「ユニファイドコマース(unified commerce)」では、消費者はブランド全体を体験することができ、小売事業者やブランドは消費者の視点を360度見渡し、その視点を戦略的に活用できます。小売事業者は、オンラインや店舗でパーソナライゼーションを提供するだけでなく、ネット検索と店舗での購入の間でもパーソナライゼーションを提供しなければなりせん。

ビジネスの力学は絶えず進化しており、消費者の多くが買い物の全行程をオンラインで済ませています。彼らがオンラインを利用するとオプトインした消費者の足跡がデジタル上に残り、最先端を行く小売事業者やブランドがそれを活用します。その結果、さらに魅力的でパーソナライズされた買い物体験が作られます。

パーソナライズされたカスタマーエクスペリエンスは、オンラインのためだけのものではありません。店舗、モバイル端末、音声アシスタントなど、小売事業者が消費者とやりとりするあらゆる場所を含んでいます。パーソナライゼーションに関わる業界を見れば、ユニファイドコマースの分野で、より良いサービスが提供されていることがわかるでしょう。顧客データがチャネルごとに固定されたり、脆弱なインテグレーションによって寄せ集められたりすることがなくなっているのです。

「ユニファイドコマース」とは、消費者がブランドの1つのチャネルだけでなく、ブランド全体を体験できる環境です。そこでは、小売事業者やブランドが消費者の視点を360度見渡し、その視点を戦略的に活用しています。

統合されたカスタマージャーニーにおけるパーソナライゼーションの現状

パーソナライゼーションにもさまざまな段階があります。たとえば、古いパーソナライゼーションでは、小売事業者にチャネルが1つしかなく、1つのタッチポイントのみでカスタマーエクスペリエンスのパーソナライゼーションが可能でした。

現在の小売環境で最も人気のあるビジネスの形態はマルチチャネルです。消費者はカスタマージャーニーの中で複数の接点に関わりますが、各チャネルは独立していて、孤立した一貫性のないショッピングエクスペリエンスになっています。

小売事業者は従来のマルチチャネルから移行し、消費者が複数のタッチポイントを1つのシームレスなエクスペリエンスとして見る、オムニチャネルエクスペリエンスを提供することを目指しています。しかし、そこで止まってしまっては、個々の消費者をよりよく理解するために必要な、チャネル間のバックエンドがつながらないままです。

オムニチャネルの取り組みの本当の意味を考えてみましょう。消費者はオンラインとオフラインの経験もつながっていると認識しているかもしれません。オムニチャネルという考え方で運用しても、消費者を完全に理解することはできないのです。

オムニチャネルを超えて、「ユニファイドコマース」戦略の概念を採用することで、小売事業者は消費者の一貫した視点を獲得し、戦略的に、より適切なパーソナライゼーションを、全行程を通じて提供することができます。小売事業者がすべてのテクノロジーとデータインフラを連携させることで、オムニチャネルを超えた「ユニファイドコマース」環境で業務を行えるのです。

「ユニファイドコマース」の世界を効果的に実現するためには、統一された顧客データとパーソナライゼーションを活用し、オンラインからオフライン(O2O)への消費者の移動を、複数のデジタル上、および対面のタッチポイントで調整する必要があります。

ステップ1:オンライン上のパーソナライゼーション

消費者のオンライン購入が増えると、パーソナライズされたレコメンデーションを通じて、彼らの注意をすぐに引くことができるという利点があります。しかし、商品ラインナップを紹介するだけのECサイトはもはや十分ではありません。新規訪問客にもパーソナライゼーションを瞬時に提供するために、小売事業者は、関連する商品を迅速に特定して消費者に表示し、インタラクティブなコンテンツを通じて、未来の顧客との対話のために独自の関係性を作り始める必要があります

小売事業者が消費者の意図を正確にくみ取るためにも、消費者にとって最も関連性の高いカタログを、商品情報や割引のオファーと共に迅速に表示するための適切なデータ戦略が必要です。

ステップ2:「中間」のパーソナライゼーション

消費者が一度でも小売事業者のサイトを訪れたら、オンラインからオフラインのカスタマーエクスペリエンスでもパーソナライゼーションを提供する必要があります。

たとえば、ある消費者がサイトにアクセス、もしくは商品をブックマークした後に、店舗受け取りで商品をオンライン注文したとします。消費者のオンライン訪問と実際の店舗への移動の間に、パーソナライズされたメールのリマインダーを通じて、店舗内の商品受け取り場所を知らせたり、購入した商品に関連の高い商品をすすめたりして、エンゲージメントを促進する機会を生み出すことができます。

小売事業者はまた、プッシュ通知をオプトインした消費者にアプリやポイントプログラム経由でアプローチし、「中間」のパーソナライゼーションで抜きん出ることができます。

商品のリマインダーにとどまらず、自社のストーリーを伝えるのに役立つコンテンツを通じて消費者と関わる機会も生まれます。これは、ソーシャルメディアだけでなく、メールやモバイルチャネルを通じて行うことも可能です。

ステップ3:店舗でのパーソナライゼーション

消費者が店に足を踏み入れたら、店舗スタッフに最新情報を提供することで、フルフィルメントから新製品の紹介、店舗内での総合的なカスタマーエクスペリンスまで、実際にすべてをパーソナライズする機会を得ます。

店舗受け取りの場合なら、店舗スタッフは顧客の注文履歴データを手元に置き、顧客が受け取りカウンターに近付いたときに、パーソナライズされたオススメ商品を準備することができます。さらに、顧客の過去データを利用して、興味関心を持つ可能性のある新しい商品を提案することもできるのです。

在庫過多な商品を適切な顧客におすすめすることで、在庫を削減または最適化することも可能です。一般的な消費者が欲しいと思うすべての商品を準備するのではなく、誰がそこで買い物をし、どんな商品に反応するのかを理解することが可能です。

ステップ4:販売後のパーソナライゼ−ション

顧客が商品を手に入れたら、小売事業者の仕事が終わるわけではありません。「ユニファイドコマース」を実現するには、顧客に向けて有意義なフォローアップを行うためのツールの用意が必要です。

フォローアップは、メールまたはショートメッセージを使用して行えます。メールでは購入に感謝しつつ、満足度調査への回答を促します。顧客が受け取るフォローアップのコミュニケーションはすべて、新しいレコメンデーションと共に完全にカスタマイズする必要があります。

顧客が商品を受け取る前に確認しなかった未開封のメッセージも考慮に入れましょう。データが接続された状態で古いメール(顧客が店舗で購入する前に送信されたメール)を開いた場合、そのメール内のレコメンデーションは、店舗での購入に基づいて更新できます。

また、顧客が小売事業者のサイトを再訪問した時は、店舗での購入に基づいて最新のレコメンデーションと検索結果も表示できます。

ステップ5:すべてをつなげる

単一チャネル、複数チャネル、またはオムニチャネルの経験から「ユニファイドコマース」の経験へと飛躍するには、すべてのチャネルを連携させ、販売以上のことを行うための基盤となる確固としたデータ戦略が必要です。

ブランドや小売事業者が消費者の興味や好みに合わせて進化しようとする中、高度にパーソナライズされた新しいショッピングエクスペリエンスや、完全にカスタマイズされたカスタマージャーニーを提供するために、「ユニファイドコマース」の力を活用する必要があるのです。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア「Internet RETAILER」の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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