「他のサイトからの外部リンクの数」になります。これは、参考として引用される回数が多い学術論文ほどより質の良い論文とされるのと同じ考え方で、他者のサイトからのリンクが多いサイトほどより良いサイトであると考えるためです。
コンテンツ対策にもつながるのですが、外部リンクを多く獲得するには、まず良質なコンテンツを提供することが肝要です。
ポイントは、継続的に良いコンテンツを配信すること。良いコンテンツが増えるほど外部サイトからの評価も高くなり、結果的に外部リンクも増える確率が高くなります。長期的に発信し続けることで、確実な効果が現れるはずです!
②SNSで拡散しやすいサイト設計を行う
良いコンテンツ制作を行っても、それがなるべく多くのユーザーの目にとまらなければ意味がありませんよね。そのためには、SNSでの拡散を狙うことが最も効果的。ユーザーが、「この記事をシェアしたい!」と思った時すぐに投稿できるような仕組みを入れましょう。
たとえば、文頭や文末など見つけやすい場所にソーシャルボタンを入れておくと良いかもしれません。ページのスクロールに合わせてボタンが移動するような工夫なども考えられるので、自社ECに合わせたデザインを考えてみましょう!
ECサイトのコンテンツ対策
コンテンツの質は、サイトの質にも直結します。良いコンテンツを作る際に欠かせないのが、適切なペルソナとキーワードを設定することです。
①ペルソナを設定する
ペルソナとは、年齢や性別、職業から趣味、生活習慣など、想定しているターゲットを実在する人物のように詳しくイメージした人物像のことを指します。具体的な顧客をイメージすることで、よりユーザー目線で効果的な施策を行うことができます。
②適切なキーワードを設定する
その上で、ペルソナがどのようなキーワードで検索するのかを把握しましょう。注意点としては、検索数が多いキーワードは競合が多くなり、検索上位にヒットする難易度が高くなること。
特定のキーワードのみにこだわらず、それに関連して検索されるような言葉をサブキーワードとして設定し、コンテンツに組み込むことがコツになります。
具体的なペルソナとキーワードを設定しておくことで、ユーザーのニーズに合ったコンテンツを作りやすくなるのです。
ここでもう一度基本の対策をまとめると、
内部対策
- クローラーがサイト内で適切に巡回できるよう促す
- サイトが適切にインデックスされるように促す
外部対策
- 良質なコンテンツを継続的に作る
- SNSで拡散しやすいサイト設計を行う
コンテンツ対策
- ペルソナを設定する
- 適切なキーワードを設定する
となります。
次にご紹介する事例を通してこれらのイメージを少しつかんでみましょう。
ECサイトでSEO対策に成功した事例3選
キーワード選定で売上40%アップに成功した事例
最初は、キーワード選定を工夫したことで昨対売上比が大幅アップした、トイレ・給湯器などの住設設備のECサイト事例です(編注:事業者は匿名)!
このサイトでは、自然検索からの流入を増やすために「商品名」や「製品型番」「商品名 色」などの直接的な顕在層向けのキーワード対策に加え、今後製品購入をする可能性が高い潜在層にもキーワードからのアプローチを行う必要がありました。
そこで行った対策が、ハウツー系のライティング記事。「◯◯と◯◯の比較」や、「〇〇の選び方」「〇〇の方法」などの潜在層向けのキーワードでアクセスを集め、専門的な内容を簡潔に掲載することでページの評価をアップさせていきました。
およそ1年間の対策を続けた結果、多くのキーワードで検索数1位を達成、売り上げを40%アップさせることに成功しています!
検索からの流入を促す上で、適切なキーワード選びはやはり重要ですね!
自然検索が大幅増! 内部リンク対策で成功した事例
次にご紹介するのは、アンティーク家具を販売しているECサイト(編注:事業者は匿名)。内部対策を見直すことで、自然検索流入数を大きく改善した事例です!
このサイトでは、コンテンツ追加は頑張っているものの、思うようにランキングの向上や検索からの流入に繋げられないという問題を抱えていました。
見つかった課題は、次の2点。
- 商品カテゴリページがクロールされにくくなっている
- 商品に関連するページから商品ページへの内部リンクが集められていない
そこで主に取り組んだのが、検索エンジンからの評価が低いページでクローラーの巡回を促進する対策をとったこと、そして商品詳細や写真、コラムなどの詳細ページから、商品ページへの内部リンクを設置したことでした。
他にも細かな調整を加えていった結果、1年間で自然検索流入が193%改善、特に商品カテゴリページへの流入は1157%の改善という驚異的な成果を上げることに成功しています!
内部からの対策が、いかに集客を左右するかを示す良い事例ではないでしょうか。
※引用:【家具ECサイトのSEO事例】内部リンク設計でカテゴリページへの検索流入が1,157%改善
申込数が85%向上! コンテンツ対策で成功した事例
最後は車買取サイト(編注:UcarPAC〈ユーカーパック〉が運営するサイト「ユーカーパック」)の成功事例です。コンテンツ強化によって、短期間で大きな成果を上げています!
課題として大きかった点は、キーワードに対応するページやカテゴリが用意されていなかったこと。キーワードを検索したユーザーを漏らさずキャッチするため、ユーザーにとって重要なコンテンツを洗い出し、新たにページを作成して追加する必要がありました。
また、キーワードの検索意図からページの配置やレイアウトも変更し、ユーザーの意図に沿ったページへと作り替えていきました。施策後の結果は、わずか4か月で流入数が2倍になり、車査定の申し込みが85%アップという大きな改善でした!
※引用:4ヶ月で流入数2倍 CV数85%増した車買取サイトのSEO対策事例
どの事例も、先ほど学んだ3つの対策が基本になっていることがおわかりいただけたかと思います。SEO対策にはさまざまなアプローチがあり、ときにはWebサイトに関する専門知識も必要かもしれません。
しかし一度でも対策に取り組めば、ユーザーからの評判も上がり、自社サイトに長期的なメリットをもたらしてくれる可能性が多いにあることも確かです。
基本となる3つの対策を軸にしながら、皆さんもSEO対策の新しいヒントをつかんでいただければ幸いです!