Digital Commerce 360 2019/10/3 8:00

画像と価格を表示し、消費者が簡単に商品を比較できるGoogleショッピング広告では、Google(グーグル)のテキスト広告より30%も高いコンバージョン率が得られます。Googleショッピングは世界中の消費者にリーチする効果的な方法になり得ますが、小売業事者はそのルールを知る必要があります。

eコマース事業の規模を拡大できる可能性のある成長戦略はほとんどありません。しかし、Googleショッピングを利用することで、世界中のより多くの消費者にリーチできるようになるかもしれません。Googleショッピングでは、さまざまな商品の画像と価格が並べて表示されるため、簡単に比較することができます。

国内では十分な売り上げを上げているものの、国内市場が飽和状態で、競争が激化している小売事業者にとっては特に価値があるでしょう。もし国内市場で頭打ちになっていれば、新しい市場をターゲットにすることで規模を拡大し、クリック単価などの獲得コストを下げることができます

季節商品の通年販売も夢ではありません

世界で特に魅力的な市場は、特定の商品が少ない、または、海外のユニークな商品に対する需要が満たされていないマーケットです。多くの小売事業者は、これまで販売を検討したことのない場所で、自社商品の需要が高いことに気付くかもしれません。

たとえばイタリアでは、国内における供給にあまり活力がありません。国内ブランドは需要のペースに追いつくのに苦労しており、ブランド物の衣類や自動車部品など、多くの商品を海外から輸入に頼っています。

国内市場を超えて販売を拡大するもう1つの利点は、季節商品の通年販売が可能になることです。たとえば、水着を販売している事業者は、北半球が冬の時はオーストラリアのような南半球の国々で水着の販売を続けることができます。

海外市場で販売すると取引時間から利益を得ることもできます。たとえば、アメリカの消費者の就寝後に、ヨーロッパの人々は商品を探し始めるかもしれません。国際的に販売することで「年間365日、年中無休」の真の可能性が解き放たれるのです。

Googleショッピングの成長の原動力は何でしょうか?

広告主は、Googleショッピング広告への支出(24%)を、有料検索広告やテキスト広告(17%)よりも増やしています。これはおそらく、画像ベースのGoogleショッピング広告のコンバージョン率がテキスト広告より約30%も高いからでしょう。

Googleショッピングの重要な原動力はモバイルです。検索とショッピングにおけるクリックとコンバージョンのおよそ60%~70%を占めています。

Gooleショッピングの成長(SIDECARのデータより)
昨年比 Googleショッピングの収益増加 29%
昨年比 Googleショッピングへの支出増加 24%
昨年比 GoogleショッピングのCPC増加 4%
昨年比 グーグル有料検索広告の収益増加 13%
昨年比 グーグル有料検索広告への支出増加 17%
昨年比 グーグル有料検索広告のCPC増加 14%
SIDECARが算出したGoogleショッピングの成長
InternetRetailerの資料をもとにネットショップ担当者フォーラム編集部で作成

さらに、ショーケース・ショッピング広告のように、広告主が関連商品の画像を次々と表示できる新しいリッチ・フォーマットも勢いを増しています。2018年10月には流入が増加し、モバイルでのGoogleショッピングの総クリック数に占める割合が4.67%と最高値を記録しました。

国境を越えた販売は、近いうちにGoogleショッピングの主な推進力になっていくでしょう。我々が調査した小売事業者の90%以上が、世界的なショッピングキャンペーンに投資する意思があると表明しています。国内市場を超えて販売することで、小売事業者はより広いオーディエンスに到達することができます。特にアメリカやイギリスのように国内市場の競争が激しい場合、新たな販売のチャンスになるでしょう。

獲得コストは低く、収益性は高く

Googleショッピングを利用すれば、小売事業者は競争がより少ない海外市場で、高い潜在的販売力を持って販売することができます。これらの市場では、地元のオンライン販売事業者が特定の商品を提供できていなかったり、地元の需要を満たすことができていなかったりするのです。

海外のユニークな商品の需要が満たされていない状態は、eコマース小売事業者にとって最大の機会の1つです。コンバージョン率は上昇し、CPC(クリック単価)は低下するでしょう。

たとえばアメリカ、ヨーロッパ、カナダのCPCを比較すると、いくつかの商品カテゴリーにおけるアメリカのCPCはヨーロッパの5倍~7倍になる可能性があります。これは、一部のヨーロッパ市場では獲得コストが低く、収益性がはるかに高いことを意味しています。

eコマースの可能性(国内市場 対 国際市場)
InternetRetailerの資料をもとにネットショップ担当者フォーラム編集部で作成

世界的にGoogleショッピングキャンペーンを開始する方法

Googleショッピングで成功するには、何よりも、販売される商品の情報が対象となる消費者にとって明確でわかりやすいものでなければいけません。グーグルは定期的にレビューを行い、提供された情報が小売事業者のWebサイトのものと一致しているかどうかを確認しているため、正しい情報を提供することが重要です。商品フィードの仕様、ショッピングポリシー、言語や通貨といったその他の要件を確認する必要があります。

海外の消費者に広告を出す場合は、まず小売事業者の商品フィードとWebサイトを翻訳してローカライズする必要があります。これには、商品の説明、タイトル、属性、通貨、チェックアウトの流れなどが含まれます。

次に、税金と配送料を確認し、配送情報を送信する必要があります。不正確な送料はグーグル・マーチャント・センターから警告されることがあります。

商品の輸出規制を調べることも大切です。戦闘ナイフや手投げ斧など、一部の商品は販売が禁止されています。さらに、Googleショッピングを通じてある特定の商品、たとえば毛皮や爬虫類の皮などの他国で販売できないこともあります。

時間の経過とともに、小売事業者は商品輸出規制、出荷状況、現地での購買行動などを理解し、最もよく売れる商品は国ごとに違うとわかるでしょう。ある国では合法的かつ容易に提供できるものが、他の国ではそうではないかもしれません。ある国では人気のある商品が、別の国では需要が少ないこともあります。

コンバージョン率を最大化するカギはローカライズ

世界で最も話されている言語、英語を選ぶことは、商品を海外に宣伝する場合の最適な選択肢のように思えるかもしれません。しかし、グーグルのポリシーでは、販売者は現地の言語でフィードを送信し、完全にローカライズされたカスタマーエクスペリエンスを提供する必要があります

実際、英語が母国語でない国のeコマースでは、英語が好まれないのが現実です。欧州委員会の世論調査機関であるEurobarometerの調査によると、回答者の42%が外国語で購入したことがありませんでした。56.2%の消費者が「価格よりも自分の言語で情報を入手することの方が重要だ」と述べています。また、Common Sense Advisoryのデータによると、購入者はWeb閲覧時間の72%以上を現地語のサイトで費やしています。

消費者は通貨換算を使用せずに自国の通貨で価格を見ることを好みます。Penton Research社によると、価格が米ドルのみで表記されている場合は、33%が購入を見送る可能性があり、90%以上が自国通貨での購入を好むそうです。

そのため、ほとんどの市場では、商品カタログの完全な翻訳と商品価格の正確な通貨換算を含むローカライズされたGoogleショッピング用の商品フィードを作成する必要があります

あなたの商品を待っている人は、海外にたくさんいる

グローバルに展開し、Googleショッピングを通じて新規顧客を獲得すれば、多くの小売事業者やブランドにとって売上が大幅に増加する可能性があります。

複数の国で商品を提供すると、販売の機会ははるかに大きくなります。実際のところ、あなたの商品に興味を持っている海外の消費者は、おそらく何千人、何万人もいるでしょう

自動化されたeコマースソリューションと組み合わせた海外販売は、コスト効率が良く、販売も簡単になります。実際、海外でオンライン販売をするのに、今ほど良い時はないのです。

商品フィードとサイトの翻訳、およびローカライズは、最高の結果を得るために最も重要です。海外でのカスタマーエクスペリエンスがスムーズになり、より高いコンバージョン率を得ることができます。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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