ファーストリテイリングは11月13日、グローバルパートナーシップを締結しているダイフクに加え、産業用ロボットの知能化を実現するソフトウェア企業であるMUJIN、ファクトリーオートメーション(FA)関連機器のExotec Solutions SASと、サプライチェーン領域における戦略的グローバルパートナーシップに関する合意書を締結したと発表した。

今回の契約締結で、ファーストリテイリングはさらなる倉庫の自動化とグローバル展開を加速。各社それぞれの豊富な専門知識と経験を支えに、サプライチェーン改革を進めていく。

ファーストリテイリングが進めるサプライチェーン改革全体像
サプライチェーン改革全体像(画像はファーストリテイリングのHPから編集部がキャプチャ)

ファーストリテイリングは、今回のグローバルパートナーシップ締結に伴い、次の取り組みを加速していく。

① さらなる倉庫の自動化を推進

形状が柔らかく、商品種類が多いアパレル製品のピッキング作業は、これまで自動化が困難とされてきた。ファーストリテイリングは、ロボット自身に動作を考えさせるモーションプランニングAI搭載の「知能ロボットコントローラ」を持つMUJINと協業し、モーションプランニングAIを用いたピッキングロボットを開発。全世界の倉庫に導入し、倉庫の自動化を加速させる。

② 自動倉庫をグローバルに展開

海外でも倉庫自動化の展開を加速度的に推進する。ダイフクとは、すでに国内2拠点、海外2拠点の計4拠点、MUJINとは海外1拠点、Exotec Solutionsとも海外1拠点の倉庫自動化に着手。今後もこの取り組みを拡大していく。

③ 戦略的パートナーシップの拡大と人材採用の加速

究極のサプライチェーンの実現に向け、今後も最先端の技術を持つ企業とのパートナーシップをさらに拡大。サプライチェーン改革の推進をリードできる人材の採用も積極的に進める。

ファーストリテイリングの神保卓也グループ上席執行役員は、次のようにコメントしている。

各社の卓越した専門性と経験を活用し、倉庫の自動化と、グローバルでの変革を強化することで、さらなるサプライチェーンの強化をめざす。適切な商品を、適切な時期に、適切な場所、適切な量、適正なタイミングでお客さまにお届けする。この究極のサプライチェーンの実現をめざす」とコメントしている。

サプライチェーン改革のための3つの取り組み

サプライチェーン改革を加速化させるため、「計画領域へのアルゴリズムの導入」「徹底した自動化の推進」「情報の把握・一元化による経営コックピット活用」の3改革手段に注力するという。

アルゴリズム~めざすは統計分析や機械学習技術を活用した高度な需要予測と計画連動

ファーストリテイリングが進めるサプライチェーン改革全体像 サプライチェーン情報の可視化・一元化
サプライチェーン情報の可視化・一元化

販売開始前の販売計画立案時から過去の販売実績を基に、「統計分析」や「機械学習技術」を活用し、週別の売上数量を予測。販売開始後は販売実績をリアルタイムで自動収集し、予測したデータを多頻度で更新しながら精度を向上させる。

最新トレンド、値引きの影響、気温、販促イベント、TVCMなどの外部要因、消費者や販売員の声を含めた売場情報などさまざまな方向から情報を常時解析。最適な推奨値を瞬時に算出し、進化し続ける販売計画を立案するとしている。

精緻化された販売計画を基に、複雑な条件を満たしながら最適な計画を立案することができる「数理最適化技術」を活用。サプライチェーンの各領域の計画を連動させていくという。

工場の生産や倉庫の入出庫、保管のキャパシティ、輸配送リードタイム、店舗の在庫状況など、サプライチェーン全体にあるさまざまな制約・ルールを守りながら、販売計画と完全連動した最適な生産計画・物流計画を自動生成。天候不順による輸送遅延や売り上げの急激な上振れなどの突発的な事象にも、アルゴリズムを用いて各領域の計画を即座に修正することで、グローバルサプライチェーンを常に全体最適な状態にしていくとしている。

自動化~徹底した自動化の追求で人海戦術から脱却、サステイナブルなサプライチェーンを実現

ファーストリテイリングが進めるサプライチェーン改革全体像 リードタイムの削減
リードタイムの削減

先端技術を有するパートナー企業と協業して新ソリューションを開発し、全世界の倉庫を自動化する。商売ニーズに最適化されたWMS(Warehouse Management System)とWCS(Warehouse Control System)を開発。システム開発期間とコストの削減を両立しながら、全世界の倉庫に導入し、世界中の倉庫オペレーションを統一・高度化させていくという。

倉庫従業員の作業品質のバラつきに左右されることなく、高い水準で均質なサービスを提供できる体制を整備。店舗や消費者への迅速な商品配送が実現できるとしている。

生産工場でも同様で、人に依存している作業を可能な限り自動化。高品質・低コストの生産プロセスを維持・向上させながら、増産・減産にフレキシブ対応できる生産体制を構築する。

経営コックピット~サプライチェーンに関わるすべての情報を把握、一元化、経営の意思決定に活用する

ファーストリテイリングが進めるサプライチェーン改革全体像 過剰在庫/欠品の削減
過剰在庫/欠品の削減

年間生産約13億点の商品にRFIDタグを取り付ける。素材産地、工場情報、配送路線、配送タイミングなど消費者のほしい商品が「今」「どこに」「どのステータス」であるかを正確に把握できるようにする。また、棚卸しなどの社内業務の効率化、商品情報のトレーサビリティの仕組みにも活用する。

各部署最適となっていたこれまでのデータベースを、サプライチェーン全体最適の観点でアップデート、一元管理できるようにしていく。サプライチェーンに関わるすべての情報を、全社員が同じ目線・尺度で閲覧できるようになり、意思決定がサプライチェーン全体にどのような影響を与えるかまで把握できるようになるとしている。

一元化したサプライチェーンに関わるすべての情報を、常にモニタリング。経営に関する重要な意思決定を「即断即決即実行」する。このサイクルを高速で回し、スピード感と高精度を両立させた「コックピット経営」を実現するとしている。

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石居 岳

石居 岳(いしい・がく)

フリーライター、ジャーナリスト。

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