石田 麻琴[執筆] 8:00

「思った通りにいかなかった」「なんかズレていた」「トラブルばかりで……」。外注さんに関するこうした不満の裏側には、そもそもの契約形態や関係性のズレが潜んでいることが多くあります。今回の「ネッ担まとめ」では、「安く見えるものの本当のコスト」と「発注側が持つべき責任と覚悟」について考えます。

外注さんと同じ方向を向こう

「安さ」で選んだWeb制作で失敗…! 価格の裏に隠された「本当のコスト」の見抜き方 | Web担当者Forum
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「請負契約」では、予期せぬトラブルがあっても受注者は契約金額内で完成させねばならず、コスト超過のリスクは「受注者側」が負います。そのため見積もりにリスクヘッジの費用を乗せる必要があります。一方、「準委任契約」では、作業時間が増えれば追加費用を請求できるため、リスクは「発注者側」が負います。だからこそ、受注者は初期費用を安く提示できるのです。

「請負契約」と「準委任契約」。恥ずかしながら、システム開発会社のお客さまと会議するようになって、初めて意味を理解しました。EC事業者側は、なかなか触れない言葉ですよね。

この文章で触れているのも、契約形態というロジック。

初期費用が安いのは「準委任契約」だから。その背景を理解せずに「この会社は安いから」と判断すると、後で「想定外の追加費用」や「スケジュールのズレ」に苦しむことも。

「お金を払って、面倒な作業を代わりにやってもらう」という、一方的な外注の考え方は、発注側と受注側の間に壁を作り、コストの最小化にしか目が向かなくなります。これからは、共通の目標、相互の尊重、そしてオープンな対話が最優先される、パートナーという関係性が求められるのです。

(中略)

あなたはプロジェクトの傍観者ではなく、最終責任を負うプロジェクトオーナーなのです。あなたの役割は、明確なフィードバックと迅速な意思決定で、パートナーが動きやすい環境を整えることです。覚えておいてください。優秀なベンダーほどクライアントを選びます。

「頼んだのだから、あとはやっておいて」は、もはや通用しない時代。そして、外注さんにお願いしただけで成果が出る「ECの市場環境」でもすでにありません。

外注パートナーは「手足」を補ってくれるだけでなく、専門性を持つ「頭脳」でもある。だからこそ発注者側にも戦略的な関与が求められます。

優れた成果を出すには、決定が早く、目的が明確で、レスが早いクライアントであること。「パートナーをバックアップできる発注者」になる努力も、これからの外部連携には欠かせない視点ですよね。

「試してやろう」では、100%成果は出ません。

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これまでの市場環境を鑑みれば人材不足は当然ですよね。「外部パートナーにいかにコミットしてもらうか」が戦略設計のカギになりそうです。

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この1年でAIの業務活用が「実験」から「実践」になってきたのを実感します。なんて韻を踏んでみました。「人力で書きました」って(笑)

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期待は高いですが、精度はどんなもんなんですかね。本来はAmazonが取りかかるべきサービスな気もしますが、今後の展開はいかに。

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配送商品にバリエーションが生まれるのはとにかく素晴らしい。配送商品から逆算してエントリー商品を企画するのもアリですよね。

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「責める上司」は短期的に成果が出たとしても、少しずつ組織の健全性をむしばんでいく。これも長期コストの一種かもしれません。

エアークローゼット、男性向け月額制ファッションレンタルサービス「airCloset Men’s」の事前登録を開始 | ネットショップ担当者フォーラム
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やっぱり「服選びの負担」は性別問わず課題ですよね。実は私もLINEの事前登録に速攻で申し込んでしまいました。楽しみに待っています。

今週の名言

登録者40万人超!有隣堂YouTubeはなぜファンを増やし、利益まで生み出せるのか? | PRマガジン
https://blog.cd-j.net/featured-companies/yurindo/

企業YouTubeの場合は、
・期待通りのものを作る
・期待を裏切るものを作る
この2択しか見てもらえる動画にはならないと考えています。

(中略)

一番よくないのは、この2つの真ん中、つまりクオリティも低ければ当たり前のことしかしないということです。それでは、貴重な時間をわざわざ使ってみようとは思ってもらえません。

「期待を超えたとき」、あるいは「期待を裏切ったとき」に面白さにつながるというのが企業YouTube動画における大きなポイントだと思います。

どんなコンテンツでも「きちんとできている」では振り向かれない。昨日も今日も明日も、世界中で無限にコンテンツが生み出されています。

企業発信でも、もしかしたら企業発信だからこそ、「振り切る」くらいの企画・演出が求められるのかもしれません。特にYouTubeのようなメディアでは、情報量より「感情を動かす意外性」がないと、選ばれ続けるのは難しい。

顧客体験の設計において、「期待の超え方・裏切り方」の視点は、業種問わず応用できる考え方だと思いました。

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