900サイト超が利用するecbeingがECパッケージ市場でトップシェアを誇る理由
ECサイトの企画から構築、運用までワンストップで手掛けるecbeing。EC機能を主軸としたソリューションパッケージシステム「ecbeing」は、1999年の発売以来、大手や中堅企業を中心に900サイト以上の導入実績がある。ECのパッケージシステムで国内トップシェアを誇る「ecbeing」の強さの理由を探るため、林雅也社長にインタビューした。写真: 山中智衛
約300人の開発部隊、マーケティングに精通した60人の専門家集団
「ecbeing」は業種や業態を問わず、さまざまなECサイトを構築できる総合ソリューションパッケージだ。アパレルや化粧品、健康食品、家電、ホビーなど、さまざまな業種で採用されている。導入企業の一例を上げれば、「赤ちゃん本舗」「ABCマート」「伊藤園」「HIS」「カルビー」「タカラトミー」「日本航空」「浦和レッドダイヤモンズ」など、業種や業態を問わず大手企業が並ぶ。近年は大手小売企業によるオムニチャネルや、メーカー系直販サイトの構築に利用されるケースも目立つ。
ecbeing」が多くの企業から選ばれている理由の1つは、ECを主軸としたデジタルマーケティングシステムをワンストップで構築できる総合力にある。
ecbeingは約300人の開発部隊に加え、デザインやプロモーションなどの制作陣約60人を擁する。ECシステムを得意とするエンジニアを始め、ECに精通したデザイナーやプロモーターも多数在籍しており、顧客の要望や開発内容に応じて案件ごとにプロジェクトチームを組む。
専門家集団がクライアントの要望にきめ細かく対応する上、チームワークに優れたスタッフがワンストップで開発に携わるため、ECサイトの立ち上げはスムーズに進みやすい。
ECサイトをデジタルマーケティングに活用する動きが広がる中、新たにECを開始する企業の中には、EC部門と他部門の調整が難航することも珍しくない。ECをデジタルマーケティングの一環と捉えてプロジェクトを俯瞰的に把握した上で、全体をまとめ上げる人材がいないためだ。ecbeingには、こうした課題を解決できる高度なスキルを持つ人材が多い。そのことも、同社が多くの企業から選ばれる理由となっている。
商品ジャンルや販売形態ごとの成功モデルを提供
ecbeingはクライアントの要望をシステム開発に反映させることで、ソリューションを進化させてきた。900サイト以上を構築する中で、「アパレル系」「コスメ系」「メーカー系」「実店舗系」といったカテゴリーごとにECの成功事例を蓄積してきた。その成功モデルをパッケージ化し、最適な形でクライアントに提供できる強みも持つ。
当社のプロダクトは成功例ありきで開発しています。現在、多くのECシステムが乱立し、それぞれの機能の違いは一見しただけでは分かりにくいかもしれません。しかし、当社は多くのお客さまからのご要望や、厳しい意見に鍛えられてきたので、機能の深みが違います。(林社長)
豊富なオプション機能を揃えているのも「ecbeing」の特徴だ。CRM、CMS、オムニチャネル対応などのオプション機能は、それぞれが単体のソリューションシステムとして成立するほど高い性能を持つ。ベースとなるシステムにオプションを組み合わせることで、デジタルマーケティングシステムをトータルで構築できる。
EC業界でトレンドとなっている越境ECへの対応も進んでいる。クライアントの要望を叶えるために越境ECに最適なシステムを構築してきたことで、越境ECに関する知見やシステム開発のノウハウも蓄積できたという。今後は越境ECの成功事例もパッケージ化し、提供していく計画だ。
「Amazonログイン&ペイメント」など最新の技術にも素早く対応
ECを取り巻く環境が日進月歩で変化する中、最新の技術やセキュリティー技術も随時、取り入れている。
今年8月には、アマゾンに登録しているアカウントで他のECサイトのログインや決済を行える「Amazonログイン&ペイメント」と連携した。国内の大規模向けECパッケージベンダーが「Amazonログイン&ペイメント」と連携するのは初めてとなる。EC市場の変化に合わせ、最新の機能にキャッチアップすることでクライアントの成功を後押ししている。
「ecbeing」は堅牢な情報セキュリティーにも定評がある。セキュリティサービス会社のLACと包括契約を締結し、第三者によるセキュリティー診断を定期的に受けている。情報セキュリティーの認証基準「ISMS」も取得、情報セキュリティーマネジメントシステムで高い基準を満たしていることを証明した。自社のデータセンターを常時監視し、24時間365日の顧客サポートも行っている。
EC業界では顧客情報の漏洩や不正アクセスが相次いでおり、情報セキュリティー対策は喫緊の課題だ。ecbeingはサイバー攻撃のトレンドや事例を分析しながら、消費者に安心してECサイトを運営していただけるよう、セキュリティー対策を常にブラッシュアップしている。(林社長)
ECのトレンドやマーケティングを理解している人材育成をこれからも
ecbeingが多彩な機能と優れたインターフェースを備えたECパッケージシステムを開発できたことは、創業からのバックボーンも関係している。
同社の創業は1983年。当初はパソコンショップを都内や埼玉県内で運営する小売業だった。インターネットの普及が急速に進む中、市場環境の変化をいち早く察知し、97年にECを開始した。その際、開発したシステムが「ecbeing」の原型だ。
その後、実店舗とECを組み合わせた小売りを約20年間続けた。今では多くの企業が取り組むオムニチャネルに近いビジネスモデルを約20年も手掛けたことになる。そこで培った経験とマーケティングの知見は、「ecbeing」の改善に大いに生かされているという。また、ECを実際に手掛けた経験を持つからこそ、EC事業者の目線に立ち、売り上げを伸ばすための実務的な機能と優れた操作性を開発できたと話す。
ecbeingはクライアントと契約を結ぶと、ECサイトの企画段階から積極的に関与する。林雅也社長はその理由について、こう説明する。
ECのシステムを開発して提供するだけでは、お客さまの要望に応えたことにはなりません。お客さまが目指す目標を達成するためには、プロジェクトの企画段階から積極的に関わり、お客さまの要望を十分に理解する必要があります。
このポリシーは今後も変わることはないという。
当社はこれまで、お客さまとともに成長してきました。お客さまと一緒にPDCAを回し、お客さまのビジネスを加速させていくのは、とても大変なことですが、同時にとてもやりがいのあることだと思っています。
今後の重点戦略の1つに「人材育成」を上げる。
優れたECシステムを開発するには、ECのトレンドやマーケティングを理解しているエンジニアが必要です。そういった人材は業界全体で不足しています。当社は新卒採用と中長期の教育方針によって、高い開発スキルとマーケティングの知見を兼ね備えたエンジニアを増やしていきます。
技術力と人材を両輪に、ECパッケージシステムのさらなるシェア拡大を目指す。