高木 修 2016/6/15 12:00

「米国EC市場の3割をAmazonが占める」「米国でもメーカーECが伸びている」――。日本のeコマースの「近未来」を探る上では欠かせない米国EC市場では、日本企業にとっても興味深い事象が起きています。日本のEC市場では今後、どのようなことが起きるのか? そのヒントを探るため、世界最大規模のeコマースイベント「IRCE(Internet Retailer Conference+Exhibition)」(6月7~10日にシカゴで開催)に参加。そこで得た日本のECに役立つ情報を紹介します。

米国でも急速に存在感を増すアマゾン

日本でも存在感を増しているアマゾンですが、米国でも同様です。米国のEC市場に占めるアマゾンの比率はなんと33%まで広がり、2013年の26%と比べても存在感が急速に増しています。

米国アマゾンの年間商流は約12兆円に達し、米国では、日本のEC市場すべてをアマゾン1社で占める規模にまで達しているといるのです。

資料出典:Internet Retailer

EC売上トップ500の内、上位100位でシェア86%を占めています。上位企業で目立つのが「ブランドを持ったメーカー系企業」の成長率が高いこと。たとえば、スポーツブランドの「アンダーアーマー」などです。

もう1つの注目データは、上位200~400位の伸び率が上位100企業の伸び率を初めて超えたこと。上位200~400位の企業の成長ををけん引しているのが、カテゴリを絞り、ソーシャルメディアを最大活用して自社ECサイトを伸ばしている独自性の高い企業。こうした成長事例も共有されました。

資料出典:Internet Retailer

ECの未来を占う7つのキーワード

セミナーや展示会を通して把握できた、成長を実現するための7つのキーワードは次の通り。

  • オムニチャネルの取り組みは普通になる
  • アマゾンの存在感が急速に高まる
  • 独自モデルを持ったEC企業が急成長
  • BtoBコマースの本格参入
  • ソーシャル活用の新しい動き
  • パーソナライゼーションの進化
  • ビジュアルコマースの台頭

IRCEのお話に関して押さえておきたいのは、発信されたキーワードや事例の幾つかが、数年後に日本でも必ず起きるということ。

代表的な例では、「オムニチャネル」という概念や取り組みは日本よりも3年程度前に発信され、現在では日本の小売業企業にとって欠かせない経営テーマになっています。成長が期待される日本のeコマースの「近未来」の予測する上でも必要不可欠な場となっているのです。

米国の2015年のEC市場は約36兆円で、成長率は14.6%(前年は15.4%)。小売全体の伸び率3.6%に比べると、高水準で成長が続いている状況です。日本の2015年のEC市場の成長率が7.6%という状況を鑑みても、米国EC市場が安定成長していることがわかります。こうしたことを踏まえると、日本のEC市場ももっと伸びる可能性を秘めているとも言えるでしょう。

ECショップを持たない企業や紙通販系の市場規模は9.6%減となり、消費のECシフトがより鮮明になってきていることも確認できます。

IRCEから見えるECの未来を占う7つのキーワード

こうしたことから日本のECの近未来を予測すると、

  • 「オムニチャネル戦略」「メーカーのダイレクト販売」を進めている企業が市場の上位を牽引する
  • アマゾンを中心としたモールの存在感が急速に高まるため、モールをどのように活用するといったことも重点テーマになる

といったことが推測できます。

大手企業とモールがEC市場の拡大をけん引する中、米国では売上上位200~400位の中堅企業が自社ECサイトを中心に成長を遂げています。独自のビジネスモデルとソーシャル活用などの新しい集客手法を確立した企業が注目される流れが、日本にもやって来るのではないか、と期待が持てました。

◇◇◇

私が所属する、いつも.は「IRCEの公式ライセンスパートナー」としてIRCEに4人で参加。最先端のeコマース動向やテクノロジーに関して情報収集をしてきました。ポイントを整理しながら4回に分けて最新情報を紹介します。次回は、IRCEで共有されたオムニチャネルと独自モデルで成長している企業の取組み事例です。

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