「六花亭」や「白い恋人」など北海道のお土産品をネットで販売する「北海道お土産探検隊」は、、クロスボーダー(越境)ECで売り上げを伸ばしている企業の1社。「楽天市場」では2015年4~6月期のクロスボーダー取引の流通額が前年同期比で55%増に拡大。中国では「Tmallグローバル」や「JD Worldwide」など、クロスボーダー型のECプラットフォームが整い、日本企業でも成功事例が出始めている。「北海道お土産探検隊」を運営する小笠原航社長に海外販売を始めたきっかけや成功の秘訣を聞いた。

何気なく始めた海外販売が徐々に成長

――海外向け販売を始めたきっかけを教えて下さい。

出店している「楽天市場」の担当者から「自動翻訳サービスを始めたので、ボタン1つを押すだけななのでやってみませんか」と声をかけられ、「手間がかからないんだったら、いいんじゃない」と、何気なく答えたことがきっかけです。思い切ってトライしたのではなく、何気なく始めたような状態。今考えれば、多くの中国人が千歳空港へ来日し始めている時期で、「白い恋人」やロイズのチョコレートなどを数多く買って帰る様子をその担当者が見たのでしょうね。だから、楽天でも売れるんじゃないかと感じたのでしょう。

「北海道お土産探検隊」の小笠原航社長

小笠原航社長

――売れ行きは?

月間で20万円程度の売り上げが最初からありました。もちろん売れるだけではありません。外国語での問い合わせも入るように……担当者が問い合わせ内容を「エキサイト翻訳」に貼りつけて翻訳。日本語で書いた返事を「エキサイト翻訳」で翻訳し、その文章を貼りつけて返信するといった作業を繰り返していました。

それから少し経って、楽天のクロスボーダーチームに配属されたリクルート時代の後輩から、「楽天で中国の春節に合わせて、香港向けにカニを販売する企画を行うんですが……参加してもらえませんか」と連絡が入りました。「まあ、後輩がそれほど言うなら」と参加したところ、1週間で130万円くらいの売り上げを計上。海外は売れるんだと衝撃を受けました。

また、その後輩から「せっかくなので香港に一緒に行きませんか」と誘いを受け、現地の物流の仕組みなどを見学。海外向け販売に可能性を感じるようになってきました。

――そこから、会社として力を入れるようになったわけですか。

いい人材が入社したことが、海外向け販売が伸びた一番の要因です。もともと千歳空港の店舗で販売員(アルバイト)をしていた北海道大学の留学生が、当社のネット通販に興味を持ったのです。海外販売をすべて担当するようになりました。外国語に堪能なので、そうなると、会社としてはもっと海外向けの売り上げを伸ばしたいとなります。自動翻訳ではなく、その担当者の翻訳による英語、簡体中国語、繁体中国語ですべてのサイトを手直し。以前にも増して海外からの注文が増えるようになりました。

「北海道お土産探検隊」のECサイト

サイト左部分に海外言語にも対応していることを表示

海外販売は2002年ごろの楽天市場に近い勢いを感じる

――売り上げの何割程度が海外からの注文ですか。

「楽天市場」店では3分の1が海外からの注文です。日本で「白い恋人」などをまとめて購入し、中国などに持ち帰ってから「Tmall」などで販売する業者からの注文も含めると、売り上げの半分以上が海外からの注文ですよ。

――クロスボーダー取引を強化するにあたり、EC事業者が最も気を付けなければならないことは。

とにかくやってみること。海外販売は「手間が増えるのではないか」「問い合わせが対応できない」「物流が大変になる」など、マイナスばかりを考えがちです。でも、実際はそんなたいしたことではない。大きな負担にはなりません。

私は2000年に「楽天市場」へ出店しましたが、今のクロスボーダーの売れ行きは、2002年~2003年頃の「楽天市場」に近いものを感じています。その頃、売り上げが2倍、3倍になる店が多く、10倍以上になる店もざらでした。当時出店していた人は、「どこまで売り上げが伸びるのだろう」とドキドキしたのではないでしょうか。ちょうどその頃に感じたドキドキを、今クロスボーダーで感じています。

ITの知識がない中で「楽天市場」へ出店しようと思った時に比べれば、海外対応する障害は小さなものですね。まずは、やってみようというのが私のメッセージです。

千歳空港のお土産屋からネット通販に参入

――「楽天市場」への出店は2000年ということですが、ネット通販を始めたきっかけを教えてください。

当社は父の時代から約50年、千歳空港内で土産屋店を営んでいます。私自身は東京の大学を出て、リクルートで働いていました。父が58歳になり、そろそろ還暦を迎えるので家業を継ぐために北海道に戻りました。

ネット通販を始めることになったのは、1998年にリクルート時代の同僚が新しく北海道の食や観光を紹介する事業を始めたため。「北海道・食と旬暦」という本を作り、そこで紹介する商品を“実際に動かす”のが当社というビジネスモデルで始まりました。本が好評で、当社の売り上げも大きく伸び、ネットでの展開も始めることになりました。ネット通販も好調で瞬く間にシステムを入れて効率化する段階に。ネット通販に詳しいシステム会社にシステムを作ってもらうことになりました。

このシステム会社では、すでに「楽天市場」の有力ショップのシステム開発を行っていまして、その会社の社長から「実は楽天市場は結構売れるんだよ」という話を聞きました。そこで自分たちもやってみようと出店したのが2000年のことです。

――売れ行きはどうでしたか。

2000年11月に出店したのですが、翌年2月には月商100万円を突破しました。中小企業にとって、100万円を突破するというのは1つの事業としてみれる水準。当時はまだ父親が社長で、ネット販売にそれほど積極的ではなかったのですが、100万円を超えたことで「そんなに売れるんだな」と、後押ししてくれるようになりました。

――最後に、小笠原さんの今後の夢は。

ネット販売を始めた頃は北海道の商品を全国に届けたいと思っていましたが、今は北海道の商品を全世界に届け、日本で一番、北海道の商品を世界に売る会社になりたいと思っています。私を知っている人は、そんなキャラじゃないと思うかもしれませんが(笑)。実はこんな熱い思いを持っているんです。

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中川 昌俊

ネットショップ担当者フォーラム編集部

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