中国EC2位ジンドンの「JD Worldwide」で日本製品は売れる? 日本公式パートナーを直撃
中国最大の直販ECサイト「京東商城(JD.com)」を展開する京東集団(ジンドン)は6月から、海外企業向けのBtoCオンラインショッピングサイト「京東全球購(JD Worldwide)」への日本企業の出店募集を開始した。すでに爽快ドラッグやユニマットライフなどが出店を開始、年内に日本企業の出店者数は1000店舗をめざしている。ジンドンの日本公式パートナーで、出店者誘致や日本商品の買い付けなどを行うユニベイトの張明繍社長に、「JD Worldwide」への出店メリットやターゲットなどを聞いた。
運営代行と同社の運営するサイトへの卸の2プランを用意
――ジンドンの公式パートナーになった経緯を教えてください。
もともと富士ソフトに勤めており、日本メーカーのECサイトなどのお手伝いをしていました。そのため、メーカーの事情や日本のEC市場について知識がありました。ジンドンから、「日本のEC事情をよく知っていて、しかも中国のEC市場についても詳しい会社を探している」という相談を受けました。特にメーカーのサポートができる人をということだったので、独立してユニベイトを設立、お手伝いをすることにしました。
――「JD Worldwide」で商品を販売したいという事業者に提供するのはどのようなサービスですか。
2つのパターンを用意しています。1つはそれぞれ企業のECサイトを作って販売を行い、当社が運営代行をするパターンです。中国の場合、チャット対応などが必要なため、日本でEC事業を行っている会社が中国でECサイトを運営することは難しい。当社が売れ筋などをしっかりと分析し、売れるサイトに育てていく。
もう1つは、当社がすでに「JD Worldwide」で展開しているショップに商品を卸す形式です。日本の企業は当社の倉庫(場所は日本)に商品を納品するだけ。後は当社が商品提供会社の意向に沿って責任をもって販売します。返品リスクや在庫リスクも当社が負います。
【EC事業者による「JD Worldwide」の利用方法】
- 立ち上げたECサイトをユニベイトが運営代行
- 「JD Worldwide」内でユニベイトが運営するECサイトに商品を卸販売する
前者はすでに中国国内でよく知られているブランドだったり、すでに「Tmall」である程度売り上げがあるような企業に対して提供していく考えです。後者は、これからブランドを広げていこうと思っていたり、商品数の少ない会社、中国でテストマーケティングを行いたい企業に対して提供していきます。
――御社を通さずに「JD Worldwide」に出店することはできるのでしょうか。
もちろん可能です。たとえば、すでに「Tmall」などで販売代行を行っている企業は中国での販売にも慣れているので、ぜひ「JD Worldwide」にも参加してもらいたい。当社としては、「JD Worldwide」が盛り上がることが一番なので、歓迎しています。
ジンドンに直接問い合わせる大手企業などのケースはありますが、ジンドンでは日本語で対応できる部署などがありません。そのため、直接問い合わがあった場合、当社が間に入ります。こうしたことも公式パートナーの役割になっています。
中国で無名の商品も一緒に成長させたい
――「Tmall」に小売店はなかなか出店しにくくなっていると聞きます。「JD Worldwide」はどうでしょうか。
日本の場合、小売店に対するメーカーの力が大きいため、小売店が海外で販売することが難しいという状況が多い。メーカー側の了解があれば、ぜひ小売店に数多く出店してもらいたいと思っていますし、すでに小売店の出店もいくつか始まっています。ただ、偽物問題などもあるため、しっかり出店審査を行っていきます。
――「JD Worldwide」で売れやすい商品は。
すでに人気の日本製品は、ナショナルメーカーのベビー用品、紙おむつなどが人気です。化粧品や健康食品などはナショナルメーカーのモノではなくても、日本製であれば人気となっています。ジンドンの場合、中国国内では知名度の低い商品も一緒に成長させ、中国国内でのブランド力を高めることができます。こうした商品を持っている企業はぜひ出店を考えてほしい。
年間1000万円くらいの売り上げは確実に見込める
――日本のEC企業は「実際どのくらい売れるのか」を知りたいと思う。まだ始まったばかりで事例は少ないと思いますが、実際の売れ行きはどうでしょうか。
中国で知名度の高い花王の紙おむつなどを扱っている場合、年間数十億円の売り上げが見込めると思います。中国や日本でも知名度がない商品でも、たとえばいい化粧品であれば、年間1000万円くらいの売り上げは確実に見込むるでしょう。
ただ、ブランディングには時間がかかります。試しに出店し数か月でやめるのではなく、3年間程度のスパンで考えてもらいたい。その間、徐々に売り上げを伸ばしていけると思います。
――今後の展開として考えていることは。
訪日旅行者のインバウンド消費がすごいとニュースなどで話題になっていますが、すでにこうしたインバウンド向けサービスも検討ています。ジンドンへの出店に加え、こうしたサービスを組み合わせることで、日本のメーカーや小売店の売り上げアップに貢献していきたい。