引っ越しによる不要品処分で機会損失額は1世帯あたり約15.5万円。引っ越し費用の約8割に相当
メルカリは「引っ越し実態調査」(ニッセイ基礎研究所監修)を実施し、「2月から4月の引っ越し繁忙期は“引っ越し業者が見つからない”“引っ越し業者に支払う料金が高い”などの問題があり、引っ越しにおける不要品の状況と二次流通における価値について調査した」(メルカリ)。
調査は過去3年のうちに引っ越しを経験した親子3人世帯の20代から40代、男女1,036人を対象に実施。期間は2020年2月12日~13日。
調査結果と合わせて、引っ越しの際に捨てた「まだ使えるが不要になった物」の二次流通市場における価値を「引っ越しにおける機会損失」として算出した。
引っ越し時にやっておけば良かったことは「不要品の処分」
対象者に引っ越し時にやっておけば良かったと思うことについて聞いたところ、「不要品を処分して荷物を減らす」(33.1%)が最多で、「早めの梱包・荷造り」(29.8%)、「計画的な家の掃除」(29.3%)と続いた。
不要品、機会損失額ともにトップは「アパレル」
引っ越し時に捨てる不要品で、1位は「アパレル(トップス・ボトムスなど)」(54.5%)。次いで「アパレル雑貨(靴・帽子など)」(49.4%)、「ラグ/カーペット/マット」(43.7%)。
上記の結果を受け、カテゴリー別に捨てた不要品の数量を聞き平均処分数を算出。さらにメルカリにおけるカテゴリー別平均取引価格と掛け合わせて、カテゴリー別機会損失額を算出した。
その結果、最も平均機会損失額が高いのは「アパレル(ジャケット・アウターなど)」で44,757円。「アパレル(トップス・ボトムスなど)」が40,926円、「アパレル雑貨(靴・帽子など)」が35,787円と続いた。
不要品処分で引っ越し費用の約8割の機会損失額に
引っ越し時に捨てた不要品の数量をカテゴリー別に聞き、「引っ越し時に何かしら捨てた」と回答した944人(世帯)の1人(世帯)あたりの平均処分数量を算出。さらにメルカリにおける平均取引価格と平均処分数を掛け合わせ、1世帯あたりの平均機会損失額を算出した結果、推計で155,010円だった。
リクルート住まいカンパニーが運営する「SUUMO(スーモ)」が提供する「引越し料金計算シミュレーション」によると、3人家族構成で移動距離500km未満、2月から4月の繁忙期における平均引っ越し料金は193,537円。引っ越し料金と推計した金額から、1世帯あたりの平均機会損失額は平均引っ越し費用の80.1%に相当することがわかった。
不要品売却の平均利益額は「フリマアプリ」が最も高い
「引っ越し時に不要品を売却した」と回答した対象者に、売却方法別にどの程度の利益があったか聞いたところ、平均利益額が最も高いのは「フリマアプリ」で9,787円だった。
今回の結果を受け、ニッセイ基礎研究所の主任研究員 久我尚子(くがなおこ)氏は下記のように分析した。
「みんなのかくれ資産調査委員会」が2018年11月に実施した調査で、一般家庭にある不要品の価値総額である「かくれ資産」は親子3人世帯で平均597,962円という結果が出ています。引っ越しによる機会損失額はかくれ資産のおよそ4分の1を占める金額で、引っ越しを機にかくれ資産の4分の1が廃棄されていると言えます。本人にとっては不要でも必要な人の手に渡れば資産となる可能性がある物の4分の1を失っているとも言えます。
また、家電製品や家具などの粗大ごみは処分に費用がかかるため、廃棄すると売れる機会を失うだけでなく、機会損失額がさらに膨らむことになります。処理費用がかかる物から優先してフリマアプリなどを活用して売却できれば、引っ越し費用の負担軽減にもつながります。
新型肺炎などによって消費活動が抑制され、企業活動にも制約が生じています。家計収入が増えにくい中では、引っ越しで廃棄する不要品を資産として捉え直すことは有意義なことと言えるでしょう。