瀧川 正実 2016/11/17 7:00

中国の商務部は11月15日、越境ECの小売り輸入品に関する新制度(新越境EC制度)の一部スタートを、2017年末までに延期すると発表した。

中国政府は2016年4月、唐突に新越境EC制度をスタート。現場の混乱などを踏まえて新越境EC制度の施行を2017年5月11日まで延期するとした移行期間を設けた。今回、それを2017年末まで延長する。

延長する主な内容は次の通り。

  • 10の都市で運営している保税区(越境EC試験区)では、商品を入れる際に必要な輸入申告書などを求めない
  • 化粧品、乳幼児粉ミルク、医療機器、特殊食品(健康食品や特殊医療用途食品など)の初回輸入時に関する輸入許可、登録などを求めない
  • 直送商品(いわゆる越境EC)についても輸入許可、登録などを求めない

延期の理由について、中国政府の商務部は「越境EC小売輸入監査の安定な移行を推進するため」としている。

化粧品などの輸入では中国のCFDA(国家食品薬品監督管理総局)から許可証を取得するための条件などがあり、日本の現場担当者からは「2017年5月までに許可を得るのは難しい」といった声があがっていた。

中国の商務部は、越境ECの小売り輸入品に関する新制度の一部スタートを、2017年末までに延期すると発表

新越境制度の一部は再度延期(2017年末)となる(画像は編集部がキャプチャ)

2017年末までの延期が決定した新越境EC制度について

  • 直送モデルで求められる輸入許可書や登録など
    直送モデルでも輸入許可書(通関単)が求められるようになることが新制度の大きな変更点。通関単(正式名称は「入境貨物通関単」で、輸入港検疫局が審査し、問題がなければ検疫局が署名する通関証明書)が必要になると、手続きや審査が厳格になる可能性がある。商品によっては、輸入許可証、輸出国の原産地証明書、放射能合格証明書などを事前にそろえなければならないため、大きな手間とコストが必要になるケースもある。
  • 保税区での輸入申告書など
    新制度では、保税区モデルでも輸入許可書(通関単)が求められるようになる。10の保税区では、越境EC小売輸入商品リストの内、提出が必要とされた「通関単」について、2017年5月11日まで提出を求めないと中国政府は公表していた。なお、保税区モデルについては、税関に輸入許可証を提示する必要のない商品リストを公表している。
  • 化粧品、乳幼児粉ミルクなどの初回輸入時に関する輸入許可など
    直送モデルと同様、保税区でも、化粧品、幼児用粉ミルク、医療機械、特殊食品(健康食品など)は、初回輸入時に輸入許可証、登録、届け出が必要。保税区モデルでの取引についても、2017年5月11日までは必要書類の提出を求めないと中国政府は公表していた。
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