Digital Commerce 360 2019/2/28 7:00

Amazon(アマゾン)中国が、越境ECに特化するNetEase Koalaと合併するという噂が流れています。合併すれば、アリババやJDに支配されている中国のEC市場で、アマゾンが存在感を増すことができるでしょう。

巨大EC企業のアマゾン中国が、中国で2番目に大きな越境EC、NetEase Koalaと合併するという噂が飛び交っています。

アマゾン中国は、約10年前にアリババにマーケットシェアで敗北を記した後、化粧品や粉ミルクのような海外商品の輸入販売に注力してきました。

アマゾン中国とNetEase Kaolaがどのような話し合いをしているかは不明ですが、パートナーシップを強固にするために、株式交換をするのではないかと言われています。

※編注:中国の経済誌がアマゾン中国とKaolaの合併に関する情報を配信しました。両社とも正式なコメントは発していないため真偽は不明です。この記事では両社の合併に関する「噂」から、中国EC市場について考察していきます。

越境ECがアマゾンを勢いづける

中国でのアマゾンのビジネス規模は比較的小さいままです。リサーチ会社のAnalysys International社によると、アマゾン中国は560億ドルの越境EC市場の6%のシェアを占めていますが、2018年に全世界で2330億ドルの収益を上げたアマゾンにとっては、微々たる額でしょう。

中国における越境輸入ビジネスに加えて、アマゾンの中国でのオペレーションは、中国の販売社が国際市場に輸出するサポート業務が主になっています。

アマゾン中国の越境ECサイト

アマゾンにとって、Kaolaとのパートナーシップは、中国市場に再度打って出る足がかりになります。マーケットシェアで劣り、中国人向けのUIも乏しいですが、アマゾンは強固なグローバルサプライチェーンを持ち、世界中の質の高いサプライヤーのネットワークを持っています。

中国の越境EC市場には偽物がはびこっていますが、粉ミルクや化粧品などの輸入品に関しては、アマゾン中国を利用している消費者がいます。

アマゾン中国はNetEase Kaolaにどう貢献するのか

NetEase Kaolaは越境ビジネスで成功したものの、未だに偽物商品の問題を抱えています。

今年1月、NetEase Kaolaで購入したカナダグースのジャケットが偽物だったとして、消費者がNetEase Kaolaを糾弾しました。そのニュースは中国のソーシャルメデイァで話題になり、中国に2番目に大きな越境ECであるNetEaseが、サプライチェーンの問題を見逃し続けていいのかという疑問が投げかけられました。

アマゾン中国はNetEase KaolaのTmallとの競争を後押しする

NetEase Kaolaが越境ECにおける天猫国際(Tmall Global)の首位の座を奪おうと必死になっている状況の中で、今回の合併話が出てきました。

過去数年間、この競合2社は首位争いをしてきました。2018年初頭までKaolaはTmall Globalを抜いて首位でしたが、最近その座を明け渡してしまいました。

2018年第4四半期で、Kaolaはマーケットの24.%%のシェアでしたが、対するTmall Globalは31%のマーケットシェアを獲得しました。

中国越境ECの市場シェア

2018年11月に、Kaolaは在庫強化のために28億9000万ドルを投資すると宣言し、中国の国際輸入Expoにおいて110ものサプライヤーと新たに契約をしました。30億ドル分の米国の商品を調達するとしていた2017年に続く動きです。

Kaolaは取扱商品の幅を一気に広げようとしています。Kaolaのサイトは、越境ECの商品のみを集めた単体のウェブサイトですが、Tmall GlobalはTmallの1つのセクションとして稼働しており、Tmallの中国人サプライヤーが数多く流入してきます。ですから、Kaolaは商品の幅を広げ、より多くのトラフィックを確保する必要があるのです。

世界中に調達センターを構えるアリババに比べて、Kaolaのビジネスは比較的小さいです。アリババは立ち上げ当初からグローバル展開をし、海外市場で大変強いブランドになっています。世界中のサプライヤーがアリババを信頼していますが、Kaolaはあまり知られていません。

アマゾン中国とNetEase Kaolaはオフラインでも協業できるのか?

ニッチな越境EC市場が、昨年2330億ドルもの収益を上げた巨人アマゾンにとってどれほど重要なのか、という疑問も残ります。

中国杭州市にオープンしたKaolaのポップアップストア。出典:Ymtmt.com

別の可能性としては、Kaolaがオフラインでの存在感を高めるために2社が協業するのではないか、ということです。Kaolaのビジネスは、大きな利益を出しているNetEaseのゲーム部門に支えられていますが、アマゾンのリソースを投入すれば、中国国内でスケールアップすることもできるでしょう。

NetEase Kaolaは2018年、最初のオフライン小売店舗をオープンしましたが、今年は新たに15店舗オープンする予定です。

Kaolaの姉妹企業であるNetEase Yanxuanも香港のドラッグストアチェーンWatsonsと提携し、1月に広州で共同ブランド店舗をオープンしました。Yanxuanは、中国の消費者向けに質の高いプライベートブランド商品を提供することに注力しています。

また、NetEaseはアマゾンのグローバルビジネスを、商品を海外に輸出するためのプラットフォームとして活用できるでしょう。NetEase Yanxuanはナイキやアディダスのようなブランド商品を製造している業者から、ホワイトラベルの商品を直接調達しています。

まったくの憶測ですが、NetEaseとアマゾンのパートナーシップは、こういう分野でも発展するかもしれません。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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