高野 真維 7/17 7:30

店舗スタッフのオンライン接客をサポートするDXツール「STAFF START(スタッフスタート)」のバニッシュ・スタンダードは、小売・サービス業の人手不足解消を支援する「FANBASSADOR(ファンバサダー)」の提供を始めた。

店舗スタッフになりたい人を増やし、企業が求める人材を集めることができる仕組みを搭載。企業やブランドのファン(顧客)がEC運営に参画できるようにするという。

「STAFF START」をベースとして強化した新サービス「FANBASSADOR」
「STAFF START」をベースとして強化した新サービス「FANBASSADOR」

「ファンバサダー」は、顧客やOB・OGなど「その企業が好きな人」と企業がつながり、ECビジネスでの共創、スポット雇用、ゆくゆくは企業の一員として直接雇用の実現をサポートするサービス。小売・サービス業の人手不足解消に貢献するサービスと位置付けている。

好きな商品やサービス、ブランドが“好き”で集まるファンが企業を応援できる仕組みの実現をめざす。新サービスを通じて、スタッフになりたい人の増加、企業にとっては最適な人材の登用で、離職率の低下・人材不足解消などにつなげる。

機能の第1弾として「キュレーション」の提供をスタートした。「キュレーション」は、UGCを活用して企業・ブランドのファンを集める新機能。Instagramにアップした投稿をハッシュタグ検索し、ユーザーへの自社ECサイトへの掲載依頼や投稿商品のひも付け、掲載作業、効果測定をカバーする。

「キュレーション」機能の活用例
「キュレーション」機能の活用例
  • Instagram経由でのECサイトへの集客・売り上げの計測:SNS計測用のURLを発行することで、「ファンバサダー」のInstagramからの集客や売り上げを計測できる。フォロワー数だけではない、ブランドを共創する上で大切な「売り上げを作れる」実績がある「ファンバサダー」の見極めや育成ができる
  • ファンバサダー候補探しをバニッシュ・スタンダードもサポート:ブランドのファンを探すことをバニッシュ・スタンダードの「スタッフスタート」がサポートする。
    • あらかじめ「スタッフスタート」がスカウトした、「キュレーション」機能に参加できるInstagramのユーザーを「ファンバサダー」のサービス上で閲覧できる。
    • 2024年秋には、「ファンバサダー」のリストでフォロワー数や投稿頻度などが一覧で見られる仕様にアップデートする。

「ファンバサダー」が今後予定している機能の追加やアップデートは次の通り。

  • スコアリング機能:経由の売上データをもとに、店舗スタッフ・ファンバサダーすべてのスタッフのスコアリングをする機能。単純な売上高だけではない、ファン度や活躍度など多角的なスコアリングが可能となる
  • アンバサダー機能:優れた「ファンバサダー」に対し、ECへのコンテンツ投稿の依頼、成果に応じたインセンティブの支払いができる機能。最適な人材に仕事を依頼できることで売上アップが見込める。「ファンバサダー」は好きな企業での就業体験や、オンラインでスポットワークができる
  • リクルーティング機能:転職や就職を考えている登録者や、オンラインで自社のスポットワークをした「ファンバサダー」に直接スカウトを送ることができる

バニッシュ・スタンダードが実施したメディア向け発表会では、ビームス代表取締役社長の設楽洋氏が登壇。「ファッション業界の人手不足」をテーマに、バニッシュ・スタンダード代表取締役の小野里寧晃氏とトークセッションを実施した。

ビームス 代表取締役社長 設楽洋氏(右)とバニッシュ・スタンダード代表取締役 小野里 寧晃氏
ビームス 代表取締役社長 設楽洋氏(右)とバニッシュ・スタンダード代表取締役 小野里 寧晃氏

ビームスは、ショップスタッフ(販売員)が起点となることでオンライン・オフライン両軸での集客に成功している。全国の販売員が、自社サイトの「タイムライン」にコーディネート写真やブログなどを投稿。これを起点に会員とのつながりを作り、実店舗やECサイトの集客や売上アップにつなげている。

スタッフが「商品を売るプロ」であることにとどまらず、「集客のプロ」になれている? ということを全社員に問いかけたことがあります。「集客のプロ」になることが求められるのは、店頭スタッフはもちろんのこと、内部のスタッフも例外ではありません。(ビームス 設楽洋社長)

人材活用・登用の観点では、ビームスの離職率は4%。「ファッション業界では、離職率は20~30%ほどで推移することが珍しくなく、ビームスの離職率は極めて低いと感じます」(小野里氏)

辞めようとするスタッフを、辞めさせまいと妨害することはありません。たとえばOBになったり、独立して自分の仕事と向き合うようになっても、一部契約でビームスの仕事を請け負ってくれたりと、何らかのつながりを持つケースが多くあります。いろいろな形で、社内外でつながることができています。(ビームス 設楽洋社長)

トークセッションでは、小野里氏の「カンパニー内だけではなく、たくさんの仲間を増やしながらブランド力に高めていく時代に突入していく」という考えを受け、設楽氏は「ビームスを好きなお客さまを含めて、仲間作りができたり、新しい時代が作れると良いと思う」と締めくくった。

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