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何でもかんでも「D2C」と言っておけば良いという流れになりつつありますが、それでは意味がありません。歴史と考え方をちゃんと理解しておきましょう。

D2Cは情緒的で特定の趣味嗜好の消費者向け

やたらを目にするし聞くようにもなった「D2C」。その成り立ちや意味を知っている人は少ないのではないでしょうか。消費者と直接つながることはわかっていても、何が直接なのか? どうすればいいのか? つながればいのか? といった疑問も出てきますよね。今週はD2C関連記事が多かったので、引用しながら歴史と意味を説明していきます。

2020年代に突入。小売ビジネスは、システム偏重から「マーケティング重視」に変わる | Agenda note
https://agenda-note.com/retail/detail/id=3213

パルコの唐笠さんがECの歴史とD2C(OMO)について簡単にまとめています。この記事の文章から今までを振り返ってみましょう。

リテールにおける「デジタルマーケティング」は、筆者の勝手な理解ですが、1990年代後半~2000年代頃から「HP(ホームページ)やEC、ネット広告を手探りでやってきた人たち」と、もっと以前から「マスを相手にしてきたガチな“マーケター”で、デジタルへシフト(またはデジタルを包含)してきた人たち」などをベースに発展し、ある程度、成熟した領域になっています。

私もこの世代なので唐笠さんの理解に賛成です。ネットでモノが売れることが珍しかった時代は、リアルで売っている人たちが企業内でも強かったので、開拓者精神にあふれた人がネットには多かったように思います。その人たちが試行錯誤というか、たくさんの失敗をしながら成長していった時代です。

群雄割拠以前の時代なので足場を固めることが重要で、売上を上げるための局地的な戦術をどうするかが考えられていましたね。急成長してパンクしたり、小さな会社が一気に大きくなった時でもありました。

ECが「新しい販売チャネル」という限定的な役割から、その特性ゆえ「インターネットやスマートフォンを通じた、もっとも面の大きな顧客接点のひとつ」「顧客情報・販売情報をはじめ、顧客ニーズや顧客行動の把握・分析におけるデータベース」「企業全体のブランディングやマーケティング強化に向けたプラットフォーム」といった役割を求められ始めたのです。

スマホが普及し始めたのが2010年頃です。そこから一気にネットの利用が広まり「データ」が簡単に取れるようになりました。顧客データや売買のデータですね。これらのデータが取りやすいのがECだったので、自然と企業マーケティングのプラットフォーム的役割を担うようになります。

そして2010年代、オムニチャネル戦略やデジタルシフトという旗印のもと、「顧客ニーズや顧客行動の把握・分析におけるデータベース」「企業全体のブランディングやマーケティングのプラットフォーム」を実現するため、その専門性はさらに高まったように思います。

このあたりになってくるとご存じの方も多くなってくると思います。個別にいろいろな部署でデジタル化が進んでいって、そのシステムの構築や連携が課題になっていながら、取れるデータがどんどん増えるために拡大をしていく時代です。

2020年、OMOが当たり前になっていく中で、生活者・消費者を取り巻く環境やその行動に合わせるように、リテールビジネスも急速に「デジタル偏重」「オンラインへシフト」しています。

ECやデジタルは「専門的なもの、専門の部署のもの」「単体のもの」ではなく、オフラインの場を主戦場としてきた部署の業務と融合し、企業全体でひとつになっていくのです。

ここに大きな影響を与えたのが新型コロナウィルスですよね。外出できないことにより強制的にデジタル化して「デジタルか死か」と言われています。仲が悪いことの多かったリアルとネットもそんなことを言っていられなくなり、協力する流れになって1つに集約されていきます。唐笠さんは最後に以下のように書かれています。

コロナ禍において、「オンラインへ偏重」「消費の再定義(情緒的な面含め)」が起こっている生活者・消費者に対し、リテール企業がオンライン~オフラインを融合することで「どのような価値を伝えられるか」「どのような気の利いたコミュニケーションが取れるか」「どのような提供価値・真価を発揮できるか」「どのような継続的な関係を構築できるか」

これがクラシコムの青木さんの言葉につながります。

D2Cビジネスで重要なのは「動機」と「希望」。クラシコム青木社長×Takram佐々木氏が語る「ECの未来」【第2回】 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8128

社会が成熟していくごとに、人はどこでモノを選ぶか基準が変わっていくなという思いがあります。以前は商品を選ぶ決め手は「機能面」だったけれど、次第に情緒的な部分が重視されるようになり、最近は運営者の「動機」も見られるようになってきた。

お2人とも「情緒的」という言葉を使っていて、価値やコミュニケーションや動機で見られるようになってきたと考えています。もちろん商品の機能やデザインは優れたものである前提です。

でも動機は下手すると「無いもの」と同義になるくらいフワッとしたものなので、正しく伝えるのは難しい。じゃあ、どうやってその「動機」という価値を伝えるかと考えたときに、「D(Direct)」にせざるを得ない、となってきているのではないでしょうか。

どこかを介してしまうと力が弱まったり、違った解釈をされてしまうので必然的に直接つながらざるを得ないということです。直接つながればメッセージを届けられるということではない点に注意です。D2Cの場合は手段と目的が反対になってしまうと消費者としては迷惑でしかありません。いらない情報がどんどん届きますし、つながってこようとするので邪魔ですから。

ここはTakramの佐々木さんもこう述べています。

いくら私が、「世の中のお母さんは大変なので」などと参入理由を語っても、すぐに「化けの皮」が剥がれます。特にD2Cにおいては、「化けの皮」がなくなることがすごく大事。SNSなどを通じて、「自分」という存在自体の透明性を高めなければいけない機会が、これからどんどん出てくると思います。

何の考えもなしにD2Cが流行っていて儲かるらしいから参入したところで、あっという間に化けの皮が剥がれて終了です。

今週はD2Cについての記事はもう1つありまして、その中でフラクタの河野さんがD2Cのあるべき姿というか理想的な状態について話されています。

D2Cなら広告からのCVR50%も夢ではない Shopify店舗の集客をハックルベリー安藤さんと語る | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/8459

D2Cで重要なのは、万人受けするのではなく、ある特定の趣味嗜好の人たちに受け入れてもらえるものであることだと思っています。集客も変わってきて当然です。万人受けの商品は、たとえばテレビなどですごい数の人たちにリーチし、0.00何%コンバージョンすれば良いというやりかただった。D2Cでは、限られた層だけれど、コンバージョン率が50%になるというようなことが起きてくるんじゃないかと思っています。

(中略)

今後は「リアルなインフルエンサー」が出てくるんじゃないかと思っています。その商品やブランドが本当に好きで、誰かに言われる前に自ら買い、自ら「これすごく良いよ!」と発信するといった具合です。

今までのようにマス的にドカンとやるのではなくて、狭い自分の価値観を伝えて受け入れられることがポイントです。そうなるとどんなメッセージを届けるのか? ではなく、言いたいことをそのまま伝える。いつでもどこでも買えるのではなく、ものがある時に独自サイトでしか買えない。……というように、やることもまったく変わってきます。

しばらくこの流れは続くと思いますので、データや調査に基づく商品ではなく「自分が欲しいもの」を商品化することを考えていくのが良いと思います。世間に評価されれば買ってもらえる、ダメなら買ってもらえないというシンプルな世界がやってきています。

EC全般

ECだけに依存しない 変化する時代の中であえてオフラインに取り組む意義を考えよう | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/8380

体験型ストア「b8ta」と卸仕入れサイト「orosy」が提携し、b8ta出品商品をorosy上に展開可能に | eコマースコンバージョンラボ
https://ecclab.empowershop.co.jp/archives/68194

こちらは自分たちのやっていることをリアルでもちょっとずつ伝えようという記事。リアルにちょっとだけ商品を出すことは以前より簡単になってきましたね。

Facebook社が解説する年末商戦のキーワード & Instagram活用事例 & 広告活用のポイント | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8208

【2021年の小売業界予測】「実店舗のデポ化」「デリバリー革命」「オンライン接客」などニューノーマル時代の5トレンド | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8215

博報堂生活総合研究所、生活者にきいた”2021年 生活気分”を発表 | 博報堂
https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/86306/

年末から2021年にかけての予測です。「自分へのご褒美」「旅行」「価値を買う」といったあたりがポイントになってきそう。

フューチャーショップ、2020年7月~9月の流通額が昨対比141%の382億円。稼働店舗数は2700店舗突破。 | futureshop
https://www.future-shop.jp/news/2020/11/13.html

BASE、第3四半期の連結売上2.2倍に ショップ開設数は2倍超 | 日本ネット経済新聞
https://netkeizai.com/articles/detail/2376

伸びは鈍化したとはいえ、まだまだ伸びているEC業界。

越境ECで何が売れた?インバウンド需要がECに移行した「越境EC世界ヒットランキング2020」 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8207

「日本ロス消費」なる言葉が。日本に行けなくなって日本を感じられるものが欲しいようです。

スーパーやドラッグストアなど、約600店舗でEC商品の受け取りが可能に~お客さまの生活導線上で荷物を受け取れる場所を増やし、利便性をさらに拡大~ | ヤマトホールディングス
https://www.yamato-hd.co.jp/news/2020/20201118.html

以前に紹介したことが動き出しました。ライバル店で受け取られる可能性もありますが、相性が良いお店もあるはず。

今週の名言

だから僕は、普段から「違和感を感じる」ことを大切にしています。

絶対に知っておくべき「ECの顧客体験」③|ECエバンジェリスト・川添隆氏にインタビュー【マインドセット編】 | OK SKY
https://mag.ok-sky.jp/ecnocx-interview3/

D2Cに違和感を感じたのであれば理解することから。

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森野 誠之

運営堂

運営堂代表。Web制作の営業など数社を経て2006年に独立後、名古屋を中心に地方のWeb運用を支援する業務に取り組む。現在はGoogleアナリティクスなどのアクセス解析を活用したサイト・広告改善支援を中心にWeb制作会社と提携し、分析から制作まで一貫してのサービスも開始。豊富な社会・業務経験と、独立系コンサルタントのポジションを活かしてWeb制作や広告にこだわらず、柔軟で客観的な改善提案を行っている。理系思考&辛口の姿勢とは裏腹に皿洗いを趣味にする二児のパパ。

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