瀧川 正実 2/14 9:00

EC実施企業のバックヤード業務を支援するリターンズが実施したECサイトのキャンセル調査によると、2024年における商品注文後の平均キャンセル率は5.6%だった。

EC事業を手がける企業の経営者・運営責任者を対象に調査を実施。511人から回答を得た。

平均キャンセル率は、各回答範囲の中間値を仮定(例:0~5%=2.5%、6~10%=8.0など)し、それぞれの中間値に回答割合を乗じた加重平均として算出した。「21%以上」は25%と仮定し、「把握していない」と回答した割合は除外している。

キャンセル率の回答割合を見ると、最も多いのは「0~5%」で53%。「6~10%」が12.7%、11~20%」が8.2%で続いた。「把握していない」は23.1%。

EC注文のキャンセル率は平均5.6%。“キャンセル落ち”ユーザーの約7割が再購入した事例もあるキャンセル対策、やってますか?
商品注文後のキャンセル率について

キャンセル対応における課題で最も多かったのは「人件費がかかる」(20.9%)、「顧客とのコミュニケーションが負担になる」(19.2%)が上位にあがった。一方で「特に課題を感じてない」(37.6%)という声もあった。

キャンセル率の回答割合で「把握していない」が23.1%、「特に課題を感じてない」が37.6%もあったことについて、リターンズは「そもそも“キャンセル落ち”自体を課題と認識できてない可能性もある」と指摘する。

EC注文のキャンセル率は平均5.6%。“キャンセル落ち”ユーザーの約7割が再購入した事例もあるキャンセル対策、やってますか?
キャンセル対応の課題

“キャンセル落ち”対策、知っていますか?

“キャンセル落ち”とは、決済終了後に「間違えて注文した」「配送に時間がかかる」「クーポンの使用忘れ」「支払い方法を変更したい」などの理由で確定した注文をキャンセルされた状態を指す。

消費者が商品をショッピングカートに入れた後、最終的な購入手続きを完了せずにサイトを離脱する“カート落ち”というワードがある。“キャンセル落ち”した消費者は、サイトへの「訪問」から商品の「購入」に一段階進んでいるため、“カート落ち”ユーザーよりも購入意欲が高いとされる。この“キャンセル落ち”ユーザーとのコミュニケーション強化が、販売機会の損失を防ぐ新たな対策として注目を集めつつある。

リターンズは“キャンセル落ち”対策として、キャンセル客を再購入につなげるマーケティングツール「リターンズ キャンセルリカバリー for Shopify」を開発。リターンズのグループ会社が運営する業務用Tシャツ専門店「Tshirt.st」が試験導入したところ、キャンセルユーザーの72%が商品を再購入したという。

リターンズは“キャンセル落ち”対策として、キャンセル客を再購入につなげるマーケティングツール「リターンズ キャンセルリカバリー for Shopify」
「リターンズ キャンセルリカバリー」のキャンセルデータ閲覧画面

なお、日本でのECビジネスにおけるキャンセル比率の統計データは少ないが、海外では「配送に1週間以上かかる場合は38%が注文をキャンセルする」「配送に4~5日かかる場合は15%が注文をキャンセルする」(いずれも調査プロバイダーのPollFishの調査)といった調査結果がある。また、大手プラットフォームでの販売においてキャンセル率の増加は評価に直結することから、米国のZentail(マルチチャンネル管理ツール提供企業)は「Amazon」「Walmart」は2.5%以下、「eBay」では0.5%以下にキャンセル率を保つように提唱している。

調査概要

  • 調査対象者:性別:男性413人、女性98人/年齢:20歳~59歳
  • 調査数:511人(EC事業者の経営者および運営責任者)
  • 調査期間:2024年12月26日(木)~2025年1月8日(水)
  • 調査方法:インターネットモニター調査
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