アリババグループCEOが語る日本企業への期待 「中国向けECでチャンスをつかめ」
2015年の流通総額が4850億ドルとなり、米国のウォルマートの売上高を抜き「世界最大の流通企業」となったアリババグループ。CEOであるDaniel Zhang氏が来日し、日本企業に向けて中国向け越境EC市場への参入を促すメッセージを打ち出した。世界最大のEC、流通企業のトップが日本企業に期待することとは。日本企業に向けたメッセージの全文を紹介。
中国市場に参入できるチャンスはすべての企業にある
1999年の会社設立から、アリババは今年で17年目に入った。直近の1年間で素晴らしいマイルストーンを得ることができた。アリババグループのEC規模は3兆人民元を突破(3兆920億元)し、これは5000億米ドルに匹敵する規模。つまり、世界最大の流通・EC企業に成長した。
この成長の背景には、中国に多くの消費者がいることがあげられる。数億人の中国人がWebサイトに訪問できるようになったし、世界各国に商品を届けることができるようになった。これは素晴らしいチャンスだ。
中国の経済において消費は内需型にシフトしてきているものの、中国人の購買力は“爆買い”行動からもおわかりの通り。クオリティの高い商品へのニーズが増えている。
中国人は日本で買い物をするだけではなく、「天猫(Tモール)」でも日本製品を買っている。世界最大のプラットフォームを通じ、数億人もいる中国の消費者が日本製品へアクセスできるようにしたい。
そのためにも、(「Tmallグローバル」出店者などは)ブランドの認識度を高めてもらいたい。アリババグループは、アリババグループが運営する「天猫(Tmall)」「天猫国際(Tmall Global)」などを通じて、メーカー企業などが商品を販売できる「出品」支援サービス「Japan MD Center」(詳しくはこちら)を開始した。アリババグループが「Japan MD Center」を利用する企業に提供する消費者のデータをもとに、次の商品開発にいかしてもらいたい。
オンラインでの購買データは、プラットフォーム上に蓄積している。ニーズをいち早くキャッチし、消費者インサイト情報を日本企業に提供するので、中国人にニーズにあった商品を開発してもらいたい。
「Tモール」は素晴らしい。「シングルデー」のイベントはよくご存知だと思うが、「11月11日」は世界の一大イベントになった。1日間の流通額は素晴らしいもの(2015年は日本円ベースで1.8兆円)であり、中国の消費力を物語っている。すでに、その規模は米国のサイバーマンデーを超えた。
こうした中国市場に参入できるチャンスはすべての企業にある。今後5年間、重点戦略として越境ECを拡大していきたい。
Lazada、スナップディールとの連携で東南アジア・インドへの進出も支援
グローバル化が進む中、やらなければならないのは中国の消費者ニーズに対応し、中国人に適した商品を投入することだ。企業は中国のマーケットでさまざまな販売チャネルを構築できるようになった。
その一方で、進出していない、または、販売チームをまだ構築できていないという会社もある。こうした企業のために、日本から越境ECの形で商品を中国に紹介して販売。そして、コスト削減に貢献できるグローバルECを提供していく。
ECはいずれ世界をつなぐ1つのマーケットになる。
アリババグループは4月にシンガポール最大級のEC企業Lazada(ラザダ)を買収。東南アジアにも進出していく(インドでは現地最大のECサイトであるスナップディールにも出資している)。多くの日本企業のために、中国進出だけでなく、東南アジア・インドへの進出チャネルも作っていく。
東南アジアには5億人以上の消費者がいる。消費も拡大していくマーケットである。ECも急成長しているので、アリババグループはグローバル展開のための支援を行っていく。
「Japan MD Center」を設立する理由の1つが、日本のマーケットに奉仕すること。中国のマーケットを理解してもらい、最新データを得て販売計画を立ててもらいたいと考えているので、そのサポートをしていく。日本企業には中国でより多くのチャンスを得てもらいたい。今日はあくまでその第一歩。
私はこの世の中に、実現できないサービスはないと思っている。実現できないビジネスはないし、それは世界のマーケットにおいても同様だ。
アリババグループはより簡単にグローバルでビジネスができるように、多くの企業がチャンスをつかめるようにその環境を作っていく。こう信じていることをシェアしたい。
アリババグループは変化をいち早くキャッチして対応していく。このビックデータの時代において、いち早く変化をキャッチし、未知数に対して成果を勝ち取っていく。