海外向けEC、いわゆる“越境EC”の盛り上がりを背景に、ジオシスが運営する「Qoo10」への興味・関心が高まっている。「Qoo10」はアジア各国でジオシスグループの現地法人が独自にモールを運営。各国の「Qoo10」同士の連携も強化しているという。下着のECを手がけるEC大手の白鳩も「Qoo10」のシンガポールに出店するなど、大手のEC会社も続々と出店している。なぜ、“越境EC”を切り口に注目を集めるのか。ジオシス合同会社(Qoo10ジャパン)代表の金孝種(キム・ヒョウジョン)氏に話を聞いた。

中国、シンガポール、インドネシア、マレーシアのアジア会員2000万人超にアプローチできる

――「Qoo10」が海外向けEC、いわゆる“越境EC”で注目を集めていますね。

eBayとのジョイントベンチャーとして設立されたジオシスグループでは、各国で運営されている「Qoo10」と連携しています。

簡単に説明すると、各国の「Qoo10」を通じて、中国、シンガポール、インドネシア、マレーシアといったアジアに向けて販売できるのです。仕組みは簡単。日本の「Qoo10」に出店すると、海外サイトに掲載できます。管理画面の設定を切り替えるだけで、各国の言語・通貨を表示できるのです(商品ページの説明など現地語対応は必要)。

各国「Qoo10」の連携スキーム
各国「Qoo10」がグローバルで連携
  • シンガポールサイト
    会員数は175万人(2015年1月現在)
  • マレーシアサイト
    会員数は180万人(2015年1月現在)
  • インドネシア
    会員数は115万人(2015年1月現在)
  • 中国サイト(レディースファッションを中心としたECモールのM18.com含む)
    会員数は1850万人(2015年1月現在)

たとえば、シンガポールのサイトでは、ヤフーシンガポールと密な関係を構築し、「ショッピング」カテゴリの公式サイトになっています。シンガポールには楽天さんが進出するなど、日本のEC企業の多くが注目を集めています。そんななか、「Qoo10」は先行的にシンガポールでECを進めてきているので、出店者はそのトラフィックを活用することができます(ヤフーとは、マレーシア・インドネシアでも「ショッピング」カテゴリの公式サイトになっている)。

――海外向けは、“日本製品だから”とりあえず出品すれば“売れる”と考えている事業者もいます。

「Qoo10」は商品の強さがあれば、海外向けでも成長できると思います。もちろん、それにはある程度、出店者の努力も必要です。

商品をグローバル展開したい出店者は、対応することが簡単にできますが、各国の「Qoo10」で露出していく努力が必要になってきます。各国「Qoo10」とシステム上の連動で「この商品を推したい」といった要望があっても、それは簡単には実現できません。

そこでお勧めしているのが、各国の「Qoo10」に直接出店するという方法です。アパレルECの白鳩さんがその手法を採用しています。

この方法のメリットは、各国の担当者を通じて、各国「Qoo10」でさまざまな施策を打つことができるようになるということです。それぞれの国の消費者を理解した現地スタッフと密に連絡を取り合うことで、現地にあったマーケティングなどを行うことができるようになります。

つまり、商品を出品することは簡単ですが、それを販売していくというのは、各企業の努力が必要になっていくということです。もちろん、通訳といったリソースがない企業に対しては、サポートも提供できます。

ここ最近ですが、各国の「Qoo10」から、「良い日本の製品があれば、ぜひ紹介したい」といった声が寄せられています。各国からの要請に対し、海外向け販売をしている出店者を紹介するなど、協力関係も進めています。

――「Qoo10」の特徴はどんなことでしょうか。

初期費用、月額費用など運営費用は無料で、販売実績に応じて手数料が発生する「オープンマーケット」モデルを採用しています。手数料はプランによって異なりますが、7~12%になります。

ジオシス合同会社(Qoo10ジャパン)代表の金孝種(キム・ヒョウジョン)氏
ジオシス合同会社(Qoo10ジャパン)代表の金孝種(キム・ヒョウジョン)氏

モバイル経由は8割、ファッションやビューティなど女性ユーザーの利用が多い

「Qoo10」の最も大きな特徴は、モバイルでの取引比率が約8割を占めていることです。その理由は「ガラケー」向けサイトへの対応を行っていなかったので、スマホへの対応に集中することができたから。2012年からアプリ提供を始めていることもその要因でしょう。

――ただ、日本では他のモールと比べると、認知度という点は課題になりますよね。

「Qoo10」の存在を知っている人が少ないというのは課題です。既存ECモールとは異なるというのは伝わっていると思うのですが、「何がいいのかわからない」といった声が多いのは確かです。

手数料のみのビジネスモデルなので、リスクなく販売できるといった側面をもっとアピールしていかなければならない。

消費者向けといった点でも、もっと「Qoo10」の良さを伝えていかなければならいと感じています。

日本の「Qoo10」の利用状況
日本の「Qoo10」の利用状況
  • 会員数450万人
  • Web版の月間PV数は1.7億PV
  • スマホ版アプリのダウンロード数は170万
  • 姉妹アプリ「QStyle」のダウンロード数は42万

こうした数字を見ても、着実に消費者には浸透してきています。

日本の「Qoo10」の会員データなど
日本の「Qoo10」の会員データなど
  • 会員の女性比率は83%
  • 取引比率はモバイルが78%、Webが22%
  • 商品の取引割合はファッションが34%、ビューティ・コスメが25%

女性の利用者が多いといったところなど、他のモールにはない特徴が出てきています。

――他モールと差別化している点はどんなことでしょう。

手間がかからないということです。決済は「エスクロー形式」を採用しているので、クレジット会社の加盟店になる必要がありません。クレジット会社との対応も当社が行っていますので、出店企業は販売に注力できます。

もう1つはカスタマーサービスです。お客さまからの問い合わせ業務を当社が対応しています。出店者側で対応するメリットもあると思いますが、一度当社で対応しています。それは、出店者側の負担を減らす目的で、大抵の問い合わせは当社側で処理できています。

アフィリエイトなどプロモーションのコストも必要ありません(一部販売プロモーション協力費が発生)。「Qoo10」自らがリスティングやアフィリエイトなどの外部媒体を使ってプロモーションを行います。たとえば、リマーケティング広告の出稿に関しても、当社内部で実施しています。もちろん、出店企業自らが販促を行うケースもありますが、基本的には自動的に売れる仕組みを提供したいと考えています。

――出店企業における販売状況を教えてください。

最大手の店舗で、月商1億円をめざしている店舗もあります。アクティブな層で月商2000万円~3000万円といったところでしょうか。「楽天市場」「アマゾン」といった大手モールとは異なった顧客層が来訪していると推測しています。

――現在の出店者の状況を教えてください。

IDは数万店ですが、常時動いているサイトは5000店舗くらいです。「Qoo10」を活用するEC企業には、「このモールを活用して海外向けを積極化したいという欲望」を抱いてほしい。当社としても、すべての企業に対し平等に特典を提供するのは難しいので、チャレンジしたい店舗にはより高い特典を付与するといった取り組みをしています。「Qoo10」を使えば使うほど、販売店のメリットが上がる仕組みになっています。

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瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

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