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EC企業のSEOはどうすればいい? グーグルのモバイルファーストインデックス対策

グーグルが発表した「モバイルファーストインデックス(MFI)」。EC事業者はどうすればいいのか、最新情報を解説します。

Digital Commerce 360

2016年11月24日 8:00

PCサイトとモバイルサイトを別々に制作しているEC事業者は、グーグルの検索インデックスの変更(モバイルファーストインデックス、MFI)によって、制作・運用方法を変更する必要が出てくる可能性があります。

ウェブマスター向け公式ブログに掲載された記事によると、グーグルは今後、モバイル検索インデックスをアップデート。モバイルサイトをクロールさせ、検索結果とコンテンツの関連性の有無を測定するそうです。

実はグーグルは、スマートフォンの検索結果は、PCサイトの内容を基準に検索キーワードとの関連性を評価し、スマホで検索結果を表示していました。グーグルの公式ブログに記事を執筆したプロダクトマネージャーのドーンタム・ファン氏によると、その方法ではPCサイトよりもモバイルサイトのコンテンツが少ない場合、検索結果に問題が生じると指摘しています。

たとえば、ユーザーが「茶色のウェッジサンダル」をスマートフォンで検索した場合。現状では、モバイルサイトに茶色いウェッジサンダルの掲載がなくても、PCサイトに茶色いウェッジサンダルが載っていると、スマホで適切に表示できるPCサイトであれば、検索結果に表示されてしまうのです。

こうした状況について、モバイルマーケティングなどを行うPure Oxygen Lab社の創設者で社長のブライアン・クライス氏は、「今回のモバイル検索インデックス変更に伴い、そのようなことが起こりにくくなるだろう」と説明します。

グーグルは基本的に、モバイルページはPCのコンテンツを表示する1つの手段として扱ってきました。そこで発生する問題は、消費者が特定の商品特徴やキーワードをスマートフォンで探し、検索結果として表示されたサイトをクリックしても、検索ワードに関連した商品をページ内で探すことができないというケースです。結果的に、消費者は関係のない検索結果にストレスを感じるのです。

Pure Oxygen Lab社のクライス氏はこう言います。

別の例をあげてみましょう。アウトドア用品のEC事業者が、PCサイトにテントの張り方を紹介する動画を載せていたとします。動画のような重いコンテンツは表示までに時間がかかるため、スマホサイトでは表示しないようにしていた場合、どうなるでしょうか。

消費者がテントの張り方を調べるために動画を検索した場合、現在のグーグルのスマートフォン検索結果では、テントの張り方に関する紹介動画が載っていないモバイルサイトが上位表示されてしまう事象が発生します。

ただ、モバイル検索インデックスが変更されれば、テントの動画が掲載されていないスマホサイトは検索結果に上がりにくくなります。

MFIで対応が必要なのは?

今回のグーグルの仕様変更は、PCサイトとは別でモバイルサイトを制作・運営しているEC事業者は影響を受けることになりそうです(PC向けとスマホ向けを別URLで運用中、同一URLで動的に出し分けしているがモバイル版のコンテンツが薄いケース)。

「Top500Guide.com」によると、インターネットリテイラー社発行のレポート「モバイル トップ500社」のうち、142社はPCサイトとは別にモバイルサイトを制作・運用。357社はレスポンシブ・ウェブ・デザインを利用しています。グーグルによると、レスポンシブ・ウェブ・デザインや、ダイナミックサービング(レスポンシブ・ウェブ・デザインの一種で、ハイブリッドやアダプティブデザインとも呼ばれるもの)を採用しているEC事業者は、特に変更を加える必要はないそうです

クライス氏によると、PCサイトとモバイルサイトをそれぞれ別で制作・運用しているEC事業者は、グーグルが推奨するモバイル検索エンジンを最適化するためのマークアップコードを埋め込む必要があると指摘します。そうすることにより、グーグルのボットが、モバイルサイトとデスクトップの内容が違うサイトであると認識できるようになります(編集部注記:今後、スマホ向けページのコンテンツでページを評価されるようになるので、スマホ版ページのコンテンツが薄い場合、PC向けに良いコンテンツを提供していても、全体として評価が下がってしまう可能性がある)。

楽器や音楽用品を販売するSweetwater Sound社(インターネットリテイラー社発行「全米EC事業 トップ500社 2016」第89位)は現在、PCサイトとモバイルサイトを別で制作・運用しています。ただ、モバイルサイトとPCサイトのコンテンツはほぼ同じで、違いはいくつかのセクションに過ぎません。しかしながら、EC担当の上席副社長マイク・クレム氏によると、レスポンシブ・ウェブ・デザインへの移行を予定よりも早めることを決めました。クレム氏は次のように話します。

これまで、最適な環境でデータを見るため、容量の問題を考慮してモバイルサイトのコンテンツを変更した例がいくつかありました。グーグルのモバイルファーストインデックスへの移行に関し、今後ダメージを受けないためには早くモバイルサイトをアップデートする必要があります

モバイルデバイスのスクリーンサイズが多様化している中、Sweetwater Sound社はレスポンシブ・ウェブ・デザインへの変更を以前から決めていました。「レスポンシブ・ウェブ・デザインへの移行は、フルリニューアルではありません。グーグルの仕様変更に伴い、影響を受けそうなセクションを優先的に変更していく予定です」。クレム氏はこう語っています。

グーグルは今回の変更に関し、数か月間に小規模な実験を行い、徐々に拡大していく予定。PCサイトしかない小売業者の場合は、スマートフォンの検索結果に引き続きインデックスされます。

グーグルの今回の発表は、スマートフォンのランキングシステムにモバイルフレンドリーであるかどうかが加味された、2015年4月の「モバイルゲドン」の延長線上の策。2015年5月のグーグルの発表では、消費者がグーグル検索を行うのは、PCよりもモバイルの方が多かったそうです。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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