広告にたよらず売上UPを実現するECサイト運営のカギは「サイト内検索」にあり

スマホ時代のECマーケティングとは? ユーザーの離脱率やカート放棄率を低減するサイト内検索の方法を解説

渡部 和章

2017年2月6日 8:00

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ECサイトのコンバージョン率を改善する上で重要な役割を果たす「サイト内検索エンジン」。スマートフォンを使ったネット通販利用が増え、「サイト内検索」の重要性は高まっている。ECサイトからのユーザーの離脱を防ぎ、売上アップを達成するために必要なサイト内検索対策はどのようものか。商品検索エンジンやレコメンドエンジンの大手ベンダーであるゼロスタートの山崎徳之社長が解説する。 写真◎Lab

サイト内検索対策が最重要マーケティング施策である理由

株式会社ゼロスタート 代表取締役社長 山崎徳之氏
株式会社ゼロスタート 代表取締役社長 山崎徳之氏

サイト内検索はECサイトの利便性を高める上で欠かせない。特に取扱商品数が多いネットショップの場合、商品の探しやすさがコンバージョン率や売り上げに直結する

山崎氏は、消費者はECサイトでほしい商品が見つからなかった場合、約59%がECサイトを離脱するという調査結果を紹介し、「消費者をサイトから離脱させないためには消費者が求めている商品にたどり着きやすくするための検索ツールやレコメンドエンジンが必須だ」と強調した。

検索結果が「0件ヒット」だったり、在庫切れの商品が上位表示されたりするECサイトは少なくない。「店頭販売にたとえるならば、来店した顧客の質問を無視したり、おすすめ商品の提案を怠ったりするようなもの」と山崎氏は苦言を呈する。

そして、「サイト内の検索結果はECにおける重要なマーケティングの場であり、検索結果は事業者が無料で自由に表示できる広告のようなもの」と指摘し、検索結果を改善して離脱率を下げれば大幅な売上アップも期待できると強調した。

サイト内検索を改善してユーザーの離脱率を90%から80%に引き下げることができれば、売り上げは約2倍に拡大する。サイト内検索は売上拡大の伸びしろが大きい施策

ゼロスタートの山崎氏が語るECサイトのマーケティングの重要性と重要なマーケティングポイント
サイト内検索はECにおける重要なマーケティングの場であり、検索結果は事業者が無料で自由に表示できる広告のようなもの

サイト内検索の結果は「個人最適化」をめざすべき

山崎氏は、サイト内検索機能を構築する上で重視すべきポイントとして「検索結果のパーソナライズ」をあげた。ユーザーのデモグラフィックデータや購買履歴、類似ユーザーの購買履歴などをもとに、ユーザーに最適な検索結果を表示することでコンバージョン率が高まるという。

レイトマジョリティーの獲得に役立つ

検索結果のパーソナライズが重要になっている背景には、EC利用者に占めるレイトマジョリティー(普及状況を見てから遅めに追従する採用・受容するような人々)の割合が高まっていることがあるという。スマートフォンの普及に伴い、検索リテラシーが高くない消費者がECを積極的に利用するようになったことで、「商品をより簡単に探せる検索機能や、ユーザーが欲しがっている商品を正確に提案する機能が求められている」と指摘した。

数年前まではECを利用する消費者は検索リテラシーが高く、欲しい商品や最安値の商品をインターネット上から探すユーザーが多かった。しかし、レイトマジョリティーの割合が高まったことで、EC事業者は商品をより探しやすくしたりオススメ商品をレコメンドしたりする工夫が求められている。

ECの裾野が広がったことで買い物の時間やデバイスにとらわれないリキッドコンシューマー(移り気でとらえどころのない消費者)やITリテラシーが高くないユーザーが増えている。こうしたレイトマジョリティーを効率的に獲得するためには検索結果のパーソナライズが必要だ。

検索結果のマーケティングとは
検索リテラシーが高くないレイトマジョリティーを効率的に獲得するためには検索結果のパーソナライズが必要

“検索条件”はパーソナライズの深堀に役立つ

検索結果のパーソナライズを実現するにはユーザーのデモグラフィック情報やSNS上の行動、ウェブサイトの閲覧履歴、購買履歴などを活用する必要がある。

山崎氏はそれらに加えて「検索クエリ」が重要だと指摘。サイト訪問者がどのような条件で検索したかを分析することで、ユーザーのインサイトを掘り下げていくことが可能になるという。

検索クエリからユーザーの検索条件を調べることで、ユーザーの潜在ニーズや妥協可能な条件などを読み取れる。検索条件とデモグラフィックデータや購買履歴などを統合して分析することで検索結果のパーソナライズの精度が高まる

検索クエリが持つアドバンテージ
検索クエリからサイト訪問者がどのような条件で検索したかを分析することでユーザーのインサイトを掘り下げていくことが可能になる

実装すべきサイト内検索の機能とは

山崎氏はサイト内検索の機能の種類として、「ファセットカウント」「サジェスト」「もしかして検索」「ドリルダウン検索」などがあることを紹介。さらに、一歩進んだ機能として、「型番検索したユーザーに対して最新の後継機種を表示したり、同スペックの他社商品も表示したりすることができれば理想」と述べた。

サイト内検索を活用したクロスセルの成功事例として、イトーヨーカドーネットスーパーの取り組みに言及。イトーヨーカドーネットスーパーは、商品検索の結果と一緒に、その商品を使って作れる料理のレシピを表示する。レシピページから食材のショッピングページに誘導する導線を作っているという。

イトーヨーカドーネットスーパーのサイト内検索活用事例(検索結果活用によるクロスセル事例)
イトーヨーカドーネットスーパーは、サイト内検索やレコメンドを活用してクロスセルに取り組んでいる

山崎氏はサジェスト機能の重要性にも言及。ユーザーが検索ボタンを押す前に表示できるサジェスト機能は「ユーザーの行動を先取りしたマーケティングとして有効」と指摘した上で、今後は広告スペースとして活用されるようになるとの私見も披露した。

サイト内検索を改善する「ゼロゾーンシリーズ」

ゼロスタートは、こうしたサイト内検索の強化を実現する「ZERO ZONE(ゼロゾーン)」シリーズを提供している。「ゼロゾーンシリーズ」は「サイト内検索エンジン」「レコメンドエンジン」「広告最適化エンジン」「効果測定エンジン」「ビッグデータ向け検索エンジン」の5種類がある。

たとえば、サイト内検索エンジン「ZERO ZONE SEARCH」はイトーヨーカドー、ヤマダ電機、ローソンHMVエンタテイメント、ブックオフ・オンライン、ビームス、ベイクルーズ、ゴルフダイジェスト・オンラインといった大手のECサイトを始め、百貨店やメーカーなども導入。年間流通額はYahoo!ショッピングと同等規模の3600億円で、年間総クエリ数は200億と国内トップクラスの実績を持つ。

「ZERO ZONE(ゼロゾーン)」シリーズの特徴
サイト内検索エンジンとしては国内トップクラスの実績を持つ

近年、オムニチャネルに取り組む企業が「ゼロゾーンシリーズ」を採用するケースも増えているという。ECの裾野がますます広がることが予想される中、山崎氏は「レイトマジョリティーを獲得するために商品検索機能やサジェスト機能がしっかり準備して欲しい」と訴えかけ、講演を終えた。

ゼロスタート・山崎氏の講演の様子
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