企業倒産件数が1万件超え。「人手不足」「物価高」が中小企業の経営を直撃【2024年度】
帝国データバンクが実施した企業倒産件数に関する調査によると、2024年度の倒産件数は前年度比13.4%増の1万70件となり、3年連続で前年度を上回った。主な倒産の理由は物価高で、人手不足、追加利上げといった状況も中小企業の経営を直撃していると見られる。調査対象の倒産は負債1000万円以上の法的整理が対象。

2024年度の倒産件数1万70件は、2013年度の1万102件以来、11年ぶりに1万件を超えた。負債5000万円未満の倒産が2000年度以降で最多になるなど、中小零細規模の倒産が増加した。
負債総額は前年度比7.5%減の2兆2525億7200万円。3年連続で2兆円を超えた。

倒産動向を見ると、「物価高倒産」は同10.5%増の925件。2000年からの集計開始後、初めて900件を超えて過去最多となった。業種別では「建設業」が254件(前年度比27.5%増)で最も多く、続いて「製造業」が180件(同19.5%増)、小売業が165件(同17.8%増)だった。

企業倒産を単月ベースで見ると、2025年3月は875件発生。517件だった2022年5月から35か月連続で前年同月を上回るなど、戦後最長の連続増加記録を更新している。この状況について帝国データバンクは、「小規模企業を中心に、物価高、賃上げ、人手不足、追加利上げ、価格転嫁難など、コスト増につながる懸念材料が山積するなか、企業倒産は緩やかに増加した」と解説している。
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、売り上げが大きく減少した中小企業に対し、実質無利子・無担保で融資した「ゼロゼロ融資」の返済が滞って引き起こされた倒産は680件(同2.7%減)。集計開始後、初めて前年度を下回った。この倒産は、業種別では「建設業」が最も多い143件(同21.0%増)で、続いて「サービス業」が131件(同19.3%増)、「小売業」(同17.8%増)が121件。「不良債権(焦げ付き)」に相当するゼロゼロ融資の喪失総額は推計で約1244億7400万円となった。

倒産件数は全業種で前年度を上回った。なかでも、「建設業」「製造業」「小売業」「運輸・通信業」「サービス業」「不動産業」の6業種は過去10年で最多。倒産件数が最も多かったのは「サービス業」で、前年度比20.6%増の2638件だった。続いて「小売業」が同12.5%増の2109件、「建設業」が同10.5%増の1932件だった。
「製造業」は7年ぶりに1000件を超えた。原材料価格の高騰が収益圧迫の要因となりやすいことから、製造業のなかでも「繊維工業、繊維製品製造業」の倒産が104件だったという。小売業では、物価高の影響を受けた「飲食店」の倒産が901件となっており、2000年度以降で最も多かった。

主因別に見ると、「販売不振」が8261件(同17.6%増)で最も多く、全体の82.0%(同2.9ポイント増)を占めた。49件(同11.4%増)の「売掛金回収難」と、16件(同6.7%増)の「不良債権の累積」などを含めた「不況型倒産」の合計は8389件(同17.2%増)。
「設備投資の失敗」は46件(同21.1%増)で、3年連続で前年度を上回った。

倒産態様別に見ると、破産と特別清算を合わせた「清算型」倒産の合計は9804件(同13.6%増)で全体の97.4%を占めた。民事再生法、会社更生法にのっとった倒産である「再生型」倒産は266件(同6.0%増)だった。
「清算型」の倒産で最も多かったのが「破産」で9435件(同13.2%増)。「特別清算」は369件(同24.2%増)で、2005年度の373件に次いで過去2番目に多かった。
「再生型」の倒産では、「会社更生法」が13件、「民事再生法」が253件だった。このうち個人が198件、法人が55件だった。

負債額を事業者の規模別に見ると、「5000万円未満」の倒産が6122件(同16.9%増)で、2000年度以降で最多となり、中小零細規模の倒産が目立った。「100億円以上」は9件(同52.6%減)と2000年度以降で初めて10件を下回った。
資本金を規模別に見ると、「個人+1000万円未満」の倒産が7153件(同16.0%増)で、全体の71.0%を占めた。

業歴別に見ると、「30年以上」が3210件(同13.2%増)で最も多く、全体の31.9%を占めており、2013年度(3101件)以来11年ぶりに3000件を上回った。このうち、老舗企業(業歴100年以上)の倒産は152件(同42.1%増)。
業歴10年未満の「新興企業」は3106件(同15.0%増)と、2000年度以降で最多を記録した。内訳は、「3年未満」が385件(同7.2%増)、「5年未満」が714件(同13.2%増)、「10年未満」が2007件(同17.2%増)。
内訳を業種別に見ると、最多は「サービス業」で1035件(同22.9%増)、続いて「小売業」が779件(同18.9%増)、「建設業」が602件(同12.1%増)だった。
