Digital Commerce 360 2019/8/8 8:00

消費者はこれまで以上にモバイル経由で買い物をするようになるでしょう。5Gはほとんどの分野でまだ開発段階のため、小売事業者は現在の4Gの速度でユーザーエクスペリエンス(UX)を最適化する計画を立てなければなりません。モバイルデータを管理し、モバイルサイトやアプリの速度低下を防ぐために動画コンテンツを最適化することは、モバイルデバイスで買い物をする消費者を引き留める方法の1つです。

2年後には7割以上がモバイルに

次世代のイノベーションのおかげで、小売事業者はデバイス、メディア、プラットフォームを横断しながら、これまでにない規模と新しい方法で消費者にリーチできるようになっています。モバイルはデジタル階層の最上位に位置し、世界で最も普及しているインターネットへのアクセス手段として今後も支配的な地位を維持するでしょう。

昨年2018年のホリデーショッピングシーズンには、オンライン注文で初めてモバイルがデスクトップを上回りました。2021年までにはモバイルがeコマース取引全体の75%近くを占めると予想されています。

eコマースにおけるモバイルの成長にもかかわらず、モバイルデバイス、ブラウザ、アプリ全体で高いクオリティと一貫性のあるエクスペリエンスを保証することに関して、小売事業者の努力はまだ足りていません。実際、53%の人が読み込みに3秒以上かかるサイトを離れ、25%の人が長いページ読み込み時間のためにブランド自体に興味をなくすと答えているレポートもあります。

消費者はモバイルサイトやアプリがユーザーフレンドリーで、見た目も魅力的で、何よりも高速であることを期待しているのです。スピード以外に、消費者はモバイルアプリが独立したシステムとして機能することを期待しています。アプリの中で商品を調べてバーチャルに試し、返品や購入ができることを望んでいるのです。また、ショッピング情報をタブレットやデスクトップブラウザなどの新しい「場所」にシームレスに転送し、取引をスムーズに完了できるようにして欲しいと願っています。

今年のホリデーショッピングシーズンは、小売事業者が消費者に優れたモバイルエクスペリエンスを提供することが、かつてないほど重要になっています。顧客がより優れたユーザーエクスペリエンスを提供する競合他社に移動して、最終的にそこで購入したとしたら、アプリとオプティマイゼーションへの投資はすべて無駄になってしまいます。

今年のホリデーシーズンで消費者に提供するモバイルエクスペリエンスを最適化し、潜在的なUX障害を軽減するために、小売事業者が念頭に置くべき重要な項目をいくつか紹介します。

“実際のユーザー・データ”を活用しているか

最近のHarvard Business Reviewのレポートによると、カスタマーエクスペリエンスに影響を与えるリアルタイムの指標にアクセスできる企業はわずか22%です。つまり大多数の企業は、パフォーマンスの問題にリアルタイムで対応したり、消費者のデジタル・エクスペリエンスを正確に最適化したりするために必要な情報が見えていません。

モバイルパフォーマンスの問題を正確に特定し、迅速に解決するためには、テストエージェントが測定した合成データのみに依存するのではなく、小売事業者がリアルタイムのユーザー・データにアクセスできることが重要です。

実際のユーザー・データから、サイトのトラフィック、個々の顧客の使用状況、ページ固有のパフォーマンス、全体的なユーザーの行動を包括的に見ることができます。例えば、実際のユーザー・データがあれば、小売事業者は「特定の商品を閲覧した後に、消費者が取引ページで止まっている」というような状況を知ることができます。

バックエンドの運営者は、個々の事例に照準を合わせることで、どこに問題があるのかがわかります。サイトやアプリがサードバーティの決済業者の問題で支払いの時に止まってしまっているのか、価格に誤りがあるのか、実際には十分な在庫があるのに商品が在庫切れになってしまっているのか、などを確認することができるのです。

消費者データがパーソナルな体験を推進するために重要であるのと同様に、問題を迅速に特定し、自動的に修復し、最終的にはダウンタイムを減らすために、消費者が自社のモバイルサイトやアプリにどのように関わっているかを示すデータを得る必要があります。これをするかしないかが、今年のホリデーシーズンの「運命を左右する」可能性があるのです。

美しさとパフォーマンスのバランスはとれているか

ターゲットを絞って合理化されたエクスペリエンスに加えて、消費者はモバイルサイトやアプリがユーザーフレンドリーで、見た目にも魅力的で、何よりも高速であることを期待しています。小売事業者は、ブラックフライデーやサイバーマンデーのような訪問者の多い過負荷に伴う潜在的なサイト遅延に備える必要がある一方で、コンテンツの負荷が原因で発生するかもしれない混乱も予測する必要があります

多くの消費者が購入の意思決定に役立つ動画を探しています。短い動画はコンバージョンを劇的に向上させますが、動画コンテンツはデータ量が多く、特にモバイルアプリやブラウザではサイトの読み込み時間を遅らせます。

小売事業者は、消費者が求めている視覚的に魅力的なブラウジング体験と最先端のブラウジング体験との間でバランスを取るとともに、斬新なアプリを求め、モバイルページのスピードと信頼性を期待する消費者に応えることが重要です。

画像および動画管理の自動ソフトウェアを活用することで、ブランド企業は、トラフィックの多い日でも、速度やパフォーマンスを犠牲にすることなく、すべてのデバイスとブラウザに合わせた最適な品質、解像度、および形式で、短い動画と画像をコード変換して配信することができます。

しばらくは5Gではなく4Gで考える

5Gのアプローチは、新しい高速ワイヤレス接続を提供することを約束しており、ブランドはそれを通じて買い物客のCXを劇的に向上させることができます。その場合、サイトやアプリのパフォーマンスを低下させる重い動画コンテンツに関する多くの心配は、時代遅れになるかもしれません。しかし実際には、5Gはまだ登場しておらず、しばらくは登場しないことが予想されます。

一方、2019年のホリデーシーズンの成功は、小売事業者が4G体験を最適化できるか否かにかかっています2022年までは、71%以上のネットワークが4Gでの運営を続けているでしょう。小売事業者が4Gのモバイルエクスペリエンスを強化する方法の1つは、消費者の位置データをリアルタイムで活用し、ターゲットを絞った割引やプロモーションを送ることです。

例えば、買い物客が地元のディスカウントチェーン「Target」の靴売り場に数分間立ったら、お店は彼らのモバイルアプリにクーポンを送り、靴を買うように促すことができます。これは、小売事業者が現在利用可能なネットワーク速度と帯域幅でカスタマーエクスペリエンスを向上させるだけでなく、オンライン・ショッピングとデジタル・ショッピングの長所を融合できる一例にすぎません。

合理化され、パーソナライズされ、見た目も魅力的な、データを活用したモバイルエクスペリエンスを今年のホリデーシーズンに提供したいなら、小売事業者は5Gが普及する前にバックエンドの整理を行う必要があります。

小売事業者にとって重要なのは、現在のリソースを活用するか、消費者データからAI、パフォーマンス・メトリックに至るまで、迅速な導入と稼働が可能な新しいソリューションを入手し、モバイルの最適化、CXの強化、ホリデー・シーズンを前にしたロイヤルティの向上を実現することです。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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