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“モバイルファースト”が成長の鍵、グローバルEC市場で起きている「明と暗」

モバイルコマースの上位25位にランクインした10社の2015年売上高は平均で25%も伸びている

Digital Commerce 360

2016年9月8日 8:00

世界的にもトップにランクインするEC実施企業が、モバイルECにおいては他企業に追い抜かれ、将来的な見通しが暗くなっています。

EC市場では、モバイルコマースが2桁以上の成長率を記録しています。eコマースの未来はモバイルにあると言えそうです。

アメリカのeコマースはこれまで、PCを中心に設計されてきました。しかし、フォレスターリサーチ社の調査によると、オンラインショッピングではいま、スマートフォンやタブレットからのアクセスが2/3に達しています。

数年前は10%弱だったモバイルデバイスからの購入も、2016年には38%までアップしているのです。

eコマースの主体がこれまでのPCからモバイルへと変化しているいま、明るい未来につながる企業もあれば、この変化によって深刻な状況に陥ってしまう企業もあります。モバイルへの急速なシフトは、「グローバルEC事業 トップ1000社データベース」(インターネットリテイラー社発行)の上位25社と「モバイル トップ500社 2017年版」(インターネットリテイラー社発行)の上位25社を比べると明らかです。

世界的にもトップに位置するECサイトを運営する次のサイトは、モバイルコマースのトップ25位内にランクインしていないのです。

  • Dell(デル、グローバルEC企業 トップ1000社データベース6位)
  • Costco(コストコ、同15位)
  • Home Depot(ホームデポ、同16位)
  • W.W.Grainger(グレンジャー、同19位)
  • Best Buy(ベストバイ、同20位)
  • CDW(同21位) など

たとえば、デルはモバイルコマースのランキングで87位ホームデポは34位コストコは52位グレンジャーは139位ベストバイは37位CDWは圏外です。

一方、モバイルコマースのランキングで上位25位内に入っている企業のうち、10社はeコマースの企業総合ランキングで上位25位内に入っていない状況です。たとえば、ジュメイ(モバイルコマースランキング9位)ジョンルイス(同10位)Etsy(エッツィ、同19位)newegg(ニューエッグ、同25位)などがその例です。

モバイルECの波に遅れると成長できない? グローバルEC市場で起きている「明と暗」
PC主体のEC実施企業トップ25サイト
緑の矢印:モバイルコマースの方がランキングが高い企業
赤い矢印:モバイルコマースの方がランキングが低い企業

「eコマースの総合ランキング」「モバイルコマース」の両方でトップ25位にランクインしている企業は計15社です。そのうち、総合ランキングよりもモバイルコマースのランキングの方が高い企業は次の7社です。

  • Gome Electrical(国美電器)
  • Sunning Appliance(サニングアプライアンス)
  • Vipshop(ヴィショップホールディング)
  • Google Play(グーグルプレイ)
  • Home Retail Group(ホームリテイルグループ、アルゴスを運営)
  • QVC(QVCグループ)
  • Zalando(ザランド)

逆に、モバイルランキングの方が低い企業は、Xiaomi(シャオメイ)Walmart(ウォルマート)Otto Group(オットーグループ)Maycy's(メイシーズ)Staples(ステイプルズ)の5社。アマゾンJD.comアップルの3社は両方のランキングでそれぞれ、1、2、3位を占めています。

eコマース総合ランキングとモバイルコマースのランキングの違いは、eコマース全体の成長率に影響を及ぼします。

「モバイル トップ500社 2017年版」にランクインしている500社が、年間53%の成長率を記録しているのに対し、「グローバルEC事業 トップ1000社データベース」の1000社の成長率は23%だからです。

eコマースの総合ランキングで上位25社には入っていないがモバイルコマースのランキングで上位10社に入っている企業は、総合ランキング上位25以内にランクインしながらモバイルコマースランキングの上位25社には入っていない企業よりも、高い成長率を示しているのです。

驚くべきは、その成長率の差があまりにも大きいということです。

eコマースの総合ランキングの上位25位には入っていないものの、モバイルコマースの上位25位にランクインした10社の2015売上高は、平均で25%伸びました

一方、総合ランキング上位25以内にランクインしながらモバイルコマースランキングの上位25社には入っていない企業は、平均売上高は7%しか上昇していません

考慮すべき外的要因があるのは事実です。ランキングの数字は、原則として自国の市場でのデータを比較しています。モバイルコマースランキングの上位25社の内、7社はモバイルデバイスでのショッピングが圧倒的に多い中国の会社です。

また、顧客のタイプによってランキングは変わります。たとえば、eコマースの総合ランキングで6位に入ったデルは、モバイルコマースランキングで87位。基本的にデルの顧客は、PCからオーダーする商業顧客が多いという事実があります。

しかしながら、PCとモバイルの差が著しいことは歴然とした事実です。積極的にモバイルコマース市場のシェアを取りにいっている企業は、モバイル対応に遅れを取っている企業よりも早い成長を遂げています

世界的に成功を収めるeコマースになるには、現在のeコマースの総合ランキングを見るのではなく、モバイルコマースのトップ企業に注目べきなのです。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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