シニア通販の雄「ハルメク」がMBO、ノーリツ鋼機から独立へ
シニア向けの出版事業や通販事業を運営するハルメクホールディングスは8月4日、宮澤孝夫代表取締役を筆頭株主とした経営陣によってマネジメント・バイアウト(MBO)を実施し、親会社であるノーリツ鋼機が保有するハルメクHDの全株式を譲り受ける契約を締結したと発表した。
ハルメクHDは、シニア向け通販に強みを持つハルメク、全国通販などを傘下に置く持ち株会社。
ハルメクは定期購読誌「ハルメク」の出版・通販事業を主軸に、リアルな接点での店舗事業(全国4店舗)、旅行・講座等の文化事業を運営。月刊誌「ハルメク」の定期購読者数は32万人、通販利用者数(1年以内購入歴有)は60万人まで拡大している(2020年7月末現在)。
急速な高齢化社会へ変化する中、成長を加速するためには、機動的かつ柔軟な意思決定を行える体制を構築することが重要と判断、MBOに至ったとしている。
親会社であるノーリツ鋼機はコア事業を「ものづくり」、2019年12月に上場したJMDCグループを中心とする「ヘルスケア」と定義。経営資源を集中し、事業ポートフォリオの再編を進める一環として、これらに属さないグループの複数事業を譲渡することにした。歯科向け通販のフィードの株式を保有するデンタルホールディングの全株式も売却するため、通販事業から撤退することになる。
なお、ノーリツ鋼機によると、ハルメクHD、デンタルホールディングの渡価格の総額は105億円。それぞれの譲渡価額は公表していない。
ハルメクHDへの株式譲渡日は8月3日で、MBOのために設立した特定目的会社であるHLMK2が株式譲受人。HKMK2はハルメクHDの完全親会社となる。HKMK2の筆頭株主はみずほアフターコロナ事業承継アシストファンド投資事業有限責任組合。
ハルメクHDはMBO成立後も従前からの経営体制を維持。情報コンテンツ・商品・サービスをリアル・アナログ・デジタルが有機的に結び付いた形で提供し、「日本のNo.1シニアカンパニー」ブランドをめざすとしている。
ノーリツ鋼機の2020年3月期業績によると、ハルメク、全国通販などのシニア・ライフセグメントの売上高は277億7000万円(前期比0.3%減)。
ハルメクの前身は、1989年設立のユーリーグ。定期購読雑誌「いきいき」、通販雑誌「ふくふく」でシニア層を順調に開拓したものの、株式投資の失敗などが響き、2009年に民事再生適用を申請。投資会社のJ-STARが新設した「いきいき株式会社」で出版事業・通販事業を譲り受け、経営再建を進めた。再建に成功した2012年、ノーリツ鋼機グループ入りした。
その後、「いきいき株式会社」は2016年に「株式会社ハルメク」へと社名変更。全国通販などを傘下に持つホールディングス体制へと移行している。