Digital Commerce 360 2019/2/21 7:00

販売スペースを短期間借りることで、オンライン通販事業者はより広く商品を知ってもらうことが可能になります。最新の技術や特別なイベントを提供することによって、ポップアップストアをきっかけにブランドへの関心を高めることができます。

ミールキットのサブスクリプションサービスを展開するBlue Apron社は、2018年5月、「家庭での料理」を盛り上げるために全国でポップアップストアをオープンすると発表しました。より多くの消費者にブランドを認知してもらうためのポップアップストア展開は、食材やレシピを配達するサービスを提供する会社としては初めての試みでした。

Blue Apron
Blue Apron(編注:編集部が画像を追加)
https://www.blueapron.com/

Blue Apron社以外にも、多くのオンライン通販事業者が体験型イベントを行っています。ポップアップストア自体は目新しい試みではありませんが、販売用のスペースに空きが多く、要求の高い消費者の多くが店舗内での体験を望んでいることから、暫定的なリアル店舗を検討しているブランドが増えています。

すべてのオンライン事業者にポップアップストアが向いているわけではありませんが、さまざまな成功例を見る限り、限られた期間に新商品や新サービスを実際に展示することは、会社を正しい方向に導くきっかけになるといえそうです。

期間限定の販売スペースを活用する

オンライン小売事業の成長にともない、伝統的な小売事業者は新しい環境に適応するのに苦労してきました。結果として多くの実店舗がなくなりましたが、その状況に対する短期的な解決方法があります。

期間限定のリースです。長期間スペースを貸すのではなく、スタートアップやEC事業者に月や週ごとでスペースを貸す不動産投資家が増えています。利益率はそれほど高くありませんが、短期間で貸すほうがまったく貸さないよりもましです。

特別なイベントを開催することで、ブランドや小売事業者のイメージを活性化することも可能です。手頃な価格帯のスキンケアブランドSt. Ives社は、60年以上ビジネスを続けていますが、昨年ソーホーに初のポップアップストアをオープンしました。

ポップアップストアでは、消費者がフェイス用スクラブやボディローションをカスタマイズして作れるようにしました。ポップアップストアが大きな成功を収めたため、カスタマイズ可能な商品を増やして2回目のポップアップストアも開催しました。

St. Ives(セントアイヴス)のポップアップストア「St. Ives Mixing Bar」(編注:編集部が写真を追加)

消費者は優れた購買体験を求める

多くの小売事業者が実店舗を閉めた大きな理由の1つは、要求の高い消費者が求めるインストアエクスペリエンスを提供できなかったからです。

ミレニアル世代の消費者は特に、買い物を娯楽と考えています。技術中心の時代に育った彼らは、最新の技術があれば楽しめるのです。スマートミラーや圧倒的なVRがあれば、どんな小さなスペースでも楽しむことができます。

昨年Marie Claireは、ファッション、美容、エンタテイメント、技術、健康に焦点を当てたポップアップストアをオープンしました。最新技術を駆使して、インタラクティブな試着室からその場で購入できるディスプレイなど、毎日新しい体験を提供しました。

ポップアップストアは店舗よりも低リスク

実店舗同様、ポップアッストアを開催するのには企画と初期投資が必要です。しかし、ポップアップストアは伝統的な店舗オープンに比べて、かかる時間もリスクもコストも低く、小売事業者の希望に合わせてカスタマイズすることも可能です。

予算が厳しい小売事業者は、ソーシャルメディアを使って告知をするとともに、認知拡大のために人通りの多い場所でポップアップストアをオープンするといいでしょう。動かしやすい棚やワイヤーを使って、洋服や他の商品を展示してください。また、Apple Payなどのデジタル決済を利用して、タブレットやスマートフォンで簡単に決済できるようにしましょう。

オーストラリアのファッションブランドArnsdorfは、ポップアップストア開催にともない、ユニークで低コストな展示を行いました。従来のデコレーションに頼るのではなく、154足のタイツでインスタレーションを作ったのです。芸術的で、洞窟のような印象を与えたポップアップストアはブランドのイメージにぴったりで、多くの費用もかかりませんでした。

今がチャンス

オンライン小売事業者は、インターネット店舗に頼りがちですが、デジタル上での競争が激化するなか、実際の世界でブランドを露出するEC事業者が増えています

ポップアップストアは、低コストかつ利益も出しながら、新しい消費者にブランドを知ってもらう良い機会になると同時に、オンラインでは表現しきれないブランドイメージを伝えることが可能です。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

この記事が役に立ったらシェア!
これは広告です

ネットショップ担当者フォーラムを応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]

[ゴールドスポンサー]
ecbeing.
[スポンサー]