ヤマトHDが進める物流マッチング+共同輸配送などを実現するオープンプラットフォーム構想とは

物流業界は、輸送能力の不足が懸念される「物流の2024年問題」、気候変動への対応など、深刻化するさまざまな課題に直面。物流は国民生活や経済活動を支える社会的インフラとして、さらなる効率化に向け大きな変革を迫られているとしている

松原 沙甫[執筆]

2024年5月23日 9:30

ヤマトホールディングス(YHD)は5月21日、荷主企業や物流事業者をつなぐ共同輸配送のオープンプラットフォームを提供する新会社「Sustainable Shared Transport株式会社(SST)」を設立した。2024年度中の事業開始を予定している。

企業間の垣根を超えた「共同輸配送」による物流効率化の実現をめざし、荷主企業や物流事業者など多様なステークホルダーが参画できる共同輸配送のオープンプラットフォームを提供する。

ヤマトグループが宅急便で培った約160万社の法人顧客、4000社以上の物流事業者とのパートナーシップ、輸配送ネットワーク・オペレーション構築のノウハウを生かし、安定した輸送力の確保と環境に配慮した持続可能なサプライチェーンを構築していく。

ヤマトホールディングス(YHD)は5月21日、荷主企業や物流事業者をつなぐ共同輸配送のオープンプラットフォームを提供する新会社「Sustainable Shared Transport株式会社(SST)」を設立
共同輸配送のオープンプラットフォーム構想

オープンプラットフォーム上では、荷主企業の出荷計画や荷物量、物流事業者の運行計画などの情報をつなぎ、需給に合わせた物流をマッチング。輸配送はヤマトグループに限らず、リソース情報を登録した物流事業者も担う。プラットフォオームの基盤システムは富士通と共同で開発を進めており、2024年冬頃の利用開始を予定している。

地域の複数の物流網を集約する共同輸配送も実施する。地域の物流事業者が、効率的に複数社の域内配送(集荷)を担うことで、積載率や稼働率を向上させて持続可能な物流を構築する。

このほか「標準パレットの使用」「定時運行」「セミトレーラーやダブル連結トラックなどの高積載車両の活用」によって、高積載で安定した運行の実現をめざす。中継拠点を介した輸送を行うことでドライバーの負担を軽減し、稼働率を向上させる。2024年度は東京・名古屋・大阪間で1日40線便を運行する予定。

SSTは2024年度中に第三者割当増資を予定しており、荷主企業や物流事業者など幅広いステークホルダーから出資を募る。公益性の高いオープンプラットフォームを構築し、さまざまな荷主企業や物流事業者からの利用を募り、事業拡大をめざす。新会社の資本金は3億5000万円。YHDが100%出資した。

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