瀧川 正実[執筆] 12:00

多くのEC実施企業さんと交流するなかで増えているのが、先行きを不安視する声。円安、物流問題、さまざまな原価や人件費の高騰、人手不足、IT技術の進歩、ECモールの複雑な仕様変更、気候変動、競争激化――ここ数年でEC市場は目まぐるしく変化し、企業を取り巻く環境は大きく変わっていることが背景にあります。

EC黎明(れいめい)期に楽天グループ(当時は楽天)でマーケティングなどに携わり、現在は多くのEC実施企業をサポートするコマースデザインの坂本悟史社長は、2024年10月に『売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則。』(インプレス刊)を上梓。こうした環境下だからこそ、「次に進むためにはまず足元を整理することが重要」と提唱します。自身3冊目の著書となった“EC本”出版の背景やEC事業者へのメッセージなどを聞きました。※『売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則。』の読者プレゼントを実施中。応募はこちらから

【3名さまにプレゼント】『売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則。』

インプレスからEC運営の全体像を体系化した書籍が出版されました。『売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則。』を3名さまにプレゼントします

EC事業を一歩進めるために「足元を見つめ直して整理する」

――累計2.6万部も売れた『売れるネットショップ開業・運営 eコマース担当者・店長が身につけておくべき新・100の法則。』(インプレス刊)を上梓したのが2010年(2013年にはマンガ版の『マンガで納得! インターネット販売 売れるネットショップ開業・運営』を出版)。それから14年が経過し、3冊目となる“EC本”を上梓しました。その背景を教えてください。

2010年の出版前後の時期は、商品をECサイトに掲載、メルマガを打てば“売れる”という状態でした。それから14年。昔と比べてECサイト運営において責任者も担当者もやるべき業務が増えて「時間が足りない」「忙しい」「最近煮詰まっている」「やるべきコトはやったが思うように伸びない」といった声が多くなり、それが原因で前進できないケースが増えているように感じています。

こうした状況に陥っている事業者に共通していると思われるのが、オペレーション、組織など「販促以外の課題」。まず足元を見つめ直して整理することで、いろいろな課題を解決できることがあるんです。黄色い本(『売れるネットショップ開業・運営 eコマース担当者・店長が身につけておくべき新・100の法則。』の通称)は販促をテーマにしましたが、今回の新書はEC事業・EC運営に必要なすべての要素を網羅しました。

集客・接客・追客というEC売上アップの基本から、MDと在庫管理・利益管理・販売管理や受注処理や物流などバックヤード効率化、チーム作り、中長期の商品開発・ブランディング、経営理念、経営計画まで、EC経営の各要素について「流れと関連性」がつかみやすいよう体系化しています。

これからのECビジネスは、販促テクニックだけでは根本的な問題は解決できません。販売施策を点検し、業務を見直し、独自商品の開発、販路開拓、組織・設備への投資が必要になります。「足踏み状態」のEC事業を“一歩前”に進むためには、一旦状況を整理し、改めてアクセルを踏んで、成長軌道に入り直す必要があると思い、今回の書籍を執筆しました。

『売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則。』著者のコマースデザイン 坂本悟史社長
筆者のコマースデザイン 坂本悟史社長

EC事業改善に向けた4つのオススメポイントとは?

――どのような事業者、どんな人に読んでもらいたいですか?

ECに関わるすべての方におススメです! 経営者や責任者はECビジネスの学び直し、新人など担当者の育成、組織で仕事をする上でメンバー間の共通言語化などに活用してほしいです。特に、

  • 行き詰まっている」と感じている
  • できることははやり尽くした」と思っている
  • 業務が複雑化してどこから手をつけていいか混乱している

といった方には、現在の足元を整理するために読んでほしいですね。「ECサイト運営を十数年やっており、できることはやり尽くしたと思っていたが、本書を読んでやらなければならないことが20個見つかった」というレビューもありました。

ECビジネス全体を網羅しているため、バックオフィスなど地道な積み上げが必要な業務にも触れています。販促だけに目を向けるのではなく、地道な業務フローも見つめ直すことで改善のアイデアが浮かんでくるはずです。実はそういった業務の見直しが、大きな改善効果を生み出すことがあるんですよね。

網羅的にまとめられた本書を読むことで幾つかの作用があると思っています。1つ目が、人間ドックのようにECビジネス全体をチェックできること。人間は、自身が把握できる範囲だけで動きがちですよね。でも、知らないこと、地道なことを改めてチェックすることで、伸びしろの点検をできるわけです。

2つ目が「現状把握」。ECビジネスが複雑化してきているため、新しくECに携わる方、新人にとって自身が担当している業務、やろうとしている施策がどのような業務に該当するのか、それは何のために実施するのかわからないことがあるでしょう。複雑化しているECビジネスの運営で、その業務や目的などを理解、点検することに役立つはずです。

3つ目が、「自身が携わらない業務の理解」。たとえば、マーケターは商品登録、受注処理、物流は担当外のため、あまり深く理解していないケースが少なくありません。しかし、自身にとっては直接関係のない業務であっても、「どんな苦労があるのか」「どんな作業をしているのか」「各自の業務がどう結びついているのか」を理解することは、企業内でのコミュニケーションを円滑にするために重要なこと。全体のパフォーマンス向上に寄与できるはずでしょう。

そして4つ目が「共通言語化」。ECビジネスに関わるスタッフ全員が、共通言語の上で仕事をすれば、同じ目標の共有、相互理解、業務の効率化などを進めることができます。新人もベテランも、マーケターも物流担当者も、網羅的な書籍を読み、内容を共有することで、社内での共通言語化が進み、パフォーマンスのアップにつながるはずだと考えています。

売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則。 EC業務のマンダラ図
本書でも触れているEC業務のマンダラ図。EC業務は、商品の製造・仕入れから始まり、販売・受注処理・出荷へと「つながっていく仕事」。各役割を理解すれば、流れがスムーズになると説明。この図の理解が重要と筆者は説いている

書籍内の考え方を取り入れて、行動することが大切

――書籍を読むことでどんなことを解決できると考えていますか。

読むだけではなく、考え方を取り入れて行動してもらうことが大切。その上で、「ECのスキルを身につけたい」「売り上げを伸ばしたい」「リーダーとして適格な判断をしたい」「仕事の効率をアップしたい」「明るい将来展望を描きたい」など、さまざまな課題を解決するのに役立つはずです。

ECのスキルを身につけたい・深めたい

データ分析、商品ページの見せ方など、人それぞれに苦手分野があります。本書はこういった「典型的な苦手科目」をわかりやすく解説。作業手順や最新情報より、長く使える「考え方・判断基準」に重点を置いているので、考え方が身につけば上司や先輩と同じ目線で議論できるようになるはずです。

売り上げを伸ばしたい

一通り施策は実行したが、思うように売れていないため、「何かやり残しがあるんじゃないか」と考える方は少なくありません。本書は重要施策を網羅しているので、“ざっ”と読めば「盲点」が見つかるはずです。実は、販売技術だけでなく、顧客心理の理解や新商品の開拓なども大切。伸びしろは常に視界の外にあります。

リーダーとして適格な判断をしたい

勘と経験だけでなく「セオリーを身につけて、的確な判断ができるようになりたい」という相談が寄せられます。EC経営の全体像を体系化し、典型的な成功と失敗のパターンを多く紹介しているので、自身の経験と結びつけることで「自分のノウハウ」を言語化できるようになるでしょう。

仕事の効率をアップしたい

ECビジネスの業務は複雑化していっています。その結果、「能率が悪く、長期的なことを考える時間が取れていない」というケースは少なくないでしょう。これは、すぐに解決できる課題です。まずは着手したいのは、業務整理と効率化・組織化による「余剰時間の確保」。リーダーが作業から解放されれば、事業成長につながります。本書では、年間計画や外注活用などさまざまなアプローチを紹介しています。

明るい将来展望を描きたい

目まぐるしく変わるEC業界で、「明るい未来をめざしたい」というのは多くの事業者が思うところです。まずは、気持ちの余裕と時間が必要です。特に中小事業者は、売り上げや利益だけではなく、自身の気分が“上がる”という得意な領域で成長をめざすことをお勧めします。戦略として、自社の強みを発見、新商品やブランディングの計画を立ててプロジェクト化し、実現する方法を解説しています。

ECビジネスを網羅的に解説した『売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則』
ECビジネスを網羅的に解説した『売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則』

“シンプルにわかりやすく”して、自社の優先順位を明確にする

――著しく変わるEC業界。事業者が継続的に事業運営していくにはどんなことが求められると考えていますか。

14年前と比べて、EC業界は大きく変化しました。当時は、商品登録やメールマーケティング、広告など、基本的な販促施策で売り上げ、そして利益を伸ばすことができました。現在は高度なオペレーションや組織作り、中長期的な戦略がなければ、業績を伸ばすことが難しくなっています。つまりいろいろなことが複雑化しているんですよね。

アプリをたくさん立ち上げるとPCやスマートフォンが重くなるように、業務も思考も範囲が広がると効率が悪くなります。認知負荷と言われる現象ですが、これを下げるもっとも効果的なアプローチが“シンプルにわかりやすくする”ことなんです。

ビジネス環境など大きな変化がこの十数年で起きて、認知負荷が高まっている経営者や責任者、担当者は少なくないはずです。その状態でECビジネスを続けてくと、生産性が下がっていくはずです。

“シンプルにわかりやすくする”ことのメリットは、優先事項が何かわかるようになることです。そのためにも、まずは足元の整理が重要なのです。本書は全体を把握・理解し、さまざまな課題を抱えている足元を整理、そこから自社にとって優先順位は何なのか? という物事をシンプルに捉え、答えを出すための一助にしてもらえる本です。ぜひ毎日のパートナーにしてください!

『売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則。』には、本書を理解した「チャット形式のAI」が個別相談に対応する購入特典があります。 「こういう悩みがある」「これを知りたい」といった相談をすると、本書の内容に準じてAIがヒントを回答します。

「具体的にはどうすればいいの?」「自分の商品の場合は?」――こんな個別の課題に「AIコンサルタント」が回答します。無料で24時間使い放題。自社のECビジネスの課題・悩みに「いつでも」「どこでも」答えを提供する「AIコンサルタント」を活用してみてはいかが?

売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則。 の購入特典 AIコンサルタント
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売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則。

売れる! EC事業の経営・運営 ネットショップ担当者、チームのための成功法則。

坂本悟史 /コマースデザイン 著
インプレス 刊
価格 2,400円+税

ECの仕事を「販売・業務・組織・戦略」の 4 分類に整理。現代のEC販売はもちろんのこと、仕入れ・製造から受注・出荷までのEC業務、AIやリモートを活用したEC組織運営、商品開発やブランディング、会計や経営計画などのEC戦略までをカバー。経営者の学び直し、担当者の育成、組織の共通言語におすすめです。

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