瀧川 正実 2020/4/23 12:00

従業員が新型コロナコロナウイルスに感染したら? 感染してしまった場合、休業した場合の手当は何かあるのだろうか? 経営者、会社員、個人事業主などが知っておきたい、新型コロナウイルス感染症に関する傷病手当金を紹介したい。

傷病手当金は、健康保険制度や健康保険組合に加入している被保険者とその家族の生活を保障するための所得補償制度。被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給される。

厚生労働省は3月、健康保険組合と全国健康保険協会に、「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給」の事務連絡を発出。被保険者が「新型コロナウイルス陽性」と判定された場合、自覚症状の有無にかかわらず労務に服することができないケースは、傷病手当金の支給対象とするよう適切な対応を求めた。

また、個人事業主やフリーランスなどが加入する国民健康保険について厚労省は3月、都道府県に対して、新型コロナウイルス感染症に感染した被用者に対する傷病手当金の支給を「市町村、後期高齢者医療広域連合、国民健康保険組合において検討するようお願いしたい」と事務連絡。傷病手当金の支給に要した費用については、市町村、後期高齢者医療広域連合、国民健康保険組合へ全額の財政支援を行う予定と通知している。

感染した社員などを休業させる場合

新型コロナウイルスに感染し、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられとのことから、休業手当を支払う必要はないという。

仕事中など「使用者の責に帰すべき事由による休業」の場合には、使用者は休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされているという。

健康保険加入者の傷病手当について

療養のために労務に服することができなくなった日を起算日として3日を経過した日から、直近12か月の平均の標準報酬日額の2/3が傷病手当金として補償される。

被保険者が新型コロナウイルス感染症で療養のために会社を休み、事業主から報酬が受けられないなどの要件を満たしている必要がある。

被保険者が発熱などの自覚症状があるため自宅療養を行い、療養のため労務に服することができない場合、傷病手当金は支給対象となり得るという。

健康保険加入者は、療養のために労務に服することができなくなった日を起算日として3日を経過した日から、直近12か月の平均の標準報酬日額の2/3が傷病手当金として補償される
東京都情報サービス産業健康保険組合(TJK)が示した請求フローチャート(画像はTJKのサイトからキャプチャ)

国民健康保険の加入者

国保制度などにおいては、さまざまな就業形態の人が加入していることを踏まえ、傷病手当金は、条例を制定して支給することができることとした(任意給付)。そのため、全国の市区町村で条例を制定しする動きが出始めている。

また、国内の感染拡大防止の観点から保険者が傷病手当金を支給する場合には、国が特例的に特別調整交付金により財政支援を行うという。

支給額は「直近の継続した3月間の給与収入の合計額を就労日数で除した金額×2/3×日数」。

国保制度などにおいては、さまざまな就業形態の人が加入していることを踏まえ、傷病手当金は、条例を制定して支給することができることとしている
国保などの傷病手当金の対応について(画像は厚労省が公表した資料をキャプチャ)
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